山ちゃんの食べもの考

 

 

その252
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【109】
 
日野原重明  劉影 著   青春出版刊
『病気ならない15の食習慣』
楽しく生きる長寿の秘訣
  より その13
 
 
習慣1 和食の落とし穴“塩分”に注意
 
 
塩は和食に欠かせない調味料です。
そして、食品を保存するという重要な役目をも担って、
昔から日本人の食生活を担ってきました。
同様に、みそやしょうゆも、さまざまな料理の
味を引き立てるものとして重宝されてきました。
しかし、いずれも摂り過ぎは禁物。
生活習慣病予防のために、
薄味で美味しくいただくことにしましょう。
 
 
 
● 塩分は1日10gを超えないように
 
みそ汁、塩鮭、ぬかづけに梅干し、そして煮物・・・・・・。
いずれも日本人が昔からなじんできた和食の味。
ご飯に塩をまぶしておにぎりに、すし飯のうまさを引き立てるのも、やはり塩です。
 
しかし、あるとき気づくのです。
高血圧や脳卒中などの病気の原因が、こうした調味料の過剰摂取にあったことに・・・・・・。
 
私が日本人の脳血管障害についての統計を発表したのは、今から30年前のことでした。
高血圧から脳卒中などを発病する率は、アメリカ人に比べると日本人のほうが圧倒的に多く、その傾向は、東北、信州、山陰など、寒い地方に顕著に見られることがわかったのです。
 
道路も交通手段もなかった時代、深い雪に閉ざされた地方では、冬の食糧確保に知恵を絞らなければなりませんでした。
その悪条件をカバーしたのが塩で、塩は食べ物の腐敗を防いで保存を可能にしました。
 
さまざまな食材を塩で漬け込み、そして、寒さが厳しい季節になると、料理も味つけもいちだんと塩辛くなりました。
 
寒い地方には、こうして生まれた保存食や料理が、郷土の味として後々まで親しまれてきましたが、それが、塩分の大量摂取につながり、人々の健康を蝕むことになってしまったのです。
 
当時寒冷地の人々が摂取していた塩の量は、1日20〜30g。
茶さじ1杯が約4gですから、6、7杯もの塩を摂取していたことになります。
 
それに比べて、アメリカ人は、1日8g程度。
毎日のこの食習慣の差が、発病率の差に現れていたというわけなのです。
ちなみに、日本高血圧学会では、1日7g以下を勧めています。
 
私が診た患者さんの中で、一番塩の摂取が多かった人は、1日40gもの塩を摂っていました。
彼は溶鉱炉で働いていたため、身体から排泄される塩の量も人並み以上ではあったのですが、それにしても40gというのは尋常ではありません。
同じ職場には、高血圧の人が非常に多かったと聞いています。
 
その患者さんにアドバイスしたことは、塩の摂取量を毎日10g以下にすること。
そして、食習慣を改めるためにも仕事を変えたほうがいいとすすめました。
彼は、私の指示通りに転職し、そして塩分も1日10g以下に抑えたため、結果的には降圧剤を服用することなく、健康を取り戻すことができました。
 
高血圧症から深刻な事態に至ることから完治したのは、彼がまだ、劉先生のおっしゃる”未病”の段階で改善に努めたからだと思います。
 
ですから、高血圧気味という人は、食事を思い切って薄味にしてみることです。
降圧剤は一度服用はじめると、止めるタイミングが難しい薬です。
食事だけで改善できれば、これ以上のことはありません。
 
また、塩分の摂り過ぎは、胃がんとの関係も深いようです。
塩分の過剰摂取によって、高血圧や脳卒中を患う人が多かったころ、胃がんの発症率も高かったのです。
塩の弊害に気付き、摂り過ぎに気をつけるようになってからは、胃がんの発症率も徐々に減ってきました。
 
 
● ラーメンやそばの汁は残しましょう
 
現在の日本人の塩分の摂取量は、都会で住む人で、1日に12g程度といわれています。
塩分の取りすぎに気をつけようという意識が浸透していますから、寒い地方の人たちも昔に比べれば、塩を摂らなくなりました。
それでも、私としては、1日10g以下、できれば8gに減らしてほしいと思っています。
 
アメリカ並に砂糖やバターを摂取して、さらに塩分はその倍ということになったら、生活習慣病にならないのが不思議なくらいです。
 
1日10gに抑えるためには、いくつか方法がありますので、簡単に揚げてみることのしましょう。
 
@ ラーメンや蕎麦など、麺類の汁は残す
A 減塩しょうゆや減塩みそなど、調味料を減塩のものに変える
B 煮物や味噌汁などの量を減らす
C 佃煮、漬物、塩漬けの魚など、塩分の多い食品は食べる回数を減らす
 
野菜の煮物などは低カロリーで、その点ヘルシーな料理ですが、煮しめると、どうしても塩分が多くなります。
できるだけ薄味にするか、食べる回数を減らしてください。
また、何にでも、しょうゆや塩をかけて食べる人がいますが、できるだけ、素材の味を楽しむようにしましょう。
 
よく、食べているときには気がつかなかったのに、食後しばらくして、のどが渇くことがあると思います。
料理にたくさんの塩が使われていたのでしょう。
外食の場合、甘味や辛味にとって、塩分を感じないことがあるので注意しましょう。
 
特に舌を焼くように熱い料理の場合は、相当な塩分が含まれている可能性があるので、頻繁に食べるのはよくないと思われます。
また、定食屋などで、味噌汁をお変わりしたりするのもいけません。
 
