山ちゃんの食べもの考

 

 

その283
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
 
『食は生命なり』 【140】
「胃腸は語る」ゴールド編
「健康の結論」
新谷弘美著 弘文堂 刊
その6
 
 
第3章 病気はこうして予防する  の1
 
病気になってからあれこれ治療するのではなく、
日頃から食生活を初めとする生活習慣に気をつける・・・
病気の予兆があらわれたら自分の生活を見直す・・・
これが基本です。
私がおすすめする食事法、食事を補うサプリメントなど、
具体的に詳しく解説します。
 
 
■ どんな病気でも、間違った食生活を改めない限り
完治することはない
 
病気というのは天気と同じようなものだと、私はいつもお話しています。
晴れた空から、急に雨が降ってくることはありません。
晴天がだんだんと曇り、雨粒が落ちてきて、それから雨になります。
人間の体ももまた、健康な状態から、どうも体調がすぐれないという半健康な状態が数年続いて、それからはっきりと名前のついた病気になるのです。
 
たとえば、血糖値が時々高くなる人がいます。
その人が、毎日アルコールを飲み、煙草を吸って、甘いものや肉、脂っこいものを食べ続け、運動もほとんどしない、おまけに仕事でストレスをつねに抱えている、といった生活を送っていたら、どうなるでしょうか。
おそらく、2〜3年もしないうちに本当の当の糖尿病になり、動脈硬化、高血圧、腎臓・心臓病などを併発し、やがてはガンをも発症することになるでしょう。
それは、その人が病気を招きよせるような生活を続けているからです。
 
けれども、糖尿病の予備軍と診断された時点で、これはいけないと自覚し、食生活や生活習慣を改善すれば、健康を回復することができるのです。
どんな病気でも、いったん病気になれば、間違った食生活を改めない限り、どんな薬を飲んでも根治することはできません。
ある程度、薬によって症状を緩和することはできても、絶対に治ることはないのです。
 
私の長年の臨床体験からいいますと、内視鏡検査で胃腸を見れば、その人の健康状態のみならず、食事の内容、生活習慣、寿命まで推測することができます。
胃相・腸相の悪い人は、いまは健康を保っていても遅かれ早かれ何らかの症状が出てきますし、そのまま悪い食生活や間違った生活習慣を続ければ、慢性の生活習慣病が起こり完治することが難しくなります。
 
胃が強い萎縮性変化を起こしていたり、大腸に憩室(ポケット状のくぼみ)があったり、便の残存が多く見られる人は、胃ガンや高血圧、糖尿病、心臓病、高脂血症といった病気になり、いずれガンになる可能性も高いのです。
人の胃腸には胃相・腸相があり、その健康状態は胃相・腸相にあらわれるというのがわたしの理論の基本です。
良い食事を摂り、良い水も飲み、きちっと排泄をして、適度な運動をし、精神的な充実感を得る。
これを原則として、生活習慣を変えていけば、間違いなく免疫力・低抗力・自然治癒力のある健康な体になります。
 
大切なことは、病気になってからあれこれと治療するのではなく、日頃から病気にならないように気をつけて予約することです。
あるいは、病気の症状が出てきたり、予兆があらわれたら、まず生活習慣を見直すことです。
もし、病気になってしまったとしたら、再発しないようにきちっと予防することが、その人の健康と長寿を守るのです。
 
それでは、実際にどのようなことを実践すればよいのかというということですが、これまで述べてきたように、生命活動をつかさどる体内酵素を消耗しないような生活をして、腸内細菌のバランスを崩さず、活性酸素を除去していくことが必要です。
とりわけ腸内細菌は、私たちの体にとって非常に大事なものです。
腸内細菌は多くの体内酵素を作り出し、活性酸素や体内の体内の有害物質を排除して、免疫機能の働きを高めれくれます。
このような腸内細菌を活性化するものは何かというと、われわれの体を作る食べ物と水、そして生活習慣そのものと幸せな生活に他ならないのです。
 
