山ちゃんの食べもの考

 

 

その277
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
 
『食は生命なり』 【134】
 
『短命の食事 長命の食事』
ファイトケミカルが健康寿命を伸ばす
丸元淑生著 ワニブックス刊  より その5
 
 
第4章 栄養丸ごと料理レシピ の2
 
● アンコウはムコ多糖類の塊!
 
深海魚のアンコウは、冬には産卵のため浅いところに移動してきます。
それを捕獲するのがアンコウの漁ですが、まだ卵を持っていない2月が最もアンコウのおいしいときです。
 
この魚は骨格が軟骨でできていて筋骨がなく、ぐにゃぐにゃしている上に、ぬるぬるで、まな板の上ではとても切れません。
それで吊るして切ります。
 
ぐにゃぐにゃ、ぬるぬるは栄養的には重要で、それは組織の多くをムコ多糖類が占めていることを示しています。
 
 
◆「アンコウ鍋」レシピ
 
《材 料》 (2〜4人前)
鮟鱇鍋溶パック1〜2パック、せり、春菊、白菜、ごぼう、生椎茸などの野菜適量、
豆腐1丁、白たき1パック、調味した基本のだし汁1.8リットル
 
《作り方》
@ アンコウを沸騰している湯にくぐらせて、水を切っておきます。
A アンコウと白たきを土鍋に入れて、調味した基本のだし汁の半分を加え、火にかけて、野菜と豆腐を入れながら食べていきます。
汁がなくなったら、だし汁を足し、野菜は鍋に残さないように、食べる分を入れて浅く火が十たところで食べるようにします。
 
 
 
● 先人達の知恵が結集した
タラのグラシオサ風!
 
秋から冬にかけて、鮮度のよい生ダラの切り身が安く売られているときに、つくってみていただきたいのがタラのグラシオサ風です。
スペイン領カナリア諸島のグラシオサという小さな島の郷土料理ですが、レシピが完成していますので、誰もが失敗なくつくれます。
 
生ダラは身がほんのり桜色をしています。
身の色が白いものは、塩ダラか、冷凍したものか、鮮度の落ちたものなので、この料理には適しません。
 
私は20年以上もこの料理をつくっていますが、最初の一口を口に含んだときに、いつも変わらぬ感動を覚えます。
水を加えない料理なので、野菜から出た汁、つまり野菜のスープを口に含むことになるのですが、その味に驚嘆するのです。
そして、その野菜の組み合わせを考えたグラシオサの人たちに感歎します。
 
その野菜の組み合わせをここに書いて見ましょう。
トマト2〜3個、ジャガイモ2〜3個、ピーマン1パック、セロリ1茎、玉ねぎ1個、パセリ2〜3茎。
 
どうしてこの組み合わせがそれだけの感動を呼ぶのか、いつも不思議に思います。
みなありふれた野菜で、他の料理にいつも使われているものばかりです。
それは、もはや神業というしかありません。
それくらいこの料理のレシピは完成しています。
 
家庭料理の一つの理想は、魚と野菜を組み合わせておいしい料理をつくることにありますが、野菜の量と魚の量のバランスからいっても、この料理はその最高の例といえるでしょう。
 
 
◆「タラのグラシオサ風」レシピ
 
《材 料》 (2人前)
生ダラ3〜4切れ、トマト2〜3個、ジャガイモ2〜3個、ピーマン1パック、セロリ1茎、玉ねぎ1個、パセリ2〜3茎。
《作り方》
@ 生ダラの皮と骨の部分を除き、沸騰している湯に10〜20秒間くぐらせて、水を切っておきます。
A 深鍋にオリーブ油を大さじ1をひき、輪切りにしたトマトを並べ、塩をふります。
B その上に、輪切りにした玉ねぎと小口に切ったセロリを並べ、塩をふります。
C その上に、ジャガイモの皮をむき2〜3ミリの薄さに切って並べ、塩をふります。
D その上に、ピーマンを3〜4ミリの輪切りにし、刻んだパセリと混ぜて並べます。
E その上に、生ダラを並べて塩をふり、ふたをして弱火にかけておきます。
40〜45分間加熱して、ジャガイモがやわらかく煮えたら、汁の味を見て塩で味を調えて出来上がりです。
 
 
 
● 誰がつくってもおいしくできる
3つの豆スープ!
 
