山ちゃんの食べもの考

 

 

その248
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【105】
 
日野原重明  劉影 著   青春出版刊
『病気ならない15の食習慣』
楽しく生きる長寿の秘訣
  より その9
 
 
習慣9 コレステロール値は
少し高めたほうが良い
 
健康診断の結果に一喜一憂する人がいますが、
数値というものは日々変化しているので、
あまり振り回されないことです。
かといって、無関心であるのも良くありません。
異常値が出たら何かしらの方策を考え、
異常でなくても、気を抜かないことが重要です。
検査は、日々の積み重ねの結果を
チェックするものであることをお忘れなく。
 
 
● 正常値は人によって違う
 
現在ではすっかり定着した健康診断。
毎年、個人で受ける人もいますし、定期的に実施する会社も増えました。
一定の年齢を超えると、健康診断費用を市町村が負担してくれる制度もあります。
 
このような健康診断、人間ドックと呼ばれるものが、いつごろから日本で実施されるようになったかご存知ですか?
20〜30年ほど前からと思っている人がほとんどではないかと思います。
しかし、日本で最初に人間ドックが事視されたのは昭和29年のこと。
今から50年も前のことなのです。
 
このとき、いち早く開始したのは、国立東京第一病院(現在の国立国際医療センター)と聖路加国際病院の2院のみで、利用する人もわずかでした。
当時は、病院は病気になってからいくものだという考え方が一般的だったからです。
 
もちろん、健康診断についても、病気かもしれないから受けるのであって、病気予防のために検査を受けるという発想は、あまりありませんでした。
 
それでも念のためにと検査を受け入れる人がいて、胃がんや結核などの病気が発見されたことがありました。
検診によって命を救われた人たちの感謝を励みに、すぐには理解されないと知りつつ、”病気には早い発見がいちばん”と呼びかけ続けました。
こうした中、検診を受ける人は徐々に増えていったのです。
 
けれども、多くの人が受診するようになって、新たな問題が生じました。
というのは、検査の結果に神経質になりすぎるという点です。
 
例えば、私の場合、コレステロール値を下げるための方策としてオリーブ油を飲んでいるものの、数値については、さほど気にしてはいません。
 
総コレステロール値が220以下が望ましいとされていますが、この数値にとらわれるのもどうかと思います。
また、動脈硬化も心筋梗塞も発症することなく、現在も元気で暮らしています。
周囲の人を見ても、230台ぐらいの人のほうが元気なくらいです。
 
ただ、甲状腺の機能低下からくる高コレステロール値は、薬を使用しなければ改善されませんし、閉経時のホルモンのアンバランスからコレステロール値が一気に上がる場合味ありますから、そういう時は、医師とよく相談する必要があります。
 
そのほか、糖尿病などの診断基準となる血糖値については、120以下で、ヘモグロビンA1Cが7を越えなければ問題はないと思います。
正常値というものは、年齢によって異なるもので、高齢者の場合は、125でも正常値といえるでしょう。
 
 
● 数字を気にするあまり病気を招くことも
 
ちょっと悪い数字が出たり、”再検査”に落胆する人は少なくありませんが、検査結果に一喜一憂するのは、意味のないことです。
人間の身体は、血圧にしても血糖値にしても、常に変動し続けているからです。
 
検査した際に、たまたま悪い数字を拾ったとも考えられますし、また、反対に偶然に、良い数字を示したと考えることもできます。
 
大切なのは、去年と比べてどうだったか、前回と比較して、安定しているのか、変化が激しいのか、それを分析することです。
だからこそ、定期的に診断を受ける必要があるのです。
また検査は多方向から行われますので、ある点では引っからなくても、別の角度からのチェックで異常が発見される場合があります。
 
たとえ検診の結果が悪くても、嘆くには値しないと思います。
むしろ、早期発見と受け止めて喜ぶべきではないでしょうか。
 
病気だったら、すぐに治療に専念すればいいことですし、発病前であれば、いくらでも改善の余地がありますから、それこそ幸運。
ちょっと食習慣を改善しただけで、すべての数値が正常値になり、以前より数倍体調が良くなったという話はよく聞きます。
 
くれぐれも、勝手に想像を膨らませて、病気をつくり出さないようにしてください。
検査結果を悲観するあまり、本当に病気になってしまうこともあるのです。
 
私の場合、検査すると、高コレステロール値だけでなく、低血糖の判定が出ます。
若いときからずっと、最高血圧が100mmHg以下ですから当たり前の結果で、日常生活にも仕事にも支障はありません。
それに、血圧は年齢とともに上がるもので、今では、ちょうどよいくらいの数値になっています。
 
低血圧だから朝は起きられないとか、無理できないという人がいますが、身体に対して必要以上に過保護にならないでほしいと思います。
身体を大切にすることと、甘やかすこととは違うのです。
 