ほとんどの病気というのは、一つや二つの原因で起こるわけではありません。
ですから、一つや二つの原因を攻略しようとする薬剤では根治できません。
何か一つの原因でで病気になるのではなく、いくつもの複合的な原因によって病気になる体質を、われわれ自身が作ってしまうからです。
その複合的な原因というのは、悪い食品、悪い水の摂取、間違った食習慣、大気汚染、農薬、電磁波、商品添加物などの有害物質です。
したがって、病気から体を守るには、われわれの生活全体を見なければ、根本的な予防にはならないのです。
農業をふくめた社会全体のありようにも目を向ける必要があります。
 
健康状態には、閾値(いきち)というものがあります。ここでいう閾値というのは、ここまでなら健康を回復できる、ここまでいったら食事療法やサプリメントなどによる治療は見込めないという限界値といえばいいでしょうか。
どうもこの頃調子が良くない、頭痛がする、肩こりがひどい、疲れやすい、イライラする、血圧が高くなった、血糖値や尿酸値が上がった、というのであれば、まだ病気に至らない未病の間に、食生活を含む生活習慣を変えていくことです。
限界値にいくまでに、食生活と生活を改めることが何よりも重要です。
 
食事・水・排泄・運動・休養と精神的な充実感(幸福感)。
この5点が健康と長寿の原点です。
この5つの原則について、それぞれ病気予防法を詳しく述べていきましょう。
 
 
 
■ 体内酵素を保ち、腸内環境を浴する食事
 
●自分の食事を見直してみる
 
現在、私はアメリカと日本で多くの人の胃腸を内視鏡で診察し、治療をしています。
毎日たくさんの患者さんを、長期間にわたり定期的に経過観察をしていますと、食べ物と水・飲みもの、排泄がいかに健康に影響を及ぼしているかがわかります。
私どもの医療センターでは、検査や診察に当たって、病気や家族暦だけでなく、食歴、生活習慣なども詳しく質問しています。
食歴は重要な要素だからです。
食歴を詳しく聞き、そのうえで胃腸の内視鏡検査をすることで、その患者さんの健康状態を正確に把握できると思うからです。
 
たとえば、大腸内視鏡(コロノスコープ)で大腸内を検査したときに、腸が硬く短く、粘膜に飛騨が多発し、宿便が多く残存している患者さんがいます。
このような腸相の場合、多くの患者さんが、大腸けいれん症、憩室症、大腸ポリープ、大腸ガン、乳ガン、前立腺ガンなどになっています。
こういう人は、ほとんどが肥満であり、年齢よりも老けていて、高血圧、心臓病、高脂血症、高尿酸症などの合併があります。
 
しかも、こういう人は、ほぼすべての人が精製された穀物を摂り、高動物たんぱく食、高脂肪の食物を常食しているのです。
もう少し詳しく言いますと、右側の大腸憩室は、白米、白パン、パスタなど精製された穀物の多い人にできやすく、左側の憩室(特にS字結腸・下行結腸)は、肉、乳製品の多い人に見られます。
 
それに比べると、アメリカ人でも日本人でも、精製されていない穀物、豆類、野菜、果物を良く食べる人は、とくても良い腸相をしています。
腸が非常にやわらかく、ひだも大きく均等です。
内視鏡検査をするときに、腸に空気を入れるとうっすら脹らみます。
こういう人は、体全体も健康で、見た目も若々しいのです。
年齢が高くても老けていなくて、皮膚にしわシミが少なく、肌がとてもきれいです。
逆にいえば、見た目の印象が若々しい人は、実際に内視鏡で検査してみると、腸相もきれいな場合が多いようです。
 
健康や長寿を映し出す胃相や腸相を決めるのは、食物と水です。
食歴を聞いて、内視鏡検査をし、胃相・腸相が悪いとしたら、なぜそのような悪い胃相・腸相になったのかはっきりします。
ある患者さんが受診をして、胃痛と吐き気を訴えたとします。
そこで幼少の頃から現在に至るまで、どのような食物をどのように食べてきたのか、その人の食歴を聞けば、内視鏡で検査をするまでもなく、何が原因で、どこが悪いのかある程度わかるわけです。
 