ストック(魚または鶏がらの煮出し汁)を使わずに、水でつくっておいしくできる野菜スープは極めて限られています。
逆にいいますと、水でつくった野菜スープはおいしくないので家庭料理に定着していないというのが、実情でしょう。
 
しかし、豆が入りますと野菜スープは水でつくってもおいしくできます。
ここでは野菜スープを家庭に定着させる3つのレシピを書いておきましょう。
 
イタリアの家庭料理で毎日のようにつくられている野菜スープのミネストローネは、ファミリーごとにレシピがあるといわれています。
つまり、それだけバリエーションがあるわけですが、レシピの根幹の部分はみな同じです。
当然ながら、そこまで変えてしまったらもうミネストローネとはいえないという部分があるのです。
 
それは濃度の濃いスープであること、多種類の野菜が入っていることと、必ず豆とセロリが入っていることです。
 
豆はキドニービーンズが入りますが、ライマビーンズが入ることもあります。
キドニービーンズは、色も味もわが国の大正金時豆に似ています。
スープに入れると大正金時豆は、かなり煮くずれしますが、キドニービーンズはあまり煮くずれずに形が残るところが違います。
ラ今ビーンズは、白花豆を小型にしたような豆で、色も味もほとんど白花豆と変わりません。
 
ミネストローネは、この4つの豆のいずれを使ってもおいしくできますので、豆が常備してあれば、時々豆を違えて、それぞれの豆の味と食感の違いを楽しむことができます。
 
ミネストローネは好みでヌードルやマカロニが入ります。
それがスープを飲んだときの満足感につながりますので、使う頻度の高い何種類かは常備しておきたいものです。
 
ヌードルで常備したいのは、タリアテッレとカッペリーニ・ダンジェロ。
タリアテッレは、別名フェットチーネで、約1cm幅の平たくて薄いパスタです。
カッペリーニ・ダンジェロは、天使の髪という意味で、太さ0.9mmの極細パスタです。
マカロニで常備したいのは、メッツェ・ペンネとコンキリエ。
ペンネは円管状のマカロニを斜めに切った形のもので、その小さなものがメッツェ・ペンネです。
大きなものはペンネ・リガーナといいます。
コンキリエは貝殻の形のマカロニです。
 
 
◆「ミネストローネ」レシピ
 
《材 料》 (4〜6人前)
キドニービーンズ(大正金時豆)1カップ、セロリ4茎、玉ねぎ1個、
にんじん400〜500g、トマト4〜5個、じゃがいも2個、にんにく2片、
タリアテッレ1カップ。
《作り方》
@ 豆を前の晩に2.5倍の水につけておきます。
A 翌朝、つけておいた水ごと鍋に移し、ふたをして弱火にかけておきます。
40分間加熱して火を止めて起きます。
B 材料を切りそろえます。
玉ねぎは薄くスライス。
セロリ、じゃがいも、人参は約1cm角のサイコロに切ります。
C 豆の鍋に5カップの水を加え、ヘタをくりぬいたトマトとじゃがいも、人参を入れ、ふたをして弱火にかけておきます。
D 別の鍋につぶしたにんにくを入れ、オリーブ油をかけてふたをし、弱火にかけておきます。
E にんにくに焦げ色がつきかけたら、玉ねぎを入れ、その上からオリーブ油大さじ1をかけ、ふたをして加熱をつづけます。
F 玉ねぎがしんなりしてかさが減りましたら、セロリを加えて加熱をつづけます。
G 玉ねぎがペタンとして、とろける感じになりましたら、トマトの皮を除いて豆の鍋に移します。
H トマトが煮くずれたところで塩で調味し、タリアテッレを握って粗く砕き加えます。タリアテッレが煮えたら出来上がりです。
 
水に戻す必要のない豆は、思い立ったときにすぐスープが作れるので非常に重宝します。
スープに適しているのは、スプレット・ピーとレンティルで、この豆は欠かさずに常備しておきたいものです。
 
レンティルにはレッド・レンティルとレンティルの2種類があって、レンティルはスープの色を茶色にしますが、レッド・レンティルはスープに色をつけません。
ですから、他の野菜の色を生かしたスープの色にしたいときは、レッド・レンティルを選択すべきでしょう。
 
