山ちゃんの食べもの考

 

 

その257
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【114】
 
生田 哲  著   PHP新書
『食べ物を変えれば脳が変わる』
その3
 
第2章 脳を快適に働かせる栄養素 の1
 
● 脳にとって大切な6つの栄養素






 
脳を活性化するのに欠かせない6つの栄養素
栄養素 役割
ブドウ糖
アミノ酸
必須脂肪酸
リン脂質
ビタミンとミネラル
 脳のガソリン
 伝達物質の原料
 神経細胞の膜をつくる成分
 ミエリン鞘となってケーブルを絶縁する
 酵素を助ける「知能栄養素」
 
わたし達のもてる力を最大限に発揮するコツは、脳を快適に働かせることである。
その鍵となるのが、ブドウ糖、アミノ酸、必須脂肪酸、リン脂質、ビタミン、ミネラルという6つの栄養素だ。
 
脳は大食いの臓器である。
体重のわずか2%の重さに過ぎないのに、全エネルギーの20%を消費する。
そのエネルギーは、わたしたちが食べた食べ物、とりわけ糖類から得たブドウ糖を燃やすと発生するATP(アデノシン3リン酸)が元になる。
「ブドウ糖」は脳のガソリンなのだ。
 
脳内の神経細胞と神経細胞がつくるネットワークをかけめぐるのが、伝達物質。
どんな伝達物質が、どれだけの量流れるのか、これによって心のあり様が決まってくる。
この伝達物質をつくる原料が「アミノ酸」なのだ。
そして、このアミノ酸はたんぱく質が分解してできる。
 
ネットワークを構築する神経細胞そのものも、たんぱく質が主成分である。
この神経細胞を包むのが膜だ。
この膜を作っているのが、「必須脂肪酸」や「リン脂質」だ。
 
神経細胞から神経細胞へと情報が伝わるのは、神経細胞の一部が伸びてケーブル〈軸策という)になっていて、このケーブルを情報が電気信号となって伝わるからである。
 
このとき、ケーブルから電気が周囲に漏れると、信号が弱くなったり、伝達スピードが遅くなったりする。
漏電を防止するために、リン脂質でできた絶縁体が神経細胞本体を含むケーブル全体を覆っている。
この絶縁体のことをミエリン鞘という。
 
忘れてもらっては困るのが、「ビタミン」や「ミネラル」といった「知能栄養素」だ。
これが不足すると、アミノ酸から伝達物質へのモデルチェンジを進める酵素が旨く働かず、ブドウ糖からATPへの変換が出来なくなる。
これでは脳は本来の働きができない。
 
というわけで、脳を快適に運転するために、ブドウ糖、アミノ酸、リン脂質、ビタミン、ミネラルという6つの栄養素が欠かせないことがわかる。
 
 
● ベストのエネルギー源は
「スローリリース」の糖類
 
脳のガソリン、ブドウ糖の補給の仕方から見ていこう。
糖類、タンパク質、脂肪といった3大栄養素はどれも、酵素のはたらで燃焼し、最終的にエネルギーをつくることができる。
だが、ベストの燃料は断然、糖類だ。
 
それは、タンパク質や脂肪が燃焼すると、窒素や硫黄を含んだ有害物質が体内に蓄積するからである。
この有害物質は、いわば「煙」のようなもの。
無煙のクリーンエネルギーは、糖類だけなのである。
 
だが、糖類の中でも優劣がある。
燃料となるブドウ糖を血液中にゆっくり放出する、「スローリリース」の糖類がベストだ。
 
スローリリースの糖類の代表は、野菜、豆類、全粒粉である。
これらの食物の主成分は、あまり生成されていないデンプンであるから、酵素によってブドウ糖がゆっくりと血液中に放出されていく。
 
フルーツからの糖類である果糖も、白砂糖や精製されたデンプンよりもブドウ糖に変換されるのに時間がかかるから、スローリリースとなる。
 
一方、白砂糖に代表される高度に精製された糖類を大量に含む食べ物は、脳の快適運転に芳しくないから、摂取をできるだけ控えるのがよい。
 
それは、まず第一に、高度に加工することにより、食べ物から甘さだけを抜き出し、残りの微量栄養素を捨て去っているからだ。
 
そして第二に、白砂糖、ブドウ糖、シロップなど、高度に精製された糖類はどれも、食べた直後に血糖値を急激に上昇させる「ファストリリース」であるからである。
 
血糖値が急激に上昇すると、身体は、まずブドウ糖を細胞内に取り入れて燃料として使う。
しかし、細胞が燃料を必要としていないときは、ブドウ糖は筋肉や肝臓にグリコーゲンとして、次に脂肪として蓄積される。
つまり、急激な血糖値の上昇は肥満の原因となるのだ。
 
しかも、フルーツや野菜などと異なり、白砂糖からビタミンやミネラルの90%が取り除かれている。
糖類をもやし、エネルギーに変換するのは酵素の働きだが、酵素が働くにはビタミンやミネラルが欠かせない。
 