ですから、健康を保ち、病気を防ぎ、長生きをしたいのであれば、まず自分の食歴を見直してみてください。
自分はこれまで何をどのように食べてきたのか、そして何をどのように改めればよいのか、それを知ることが、食事健康法を始める第一歩です。
 
 
● 自然のものを自然に従って食べる
 
近頃は「この食べ物が体に良い、この食べ物はこういう病気に効く」といった情報が溢れています。
そうした情報の惑わされてしまいがちですが、健康のために何をどのように食べるべきかというときには、原点に返ることです。
原点とは何かというと、自然のものを自然にかなったかたちの配分で食べる、ということです。
体の健康を考えたら、自然のものを食べることがいちばんです。
野菜や穀物や果物は、生育していく過程で、太陽と土と水から栄養を吸収しています。
人間はそのような食物を食べることで、自然の恵みを体に取り込んでいます。
ですから、何を食べるべきかというと、自分が生まれた土壌で育ったものを、なるべく自然なまま食べることが大切なのです。
 
それでは、その自然のものをどのような配分で食べるかというと、これも自然に従うのがいいわけです。
たとえば、人間も含め、動物がものを食べるには歯で噛んで食べます。
この葉の構成が、食物の配分と関係してきます。
他の動物の肉を食べる肉食動物の歯は、全て犬馬です。
ところが、他の動物を全く食べない草食動物の歯は、犬馬がなく、臼歯と門歯(前歯)があります。
では、人間はどうかというと、5対の臼歯、2対の門歯、1対の犬馬があります。
人間の臼歯は穀類や豆類を食べる歯、門歯は野菜や果物を食べる歯、犬歯は動物を食べる歯というように、噛む食物によって歯の構成ができている、と、多くの先駆者から説明されています。
 
ですから、穀物・豆類、野菜・果物・動物をそれぞれ5対2対1の歯の構成に従って配分します。
穀類・豆類を5、野菜・果物を2、肉類・魚介類を1の割合で食べれば、バランスの取れた食事になります。
さらに人間の歯の構成からすると、穀類・豆類の5と、野菜・果物の2の植物食をあわせて7とし、肉類・魚介類の動物食を1とします。
したがって、植物食と動物食の比率を、7対1(85〜90%対10〜15%)にして食べることが自然の摂理にかなっていると考えられます。
 
肉類や乳製品を多食する現代人は、まずこのような自然の摂理を忘れているように思えます。
自然界の動物を見ると、草食動物は草や葉や木の芽や穀物などを食べています。
そして、肉食動物は主に草食動物を食べます。
肉食動物が草食動物を好んで食べるのは、その腸内で消化された植物や植物の酵素を間接的に食べているわけです。
人間の場合、肉食動物と違って犬歯は1対しかないのです。
ということは、人間が動物食を多食するのは、非常に危険なことです。
 
ちなみに、人間とチンパンジーは遺伝子が99%同じです。
チンパンジーの食事を観察すると、約50%が果物、約45%が葉や草などの植物で、あとは4〜5%がアリなどの昆虫です。
つまり95%が植物食で約5%が動物食なのです。
チンパンジーは肉も食べなければ、卵や魚も食べない、もちろん牛や他の動物のミルクも飲みません。
遺伝子がほぼ同じチンパンジーの食べるものを見ると、人間もこれに近い食事をするのが自然な姿ではないかと考えられます。
 
人間が自然の一部であり、自然の中で育まれていることを忘れたら、健康に生きていけるはずがありません。
人間も他の動物と同じように、自分の体に見合った食物を摂るべきです。
自然のものをどのような配分で食べればよいか。
穀物・豆類・野菜・果物、海藻類を7、肉類・魚介類を1の割合で摂るというのが、人間の食生活の大原則です。
 
 
 
■何を、いつ、どのように食べればよいか
・・・新谷式食事健康法
 
私は長年、胃相・腸相の悪い人には、食事法を指導してきました、
自然の摂理のかなった食事をしていると、胃相・腸相は目に見えてよくなってきます。
それでは、何を、いつ、どのように食べればよいか、私が行っている新谷式食事健康法の要点を説明しています。
 