 
◆「レンティル・スープ」レシピ
 
《材 料》 (4人前)
レンティル1カップ、玉ねぎ2個、にんにく1片、トマト2個、セロリ2茎、
コンキリエ1カップ。
《作り方》
@ 鍋に8カップの水をとり、豆を入れてふたをし、弱火にかけておきます。
噴いたらふたを少し開けておきます。
A 別の鍋につぶしたにんにくを入れ、オリーブ油をかけてふたをし、弱火にかけておきます。
B にんにくに焦げ色がつきかけたら、薄くスライスしたセロリと玉ねぎを加え、オリーブ油を上から大さじ1をかけてふたをし、加熱をつづけます。
C 豆の鍋に、ヘタをくり抜いたトマトを入れてふたをして加熱をつづけます。
D トマトの皮を除き、玉ねぎがぺたんとしてとろける感じになったら豆の鍋に移し、ふたをして加熱をつづけます。
E コンキリエを別の鍋でゆでて加え、塩で調味して出来上がりです。
 
スプリット・ピーは乾燥させたえんどう豆ですが、皮がとれていて豆が半球状に割れているのでスプリット・ピー(割れている豆)という名がついています。
この豆にもイエローとグリーンの2種類があり、豆の色がスープの色になりますので、グリーンのスープを作るときにはグリーン・スプリット・ピーを使います。
 
 
◆「ダール・スープ」レシピ
 
《材 料》 (4人前)
イエロー・スプリット・ピー1カップ、玉ねぎ2個、にんにく1片、しょうが1塊、
ターメリック(うこん)小さじ1。
《作り方》
@ 5カップの水を鍋とり、豆を入れてふたをし、弱火にかけておきます。
A 別の鍋につぶしたにんにくを入れ、オリーブ油をかけてふたをし、弱火にかけておきます。
B にんにくに焦げ色がつきかけたら、薄くスライスした玉ねぎを入れてオリーブ油を加え、ふたをして加熱をつづけます。
C 玉ねぎがしんなりしてかさが減りましたら、おろしたしょうがを加え、ふたをして加熱をつづけます。
D 玉ねぎがぺたんとして、とろける感じになったところで、豆の鍋に移します。
E ターメリックを加え、塩で調味して出来上がり。
最終的にスープの濃度は、水を足して好みの濃度に調整してください。
 
 
 
● 夏の料理の救世主・
アボガドとにがうり!
 
アボガドとにがうりは、夏の料理の救世主になってくれる野菜です。
いずれも極めて栄養価が高く、しかも生で食べられますから、切るだけで即席の一品になります。
 
高温野菜のにがうりは夏が旬で、夏のにがうりに含まれているビタミンCの量は、100g中に120mgという多量です。
ビタミンCの含有量で、これを超える野菜は他にありません。
 
にがうりはそれだけでなく、血糖値を改善する成分を含んでいます。
Pインスリンと呼ばれる植物性インスリンで、この物質はインスリンと同様の働きをしますから、にがうりを食べますと血糖値が下がります。
 
さらににがうりは、インスリンをつくり出すすい臓のβ細胞を活性化させるカランチンという物質を含んでいますので、血糖値を大きく改善します。
 
それだけでもたいへんに栄養的な価値のある野菜ですが、にがうりには共役リノレン酸が含まれてい手、食べるとこれが共役リノール酸に変わります。
 
共役リノール酸は内臓脂肪が気になる方にはとくに重要な栄養素で、脂肪細胞の中の脂肪分解酵素を活性化するだけでなく、脂肪を熱に変えるタンパク質を増加させる働きをいたします。
つまり、体脂肪の燃焼を助けてくれるわけで、メタボリック症候群の予防・改善にも、大いに役立つ野菜です。
 
これだけの栄養を含んでいる野菜ですから、おいしいだけでなく食べた後の充実感が違います。
 
調理の基本は、へたの近くを1cmくらい切り取り、縦2つに切り、種を取り除くこと。
指でも除けますが、さじを使うと簡単です。
あとは、生食の場合はごく薄くスライスし、炒める場合は、5〜6mmにスライスします。
 
豆腐と卵を加えて炒めるのが、有名な沖縄の郷土料理のゴーヤちャンプルですが、にがうり単独で炒めれば長短時間で充実した一品ができます。
いずれの場合も栄養素を守るために、にがうりの加熱は最小限にすること、それが料理のポイントです。
 