もしビタミンやミネラルが不足すると、酵素がはたらかず、エネルギーがつくられないから、消費されることもない。
だから、エネルギー不足となって元気が出ないし、集中力も欠如してしまう。
その上、余ったカロリーが脂肪となってお腹の周りに蓄積する。
 
ちなみに、フルーツでもグレープやデーツ(ナツメヤシの実)は純粋なブドウ糖を多く含んでいるから、他のフルーツよりも迅速に血糖値をあげる。
一方、りんごは果糖が多いためスローリリースとなる。
バナナはブドウ糖と加藤のどちらも含むので、血糖値をかなり早くあげる。
 
しかし、すべてのフルーツに含まれる多くのファイバーが、酵素によるデンプンの分解を妨げるため、ブドウ糖を放出するスピードはそれほど上がらない。
 
 
● 「低GI食品」とは何か
 
ブドウ糖を補給するには、ファストリリースよりもスローリリースの食べ物を中心に摂取するとよい。
どの食べ物がファストリリースで、どの食べ物がスローリリースなのかを見分ける数値に触れておこう。
 
ここでいうファストとかスローとは、要するにある食品を食べた後にどれだけ血糖値が上がるかということである。
これを数値化したものが、グリセミックインデックス〈GI〉だ。
それそれの食品のGI値はブドウ糖を基準100として数値で示されている。
したがって、ファストリリースは「高GI食品」のことで、スローリリースは「低GI食品」のことである。
 
高GI食品の代表は、デーツ、もち、プレッツエル、ハチミツなど。
コーラやジュースなどのドリンク類も典型的な高GI食品である。
一方、低GI食品の代表は、野菜、キノコ、海藻類、大豆、魚介類、玄米ご飯などである。
 
ここで、朝食に何を食べたかを確認してみよう。
もしドーナツやシリアル(全粒)を食べたのなら、どちらもファストリリースなので、早く元気が出るが、すぐに燃え尽きてしまう。
元気や集中力を持続させるには、血糖値の上昇スピードを抑えればよい。
それには、ドーナツやシリアルを全粒ライ麦パンに代え、アップルソースで甘味を加えるとよいだろう。
 
GI値が55以下のスローリリース食品を食卓に乗せるように心がけてしてほしい。
また、GI値が70以上のファスト食品をできるだけ避ける。
あるいは、もしファストリリース食品を摂るなら、スローリリース食品と混ぜて食べるとよい。
GI値が55〜70の食品を食べる回数は多くならないようにしたい。
 
どんな食品を食べてどんな食品を食べないのがいいのか、以下に例を示しておく。
・ 精製白パンとジャム→全粒ライ麦パンとジャム
・ クロワッサン→全粒ライ麦パン
・ 白米ごはん→玄米ご飯
・ フレンチフライ→サツマイモ
・ バナナ→リンゴまたはオレンジ
 
ポイントは、あなたの食事から白砂糖に代表される甘い糖類をできるだけ減らすことにある。
だが、いくらよいことでも、いきなりすべてを実行するのはつらいし、無理がある。
食事から甘さを減らすのも急激にではなく、ゆっくり減らせば無理なくできる。
 
例えば、フルーツジュースはビタミンの宝庫であるが、血糖値を急激に上げやすいという心配もある。
だから、飲むならジュースに同量の水を加え、半分に薄めて飲むとよい。
とにかく、砂糖を添加した食品をできるだけ避けるのが懸命だ。
 
 










 
高GI食品(GI70以上)
食品名 GI 食品名 GI
精白パン
白米ごはん
ベーグル
スイカ
チェリオ
ドーナツ
フレンチフライ
シリアル(全粒)
ワッフル
そうめん
70
72
72
72
72
75
75
76
76
77
 プレッツエル
 コーンフレーク
 もち
 うどん
 ハチミツ
 マッシュポテト
 ブドウ糖
デーツ(ナツメヤシの実)
麦芽糖

 
81
84
85
85
90
90
100
103
10

 
 




 
中GI食品(GI56〜69)
食品名 GI 食品名 GI
ジャガイモ
レーズン
パスタ
砂糖(ショ糖)
62
64
65
65
マスクメロン
パイナップル
パン(全粒粉)
65
66
69
 
 












 
低GI食品(GI56以下)
食品名 GI 食品名 GI
野菜類、キノコ、海藻類
ダイズ
フルーツ類
果糖
ヨーグルト
牛乳
バター
レンズマメ
鶏卵
リンゴ
スパゲッティ
15以下
15
20〜30
23
25
30
30
30
30
38
41
ブドウ
オレンジジュース
肉・魚介類
アイスクリーム
キウイ
バナナ
サツマイモ
そば
玄米ご飯
ライ麦パン
マンゴー
46
46
40〜50
50
52
53
54
54
55
55
55
 