 
●植物性のものは85〜90%、動物性のものは10〜15%
 
植物食と動物食の比率を7対1にするということは、代替植物食が85%〜90%、動物食が10%〜15%という割合になります。この比率を見ると、植物性の割合がずいぶん多いと思われるかもしれません。しかし、現代人は動物性たんぱく質や脂肪を摂りすぎています。野菜、海藻類、精製されていない穀物から、ビタミン・ミネラル・酵素をしっかり摂らなければ、からだの免疫力、抵抗力、工場制を長く保つことはできません。
 
 
●精製されていない穀物・副穀類を積極的に摂る
 
85%^90%の植物食の中で、主体となるのが穀物や副穀類(私は「雑穀」という呼び方は不適当だと思います)です。
これは全体の40%〜50%にあたります。
 
穀物というと、普通は白米を食べることが多いのですが、精製された白米は、ビタミンBやEや酵素などが取り去られています。
精製された白米は、自然のものを丸ごと食べるという理想からかけ離れた食物なのです。
ですから、白米ではなく玄米や3分づきの胚芽米に、栄養素の豊富な押し麦、ヒエ、アワ、キビ、アマランサスなどの副穀類を混ぜ、毎日食べるようにします。
 
精製されていない穀物には、たんぱく質、炭水化物、脂肪、食物繊維、ビタミン、ミネラル、酵素がバランスよく含まれています。
特に玄米に含まれている酵素や食物繊維は、体内酵素の補充、便秘解消、有用菌の増殖に役立ちます。
 
 
●旬の野菜類・果物を副食の中心にする
 
30%〜40%は野菜類・果物・海草とし、ナッツ類、豆類(大豆製品の豆腐や納豆も含む)は5%くらいにします。
果物や野菜はビタミン、ミネラル、フラボノイド、ファイトケミカル、酵素をたっぷり含んでいるので、その季節のものを多種類摂るようにしましょう。
 
気をつけたいのは、ナッツ類と豆類です。
ナッツ、豆腐、納豆、そら豆、いんげん豆などは健康に良い食物ですが、摂りすぎるとたんぱく質が腸内で異常発酵をする原因になります。
また果物についても、食後に摂ると、果糖によって胃腸の中で発酵を起こしがちです。
果実が胃から腸にいく時間は、だいたい30分くらいかかりますので、果実は3、40分前にとるのがよく、夕食後のデザートに食べるのではなく食間または食事の30〜60分前に食べるようにしてください。
 
 
●動物食は魚介類を摂り、肉類・乳製品は少なく
 
10%〜15%の動物食は、できるだけ魚介類を摂るようにします。
一つには肉類のたんぱく質のとりすぎは、脂肪のとりすぎにつながるからです。
また、肉類の脂肪をとりすぎると、コレステロールの増加を招きます。
一方、魚介類の脂肪酸(EPA/DHA)は血液をサラサラにし、コレステロール値を下げます。
 
魚介類は丸ごと食べられるの小魚が最良で、魚肉、貝類でもかまいませんが、いずれにしても1日100gくらいに止めてください。
また魚肉の場合、煮る、焼くなど加熱するより、酵素が取れる新鮮な生の刺身が理想です。
 
動物食の中で、肉類については牛、豚、ハム、ソーセージ、ベーコンなどは、食べるとしても少量を月に2〜3回にします。
鶏、卵、牛乳、乳製品も、せいぜい週1〜2回にしてください。
 
 
●体によい食習慣を続ける
 
食物そのものも大事ですが、良い食習慣を続けることも非常に大切です。
よい食習慣のポイントの一つは、よく噛むことです。
一口30から50回くらい噛むと、粉状になって喉から流れていきます。
噛むことによって唾液の分泌も活発になり、胃液や胆汁とよく混ざって、消化・吸収の働きが高まります。
よく噛んで食物の分子を細かくすることで、消化酵素の消耗を軽減し、同時に食物が無駄なく少量でも効率よく栄養が体にいきとどくわけです。
 
それから、夕食は練る4〜5時間前までに済ませることも大事です。
つまり寝る前の4〜5時間は、決して飲んだり食べたりしないことです。
就寝中に胃の中が空になっていると、正常な強い胃酸が出て、胃の中の雑菌を殺してくれます。
寝ている間に雑菌を胃酸でしっかり殺すことで、腸内細菌のバランスを保つことができます。
 