にがうりを丸ごとジュースにしますと、栄養価の高い清涼飲料になります。
その場合は種も除きません。
種にも重要な栄養素が含まれているからです。
 
にがうりとアボガドは料理の相性もよく、にがうりのアボガド和えは、夏の疲れを取ってくれる即席料理の秀逸です。
 
■ にがうりのアボガド和え
《材 料》
  にがうり1本、アボガド1個、レモン1個(トマト1個)。
《作り方》
@ レモンを絞っておきます。
A アボガドをタテ2つに、包丁が種に当たるまで切ります。
切ったアボガドを両手に持って、ねじるように回すと2つになります。
ボウルにとり、皮を除いてレモン汁をかけておきます。
B にがうりのへたを除き、タテ2つに切って、種を除きます。
C 薄くスライスし、アボガドに加えてよく混ぜ合わせ出来上がりです。
トマトを適宜に切って加えれば、より充実した一品になります。
 
 
◆「アボガドのサラダ」レシピ
《材 料》
  アボガド1個、トマト2個、玉ねぎ半個、レモン1個。
《作り方》
@ レモンを絞っておきます。
A アボガドをタテ2つに、包丁が種に当たるまで切ります。
切ったアボガドを両手に持って、ねじるように回すと2つになります。
ボウルにとり、皮を除いてレモン汁をかけておきます。
B トマトのへたをくりぬき、皮つきのまま1cm角のサイコロに切って加えます。
C 玉ねぎを5mm角のサイコロに切って加え、全体をよく混ぜ合わせて出来上がりです。
 
 
◆「にがうり炒め」レシピ
 
《作り方》
@ へたの近くを1cmくらい切り取り、タテ2つに切って、種を除きます。
A 5〜6mm幅にスライスしてボウルに取り、塩を少々加えて混ぜ合わせます。
B 鍋にふたをして中火にかけ、1分間加熱してからにがうりを入れ、その上からオリーブ油をかけて、ふたをします。
C ふたを取り1、2度、上下を返し、にがうりの緑色が深まったら出来上がりです。
卵を加えてつくりたいときは、卵を溶いて塩を加え、Cの段階で鍋に加えます。
 
ゴーヤ・チャンプルにするときは、
@ 豆腐1丁を鍋に入れ、ぱらぱら塩をふりかけ、蓋をして弱火にかけておきます。
A 豆腐から出てきた水を捨て、強火にして塩をふったにがうりを加え、オリーブ油をかけて、蓋をします。
B 溶いて塩を加えた卵を入れ、豆腐の上に削り節を一つかみのせてしょう油をかけ、全体をかき混ぜながら炒めます。
C にがうりの緑色が深まったら出来上がりです。
 
 
 
● 長寿王国・沖縄で
重宝されるとうがん!
 
とうがんは、冬瓜と書きますが、インド原産の野菜です。
露地栽培の高温野菜なので、出回り期は初夏から秋口に限られています。
 
とうがんの味は淡泊なので、ほとんど味がないように感じますが、だしの効いた味噌汁の実にしますと、おいしさがわかります。
 
暑い日にはとくに食べていくうちに、滋味が感じられてきて感動しますが、夏の疲れを癒す何らかの成分が含まれているのでしょう。
食べ終えて生き返った感じがします。
 
とうがんがアメリカに伝わったのは19世紀といわれていますが、全く普及せず、現在でもアメリカでは際倍されていません。
アメリカ的食事の食材にはなりえなかったわけで、ファイトケミカルの研究が最もすすんでいるアメリカでも、とうがんの分析はまだ行われていません。
 
ですから、たくさん含まれているに違いないとうがんの有効成分を知りえないのは残念ですが、わが国でとうがんを最も多く食べてきた沖縄では、とうがんをシブイと呼んで、経験的にシブイが暑い季節の健康維持に欠かせないことを知っていました。
そして、もっぱら汁の実にして食べてきています。
 
中国薬膳料理では、夏負けによる食欲不振や、腎臓障害によるむくみには、とうがん料理が供されてきています。
そして、わたと呼ばれる種の部分は捨てずに絞ってジュースにして飲んできています。
それを涼水(リャンスイ)といっていますが、冷やして飲むとおいしく、まさに清涼飲料水です。
 
 
◆「とうがんのふくめ煮」レシピ
 
《作り方》
@とうがんを食べやすい大きさに切ります。
まず皮をつけたまま2つに切り、それを皮をつけたまま2つに切り、というように切っていって、皮をむきやすい大きさにしてから皮をむくようにします。
それを食べやすい大きさに切ります。
A切ったとうがんを鍋に重ならないようにいっそうに並べて入れます。
Bひたひたまで調味した基本のだし汁を注ぎ、ふたをして中から弱火にかけておきます。
C噴いたら蓋を少し開け、少し透明感が出て竹串がすっと通ったら火を止めます。
煮汁ごと器に漆手味を含ませます。
冷めても味を含んでいますから、煮汁に使っている必要があります。
食べるときは煮汁も皿に少し張ってよそり、とうがんと一緒に賞味します。
 
 
 
● ブレイズにして食す
じゃがいものおいしさは圧巻!
 