最近では、子どもたちが口にするお菓子に、かなりの塩分が使われているようで気になります。
刺激的なスパイスを使ったお菓子には、塩分量の多いものも少なくありません。
子どもの味覚を育てることは大切なことです。
血圧の高いおじいちゃん、お父さんだけというのではなく、家族全員で薄味を心がけるようにしたいものです。
 
 
 
劉影の養生ガイド
塩分を摂り過ぎないためのアドバイス
 
● 和食の欠点は塩分の多さ
 
私は日本料理が大好きです。
季節の食材を上手に使い、繊細な味でおまけにカロリーを摂りすぎることもないため、安心して食べられるのが魅力です。
夕人と食事をする際、この20年間、中国料理を食べるより、和食を食べることのほうが多いように思います。
 
私が和食の店を選ぶ基準は、和の食材を取り入れて、素材の味を大切にしていること、そして塩分の量が控えめであることです。
 
まだ日本に来て間もないころ、友人が私のために用意してくれた夕食に驚いたことがありました。
とっておきの料理を用意してくれていたのですが、あまりにも塩分がきつく、油のせいか口の中もすっきりしません。
”日本人はこんなにも塩辛いものを食べているのか“と思ったものでした。
 
そこで、一度食べてみて、“塩辛いな”と感じた店は避けるようにしています。
もちろん、薄味でおいしく食べさせてくれるお店はたくさんありますから、そういう店を選べばよいわけです。
 
私が、日本料理を批判すると、”中華料理にも、相当の塩分が含まれているのではないか“という人もいるかと思います。
 
たしかに、日本で食べる中華料理の中には、塩分の多すぎるものもあります。
でも、中国の薬膳料理は、ほとんど調味料は使いません。
私は、これが本来の中国料理ではないかと思っています。
口の中で唾液と混ざり合い、身体にやさしいちょうど良い味になるように調理されているのです。
 
日野原先生が、子どもたちの味覚について懸念されている気持ちはよくわかります。
多すぎる塩分は舌の感覚を鈍くしますから、濃い味に慣れてしまうと、薄味では物足りなくなってしまう。
 
味覚は生まれてから10歳くらいまでに形成されるといわれています。
子どものうちから、そういう味に慣れ親しんでしまったら、社会人になる前に、生活習慣病未病にもなりかねません。
社会に出たら、疲労とストレスが待っていますから、すぐに発病という可能性も大きいのです。
 
家族の健康を守るには、料理をつくる人の健康状態がカギになることも覚えておいてください。
 
というのも、過剰なストレスや疲れで体調が悪くなると、舌の感覚が鈍くなって、「お母さん、今日の料理、いつもより塩辛いよ」といわれたり、料理をしていて、なかなか味が決まらないと感じたりしたことはないでしょうか。
そういう場合は、自分自身の健康状態をチェックしてみる必要があるかもしれません。
 
 
● 酢や海藻類をすすんで摂りましょう
 
塩分を1日10g以下にするにはどうしたらよいか。
日野原先生が挙げられている注意事項に、私なりにプラスしてみたいと思います。
 
未病訓のところで取り上げましたが、まず、まずおすすめしたいのは、塩に代わる調味料として、酢を使うことです。
 
中国人は、日本人の何倍もの酢を摂取しています。
中国の食卓には必ず黒酢が置いてあって、餃子や肉まんなどの飲茶、揚げ物や炒め物、麺類やスープと、さまざまな料理に黒酢をかけて食べる習慣があります。
 
酢は古代から伝わるもので、疲労回復や血糖値上昇の抑制、消化吸収の促進、そのほか肝機能を活発にするなど、さまざまな効果が挙げられます。
昔は、治療にも使われていたといいます。
 
塩の代用品は、ほかにもあります。レモンや酢橘などを絞ったり、香味野菜を使うのも良いでしょう。
 
摂取した塩分を排泄する働きのあるものを積極的に食べるのも効果的です。
例えば、わかめやのり、昆布などの海藻類には、塩分を便と一緒に排泄する働きがあります。
 
外食としてラーメンを食べるときなどは、海藻を取り入れるようにすると良いでしょう。
ただし、ラーメンには、1杯に6〜8gの塩分が含まれていますから、毎日食べ続けたら、過剰摂取になってしまいます。
 
また、忙しいサラリーマンで、太りすぎが気になる人の中に、ランチはいつもざるそばという人も見かけます。
たしかにざるそばは低カロリーですが、栄養面でのバランスは悪く、そばつゆにはたくさんの塩分が含まれていますから、1食で3g程度の塩を摂ることになってしまいます。
 
レストランの塩分表示などを参考に、どんな料理にどのくらいの塩分があるか、覚えておくのも大切なことです。
 
高血圧気味の人は、1日10gでは多すぎるので、5〜7gぐらいを目安にしてください。
 
これを守るには、なるべくインスタント食品を避けることです。
加工食品には思った以上の塩分が含まれています。
 
気軽に食べているインスタントラーメンには5〜6g、レトルトカレーには3〜4g、またインスタント味噌汁には約2g、レトルトカレーとインスタントラーメンを食べれば、1日の摂取量を軽くオーバーしてしまうのです。
 
スーパーなどで、加工食品を大量に買い込む人を見かけますが、常食するのだけは避けるようにしてください。
 
また、インスタント食品を食べる場合は、薄味にするように心がけましょう。
例えば、ラーメンのスープの素は少なめに入れることです。
インスタント味噌汁には表示の約2倍のお湯を注ぎ、1人分を2人で飲むようにするくらいでちょうど良い塩加減だと思ってください。
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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