また、夜遅く食べると必ず肥満になります。
これは夜中にインスリンの分泌が増し、炭水化物やたんぱくを脂肪に変えるからだといわれています。
 
食習慣について、何度でも強調したいのは、規則正しく食べるということです。
1日2〜3回しっかり食べる。
そして、大食をしない。
小食が健康によいのは、体内酵素の消化酵素を無駄遣いしないからです、
規則正しく食べ、よく噛んで、腹八分目にしておく。
こうした食習慣をきちんと守ることが、ガンやさまざまな病気を防ぐ基本です。
 
 
 
■ 生の食物を摂る・・・おすすめは発芽玄米の生汁
 
現代人は、ビタミン、ミネラルとともに体内酵素を必要以上に消耗させる環境に生きています。
これまで述べてきたように、環境汚染、加工食品、電磁波、ストレスなど、現代社会のありようはわれわれの体内酵素をどんどん消費させます。
体内の酵素が消耗されれば、食物から酵素をたくさん取り入れればよいのですが、それも十分とはいえません。
 
大きな理由は、食物に含まれている酵素は熱に弱く、加熱処理する過程でなくなってしまうからです。
人間を含め生命のあるところ、必ず酵素があり、野菜や果物や、穀物や肉類、魚介類すべてに酵素があります。
 
ところが、これら食物の酵素は、48度から115度の熱で死滅してしまうのです。
ですから野菜を摂るにしても、煮たりゆでたり炒めたりするだけでなく、生野菜もたっぷり摂る必要があります。
肉類は生で食べることはほとんどありませんが、魚介類も先ほど述べたように、刺身で食べたほうがいいのです。
 
それと、私がおすすめするのは、発芽玄米の生汁です、
発芽玄米というのは、玄米を一晩水につけて、0.5〜1ミリほど発芽させたものです。
発芽させることによって、眠っている酵素を目覚めさせ、玄米の栄養素の吸収をうながすわけです。
 
玄米には、ビタミンやミネラルや酵素がたくさん含まれています。
体内で酵素がうまく働くにはビタミンやミネラルが必要です。
したがって、ビタミンとミネラルと酵素が全部そろって含まれている発芽玄米を、生のままジュースにして飲むことは、効率的な栄養素の補給の方法といえます。
発芽玄米の生汁を1日一杯飲めば、いっぺんにビタミンとミネラルと酵素を摂取できるのです。
 
発芽玄米の生汁のつくり方は簡単です。
@ 夜寝る前に、大さじ2杯の玄米を100ミリリットルの水につけておく。
A 翌朝、水につけておいた玄米(発芽している状態)をミキサーにかけて粉砕する。
B コップに移し、ティースプーン1〜2杯のハチミツを入れて混ぜ合わせれば出来あがり
 
この発芽玄米の生汁は、原則として朝食の前に飲んでください。
毎朝きちんと食事を摂っている人は、朝食の前に飲み、そのあとに生野菜のサラダや果物を食べてください。
朝、食欲のない人はこれだけでよい栄養が取れるので、生汁だけでも飲むことをおすすめします。
 
体内酵素やビタミン・ミネラルが不足したり、それらをスムーズに働かせる良い水の摂取が不十分だったりすると、健康を害し、老化を早めます。
ところが私たち人間は、大昔に火を使って食物を加熱することを覚えました。
約5000種類いるといわれる哺乳動物の中で、消化酵素を必要とするのは、人間と人間に変われて加熱した餌や加工した餌を与えられている犬や猫だけです。
他の哺乳動物は、酵素が含まれている生の動物や植物をそのまま食べるため、消化酵素を必要とせず、消化のために体内酵素を消耗することもないのです。
 
現代人は生の食物を食べることが非常に少なくなっています。
それゆえ体内酵素が早く消耗され、子供のときから病気がちになっていると考えられます。
ぜひ生の野菜、魚の刺身、発芽玄米の生汁などから酵素を摂取して、また植物性の発芽食品もよく食べて体内酵素の補給をするようにしてください。
酵素サプリメント、消化酵素の摂取も健康維持に役立つと思われます。
 