セロリとじゃがいものフレイズは、ほとんどじゃがいもの皮をむくだけの手間でできる料理ですが、おいしくて充実感をもたらします。
 
火にかけておけばよい料理ですから、その間に他のことをできますし、忙しいときは本当に助かります。
 
この料理は、材料を鍋に入れたら水と油を加え、ふたをして加熱を進めます。
油に水が混じっていますので、温度が100度を超えることはありません。
このように少量の水と油で蒸し煮することを、英語でブレイズといっていますが、この調理法のよいところは油が水と混じっているために油の酸化が大幅に食い止められる点です。
 
油が空気と直かに触れた”乾燥”状態で加熱が進むフライやソテーに比べますと、油の酸化はゼロといっていいくらいです。
ですから、この料理ではオリーブ油も食材のひとつとして、その風味を味わうことができます。
 
ともかくブレイズしたじゃがいものおいしさは圧倒的で、老若男女に好まれますが、メークインが特に、この料理に合っています。
 
 
◆「セロリとじゃがいものブレイズ」レシピ
《材 料》 (2〜3人前)
  セロリ3茎、じゃがいも(メークイン)2〜3個。
《作り方》
@セロリの茎を2つに切り、それをタテ2つに切って、ぱらぱら塩を振ります。
Aそれを鍋に入れ、オリーブ油大さじ1を注ぎ、水を2cmの深さに針、ふたをして中火にかけます。
Bじゃがいもの皮をむき、2つに切って塩をまぶし、セロリの上に乗せ、ふたをして加熱をつづけます。
Cときどきふたを取ってみて、水がなくなっていたら水を足し、火が強すぎれば弱めます。
D約25分間加熱して、じゃがいもに竹串が通ったらでき上がりです。
 
 
 
● 低カロリーの高たんぱく食品・きのこ!
 
キノコは92%が水分で、それは他の野菜とあまり代わりがありませんが、水分を除いた乾燥重量の69%が食物繊維です。
食物繊維以外の炭水化物はゼロに近いのでカロリーは少なく、100gのキノコがもたらす熱量は、わずか10キロカロリーです。
そして、野菜には珍しくタンパク質を多く含んでいます。
乾燥重量の25%タンパク質という高タンパク食品なのです。
 
キノコは、低カロリーの高たんぱく・高食物繊維食品ということができますが、ファイトケミカルはグルカンと呼ばれる多糖類を豊富に含んでいます。
 
グルカンには、キノコによって異なるたくさんの種類がありますが、みな抗がん作用を持っています。
その作用は、がんに対して直接的ではなく、白血球に働きかけて、がんの発生と進行を阻止するのです。
つまり、免疫機能を高めることでがんを防ぐのですから、免疫機能の低下による病気に対しては、みな改善する方向に作用すると考えられています。
 
キノコの季節は秋で、秋も深まりますと売り場に並ぶキノコの種類が増えてきます。
そしてふだん見かけない天然種のキノコにも出会うことがあります。
そういうもののひとつに、しめじの天然種のヒラタケがありますが、白菜と一緒にブレイズすると、野菜の味に感動させられる一品になります。
 
ヒラタケのうまみと白菜の甘味が一体になって、何ともいえない渋味を感じさせる味になるのですが、白菜から出てくる甘味は、抗がん作用と肝臓の働きを助ける作用を持ったグリコシノレートというファイトケミカルがもたらすものです。
この物質は加熱のよって壊れますが、ブレイズの加熱度では壊れません。
 
 
◆「ひらたけと白菜のブレイズ」レシピ
《材 料》 (2人分)
  ヒラタケ1パック、白菜4分の1個。
《作り方》
@ヒラタケに塩を振り、鍋に入れてオリーブ油を大さじ1加え、ふたをして弱火にかけておきます。
Aヒラタケから水が出て、少し少なくなりましたら、白菜を適宜に切り、塩を振って加え、火を強めます。
B1、2度、白菜の上下を返し、ふたをして弱火に戻します。
C白菜に浅く火が通ったら出来上がりです。
 
 
 
● ナポリタンの命はたっぷりのトマト!
 