その辺に留意して、健診を上手に賢く利用してほしい。
それが日本に健康診断を根付かせようと努めてきた医師としての願いです。
 
 
● 健康に必要なことは心の柔軟性
 
「規範が失われるために病人になるのではなく、ひとつの規範しか受け入れられないために病人になるのである」
 
これは、20世紀のフランスの生物学者、ルネ・デェボスの言葉ですが、この言葉に私は、検診結果に右往左往する人たちを連想してしまいます。
 
数字は、あくまでもひとつの目安であり、絶対的な規範ではありません。
むしろ、それを自分なりに受け止め、自分なりの規範を見出していくことが大切なのです。
それが、人間の規範と一致しなくても気に病むことはないのです。
 
また彼はこうもいいます。
「健康と病気の違いは、環境に適応しようと努力した結果、それに成功したか、失敗したかの差である」と・・・・・・。
 
つまり、人間にとって、どういう状態が健康であるかという規範はないし、それを形にして示すことはできないということです。
健康を保つということは、自分を取り巻く、さまざまな変化に対して、そのつどバランスをとり、心と身体を適応させていくことだと彼は説いているのです。
 
抽象的な言い方になりますが、健康とは日々変化して当然であり、変化しながら保たれていくものなのです。
 
ここにも長寿のヒントがあります。
「こうでなければいけない」と言う考え方では、健康は保てません。
何ごとにも対応できる柔軟性が必要なのです。
 
人間、年をとると頑固になります。
規範にとらわれるようになります。
健康を維持するには、そういう考えから改めていく必要がありそうです。
 
 
劉影の養生ガイド
健康診断は“一発勝負”ではない
 
● 何のための健康かを理解しましょう
 
「検査結果に神経質になるな」という日野原先生の意見にはまったく同感です。
正常値としている数字は、統計学により50歳までの男性の平均値を基準値としているので、多少のずれはあるでしょう。
特に50歳を過ぎた人の場合は、その可能性が高いと思います。
 
コレステロール値に対しては、少し高い目ぐらいが元気で長生きという意見にも賛成で、体重にしても、標準体重より、1、2キロオーバーしているほうが、病気になりにくいということがあります。
 
日本ほど徹底して検査をしている国はほかにありません。
ところが、残念なことは、それが生かされていない点です。
 
数字に神経質になりすぎる人がいる一方で、健康診断するまでイベントか何かと勘違いしている人もいます。
「血糖値が高くなった」、「肝臓の数値が悪くなっている」と結果を確かめるだけで、数値の改善には考えが及ばないようなのです。
 
私が知る範囲では、こういうタイプは5年もすると、糖尿病や高血圧と診断されてしまうようです。
もっと健康のために役立ててほしいと願うばかりです。
 
アメリカ人は健康への意識を持って、プライベートで検診を受けますから、結果についてもきちんと受け止めて、努力を怠りません。
日本人が、検診結果を活用できるようになったとき、日野原先生たちの努力が、ようやく実を結ぶのだろうと思います。
 
 
● 生活習慣病を予防する“三種の神器”
 
”数字に振り回されない”とはいえ、それは放置することとは違います。
数値が、病気の一歩手前、つまり”未病”を示したら、改善策を考えましょう。
 
そこで、私がすすめたいのは、まず体重を少しずつ減らすことです。
体重を減らすことで、血圧、血糖値、中性脂肪など、ほとんどの数字は正常域へと近づきます。
そのためには、身体を動かすことと、食事に気をつけること。
 
身体を動かすといっても、特別な運動をする必要はありません。
積極的に歩くこと、ただそれだけです。
怒ったり、いらだったりすることも血圧には影響しますから、ゆったりとした気分で、植物の美しい公園を歩くのもいいでしょう。
 
食事に関する注意点はいくつかあります。
揚げ物などは避けること、アルコールの量は減らすこと、それから血液をきれいにするものを食べることです。
 
私が”三種の神器”としてあげたいのが、@大豆食品、A青い野菜と青魚、Bきのこ類で、メタボリックシンドロームの人に、ぜひ試してもらいたいものです。
 
大豆製品が、低カロリーで植物性たんぱく質を含む優れたものであることはいうまでもないでしょう。
また、ほうれん草、小松菜、チンゲン菜などの青菜は栄養の宝庫であり、青魚には、血液の流れをよくするEPAやDHAが含まれています。
 
そして、きのこ類にも、血液をサラサラにする作用があり、免疫力強化の面でも注目されています。
肥満度の高い人は、特にカロリーの低いきのこ類をたくさん食べて、空腹を満たすようにすると良いでしょう。
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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FAX :076-223-2005
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池田 優

 

 

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