 
 
■ 酸化した食物は摂らない
 
活性酸素についてはすでに述べましたが、もう一度いいますと、活性酸素というのは、体を酸化させ病気や老化を起こさせる物質です。
食事についても、酸化した食物はできるだけ避けるべきです。
酸化した食物を避けることによって体を酸化させず、健康を保つことができるわけです。
 
たとえばリンゴやジャガイモの皮をむいて放っておくと、茶色から黒っぽく変化していきます。
これは酸化の例です。
ごまでも、すりつぶして皮を砕き、すぐ使わずに置いておくと、ごまの油分が空気中に2%あるといわれる活性酸素により酸化されてしまいます。
米でも、玄米から糠と胚芽を除いた白米は、いわば酸化した(すなわちサビた)米ということです。
つまり酸化するということは、食物に手を加えることで、食物がサビ、崩壊、腐敗しはじめるということです。
 
ですから、自然のものを丸ごと食べなさい、新鮮なものを、また作り立てのものを食べなさいというのは、要するに酸化してないものを食べなさいという意味があるのです。
だから酸化していない食物は新鮮でおいしいのです。
活性酸素を発生させるインスタント食品や加工食品はもちろん、調理・加工する段階で酸化したものもできるだけ摂らないほうが良いのです。
 
調理・加工する段階で酸化するものの中で、注意していただきたいのは植物油です。
現在は油の製法が、かつてのような圧搾方とともに、原料にヘキサンという化学溶剤を入れて高熱・高圧のもとで油を抽出する化学溶剤抽出法になっています。
この方法でできた油は、トランス脂肪酸という体に悪い酸化物質を含んでいます。
トランス脂肪酸は、圧搾法でも、また高熱化でも発生するので、現在製造されている多くの油に含まれています。
体に良いといわれるサラダ油やコーン油などの植物油でも、そのような製法でできた油の摂りすぎは絶対に禁物なのです。
オリーブ油にも含まれています。
 
それでは、トランス脂肪酸は、なぜ体に悪いのでしょうか。
トランス脂肪酸は、いわば不自然な化学結合をしており、脂肪の分子の炭素と水素が異常な形で結びついています。
植物・種子に含まれる油は、正常な炭素と水素結合がシス型であるのに対し、絞ったり抽出したりした油はトランス型になっているのです。
 
脂肪酸は細胞膜を構成するものですが、そこに異常なトランス型の脂肪酸が入ってくると、細胞にダメージを与えます。
また体の酵素や補酵素であるビタミンやミネラルを消耗します。
それがガンの原因になったり血圧を上げたり、コレステロール値をあげたりするわけです。
 
マーガリンなどは、トランス脂肪酸が含まれる植物湯に、水素を加えることで固めて作っています。
欧米では、油やマーガリンのトランス脂肪酸について、含有量の上限値を定め、それを超えるものは販売禁止にしている国もあります。
ところが日本ではそのような基準は決められていないのです。
 
現在、さまざまな種類の植物油が市販されています。
それらの植物油は、昔のように早く腐敗しない代わりに、その成分のトランス脂肪酸が細胞に打撃を与えて、いろいろな病気を引き起こします。
どのような油にせよ、私はできるだけ調理に使わないことをおすすめしますが、完全に排除をするのは難しいので、使う油は厳選したいものです。
 
我が家では、昔ながらの圧搾法で抽出したごま油と、エクストラバージンオリーブ油をときおり使っています。
また、いくつもの油を混ぜたサラダ油は使わず、有機栽培の紅花(サフラワー)の種子から作った紅花油を使用しています。
 
とにかく、油は小さな容器のものを選び、早く使い切ることです。
酸化や腐敗を防ぐには、容器に残った油に、抗酸化作用のあるビタミンEのカプセルを割って入れるなどの工夫もしています。
 
子供たちのおやつなどの加工品などに植物油使用とかいてあるものはできるだけ避けたほうが良いのです。


 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
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池田 優

 

 

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