トマト・ソースのナポリタンくらいシンプルなものはありませんが、数あるパスタ料理の中でも最もおいしいもののひとつです。
 
この料理のポイントは、玉ねぎ1個に対してトマト1kgという比率にあります。
この比率でつくらないと、このトマト・ソースのスパゲッティはおいしくできません。
シンプルなだけに材料の比率が重要なのです。
 
にんにくを抑えて使うことで、バジルの香味との釣り合いも取れ、トマトの味が引き立ちます。
フレッシュバジルがない場合は乾燥バジルを使うしかありませんが、それでもほぼ同じ味にまとまります。
 
バジルの代わりにパセリを使う場合は、パセリの香味が強いので、にんにくは刻んで使ったほうがよいかもしれません。
ただし、焦げるまで炒めて、においをできるだけ殺しておく必要があります。
 
 
◆「トマト・ソースのスパゲッティ(ナポリタン)」レシピ
《材 料》 (2人分)
  トマト1kg、玉ねぎ1個、バジル1パック、にんにく1片、スパゲッティ200g。
《作り方》
@にんにくをつぶして鍋に入れ、オリーブ油で炒めます。
Aにんにくに焦げ色がついたら、薄くスライスした玉ねぎを加えて炒めます。
B玉ねぎがしんなりして、かさが減ったら湯むきしたトマトを粗く切って加え、ふたをして火を弱めます。
Cトマトが煮くずれたら塩で調味し、ふたをとってしばらく煮て少し濃度を高めます。
Dバジルを粗くはさみで切って加え、ソースの出来上がり。
Eアルデンテ(少し歯応えのある程度)にゆでたスパゲティを皿によそり、ソースをかけて出来上がりです。
 
 
 
 
● ミネラルバランスを取り戻せるヒジキ!
 
海藻はみな最高のミネラル食品ですが、ヒジキは全食品中トップのカルシウム源、鉄源です。
それに比してリンの含有量は少なく、カルシウム対リン比は14対1と群を抜いた低リン食品です。
 
カルシウムとリンはバランスが取れていなくてはならないミネラルですが、現代人の食事は高リン低カルシウムになって、バランスを壊しています。
ですから、ヒジキのような高カルシウム・低リン食品を食べて、バランスを取り戻さなくてはなりません。
 
ヒジキは、こんぶやわかめと同じ褐藻で。生は黄褐色をしていますが、渋味が強いので渋味を抜く加工をして乾燥させたものが売られています。
それが黒い色をした干しヒジキです。
 
おいしい海藻で、そのうま味は、椎茸と同様にグアルニンさんやシチジル酸などの核酸成分が生み出しているものです。
 
ヒジキの下処理は、干しヒジキを水に漬けて戻すことで、水を替えながら30〜40分間漬けておきます。
それで戻りますから、洗って水を切り、下処理は完了です。
 
戻したヒジキは、そのまま酢味噌で和えても食べられます。
野菜と一緒に炒めることもできます。
その場合は塩で調味します。
 
「ヒジキに油揚げ」といわれるくらい、ヒジキには油揚げがつき物で、昔からヒジキの煮しめには油揚げが入っていました。
 
油揚げは、いうまでもなく豆腐の水を出して揚げたものです。
そうやって豆腐を煮物に使えるように工夫したのは先人の偉大な知恵ですが、ヒジキの煮しめは、油揚げを入れると豆腐の栄養が加わることになってタンパク質とビタミンB群が増え、充実した一品になるだけでなく、よりおいしくなります。
 
 
◆「ヒジキの煮しめ」レシピ
《材 料》
  干しヒジキ1パック、油揚げ2枚。
《作り方》
@干しヒジキを水に戻します。
水を替えながら30〜40分間漬けて洗い、水を切っておきます。
A適宜に切った油揚げと、戻したヒジキを鍋に入れ、ヒタヒタまで酒を注ぎ、しょう油を加えて中火で加熱します。
しょう油は加えすぎないように注意してください。
最初は少量にしておきます。
B煮詰まってきたら味を見て、しょう油が不足なら足すようにします。
甘味が不足なら酒を足しながら煮て、味を調えて出来上がりです。
 
 

 

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池田 優

 

 

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