 
● 人口甘味料を遠ざける
 
食べても血糖値を上げるわけではないが、白砂糖の代替物である人口甘味料は避けたほうがよい。
中でも広く用いられていて、健康に悪いのが、アスパルテームである。
 
ノースイースタンオハイオ大学のラルフ・ウォルトン教授は、うつの経験のある人を対象にアスパルテームの副作用を調べ発表した。
 
うつ経験のあるグループに1日、体重1kgあたり30mgのアスパルテームまたは偽薬を7日間摂取してもらい、うつでない対象群にも同じものを同じ期間摂取してもらった。
アスパルテーム摂取の影響を消すため、3日間の空白期間(洗浄期間という)をおいて、最初にアスパルテームを摂取したグループは偽薬を、最初に偽薬を摂取したグループはアスパルテームを摂取する交差試験も行った。
そして両者から聞き取り調査を行った。
 
こうして行った結果をまとめると次のようになる。
アスパルテームグループの63%が記憶障害を起こし(偽薬グループはゼロ)、吐き気は75%の上昇、イライラは25%の上昇、うつの悪化は37%の上昇。
対象群では20%に、アスパルテームを摂取後に記憶障害が発生した。
 
この治療から明らかなように、うつの経験のある人は、アスパルテームの摂取によって心の健康にマイナスの影響が現れやすいのである。
用心のため、アスパルテームの摂取を控えるのが賢明である。
 
 
● 脳に欠かせない脂肪
 
わたしたち派、絶えずやってくる新しい状況に対応しなければならない。
そのために必要なのは、事において柔軟に対応する「やわらかな脳」である。
 
やわらかな脳というのは単なる比喩ではない。
物理的にも脳は人体で最も柔らかい臓器なのである。
 
水分を除けば、脳の70%は脂肪でできており、人体で最も油っぽい臓器である。
だから、脂肪を十分に摂らなければならないのだが、どんな脂質を摂るかが、脳のやわらかさを決定する。
 
通常、脂肪というのは、トリグリセリドとコレステロールの2つを指す。
トリグリセリドというのは、グリセリンの分子構造が持つ3本の手にそれぞれ脂肪酸がついたもので、トリはギリシア語で「3」を意味する。
 
脂肪酸には、炭素と炭素が1本の手でつながった飽和脂肪酸、時おり、炭素と炭素が2本の手でつながった不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)がある。
 
本書では便宜上、トリグリセルドとコレステロールに加えて、脂肪酸とリン脂質(後述)も含めて脂肪と総称することにする。
 
脂肪は脳と心の健康を維持するのに欠かせない。
うつ、不安、集中力の欠如、疲労、記憶障害、アルツハイマー病、統合失調症などにかかわっている栄養素だ。
また、知能を最高の状態にするのにも、最適な脂肪を最適な量だけ摂取する必要がある。





 
脳に欠かせない脂肪
トリグリセリド・・・・・・グリセリン+3個の脂肪酸
リン脂質・・・・・・・・・・グリセリン+2個の脂肪酸+リン原子
飽和脂肪酸・・・・・・・炭素と炭素が一本の手だけでつながった酸
不飽和脂肪酸・・・・・炭素と炭素が時おり2本の手でつながった酸
コレステロール・・・・・炭化水素の固まり
 
 
● 必須脂肪酸が知性を高める
 
この世で健やかに生きていくためには知性が必要だ。
ここでは、知能、感情、身体といった3つの切り口から考えたい。
 
絶えずやってくる新しい状況や変化に適切に対応するのに、高い知能は欠かせない。
 
IQテストで測定できる知能は、人が学習したり理解する能力である。
 
知能に劣らず大切なのが、EQである。
EQは「感情の知性」とも言う。
これは、自分自身の感情や他人との関係をうまく処理する能力のことである。
もしあなたがつまらないことで、イライラしたり、気分の上がり下がりが激しかったり、切れたりするようなら、改善の余地がある。
 
それから身体的な知性であるPQも重要だ。
これはあなたの脳と身体を円滑に連携させる能力を言う。
たとえば、落ち着きがなく、教室で静かに座っていることができない多動児の多くは、手が不器用だったり、手書きの字が極端に雑なため判読不能だったり、授業中にノートを取るのに苦労したりする。
 
人生をよりよく生きるには、これらIQ、EQ、PQという3つの知性を高めねばならない。
このとき発揮するのが、オメガ3やオメガ6として知られる必須脂肪酸だ。
 
たとえば、動物に必須脂肪酸の含量の少ないエサを与えると、知能、とりわけ記憶力が低下することが明らかとなっている。
 
また、学習障害は必須脂肪酸の摂取量の少ない子どもに多く見られるが、その一方で、母乳で育った子供のIQは、8歳の段階で比べると人口粉乳で育った子どもより高いことが報告されている。
母乳に含まれる豊富な必須脂肪酸が、子どもを賢くしていると思われる。
 
また、必須脂肪酸は、心の健康を高めるだけでなく、がん、心臓病、糖尿病、アレルギーの発症リスクを低下させることも判明している。
 
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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