山ちゃんの食べもの考

 

 

その284
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
 
『食は生命なり』 【141】
「胃腸は語る」ゴールド編
「健康の結論」
新谷弘美著 弘文堂 刊
その7
 
 
第3章 病気はこうして予防する  の2
 
■ 発酵食品から体内酵素を補給する
 
年齢とともに減っていく体内酵素は、ある程度食物から補給することができます。
その中で特におすすめするのが発酵食品です。
日本には、納豆、糠漬け、味噌、醤油、酢などの発酵食品があり、これらは日本人の食生活には欠かせないものばかりです。
 
食物の有機化合物が菌の働きによって分解されたとき、有用な変化を発酵といい、有害な変化を腐敗といいます。
このような発酵食品の酵母には、酵素が豊富に含まれているので、体に酵素を供給してくれます。
ぜひ毎日適量を摂っていただきたいと思います。
 
また、発酵食品が良いのは、有用菌の乳酸菌も多く含まれているということです。
発酵食品は、体内に酵素を補い、腸内細菌のバランスを整えることもできるという一石二鳥の食物なのです。
主な発酵食品の働きを持て行きましょう。
 
 
●納豆・・・酵素のナットウキナーゼが血栓を溶かす
 
植物性のたんぱく質の中でも、大豆のたんぱく質は畑の肉といわれ、必須アミノ酸(体内で合成することができないので、食物から必ず摂らなければならないアミノ酸)の量も、ほとんど動物性たんぱく質に近いものがあります。
 
大豆のたんぱく質は消化・吸収されやすく、アミノ酸として体内で分解・吸収されたあと、再び肝臓でたんぱく質の合成される効率も、動物性たんぱく質よりも高いのです。
このため、大豆を良く食べる人たちには、長寿の人が多いといわれます。
大豆製品には、豆乳、豆腐、ゆばなどがありますが、大豆を丸ごと食べられる納豆が納豆が食品として最もすぐれているといえるでしょう。
 
納豆にはナットウキナーゼという酵素が含まれています。
ナットウキナーゼというのは、納豆のあのネバネバの部分で、血栓溶解酵素として血栓を溶かす働きがあることがわかりました。
納豆にはナットウキナーゼのほか、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼといった酵素が含まれ、ビタミンB6、ビタミンK2、ビタミンEのビタミン類、鉄、カルシウムなどのミネラルも含んでいます。
 
また食物繊維が多く含まれ、整腸作用もあるほか、腸内細菌のバランスを整えて、O―157のような感染症にも有効であることが確認されています。
現在ナットウキナーゼのサプリメントも発売されています。
 
 
●糠漬け・・・米糠で野菜に含まれるビタミンの効果が倍増
 
米糠は玄米を精製して白米にするときに出る外皮です。
米糠より作られる糠床には、1500種類くらいの菌が生きているといわれています。
米ぬかを発酵させることにより、麹菌などの有用な細菌が増殖するとともに、玄米にもともと含まれている栄養素がさらに摂取しやすい状態になるわけです。
 
野菜を糠漬けにすると加熱しないために、ビタミンや酵素が失われずにすみます。
しかも、米ぬか自体のもビタミンB1、ビタミンB2などが多く含まれているので、そうした栄養素が野菜に浸透し、いっそう栄養価が高くなるのです。
 
家庭で糠漬けを作るには、糠床の乳酸菌と酵母を活性化するためにも、1日に1〜2回かき混ぜる必要があります。
糠床にする米糠は、無農薬米糠を使うべきです。
 
 
●味噌・・・大豆の成分サポニンが過酸化脂質の発生を防止
 
味噌は蒸した米に細菌を接種し、麹を作ったのち、蒸した大豆、塩などを混ぜてすりつぶし、発酵させてつくります。
麹菌によって生産されたアミラーゼやプロテアーゼなどの酵素は、原料の米のでんぷんやたんぱく質を分解し、アミノ酸、ペプチド、ブドウ糖などをつくります。
そしてアミノ酸は、増殖した乳酸菌や酵母を活性化させます。
大豆に含まれるイソフラボンには抗酸化作用があり、またサポニンは過酸化脂質の発生を防止し、コレステロール値の上昇、動脈硬化を防ぎます。
 
味噌は地方によって原料や気候が異なるため、多種類のものがあります。
日頃飲む味噌汁に使用する味噌は、機械に頼らず、自然の麹を使った天然醸造の味噌をおすすめします。
このような手作り味噌には、乳酸菌が多く含まれています。
減塩味噌といっても保存料や防腐剤が入っているものが多いので、むしろ天然醸造の減塩しない味噌のほうが安全だと思います。
 
 
●醤油・・・乳酸菌や有機酸の働きが殺菌効果をもたらす
 
醤油はわれわれの食生活には不可欠なものですが、体にもたらす効果はあまり知られていません。
毎日使う醤油には、殺菌効果があります。
塩分、乳酸菌、有機酸などが働いて、大腸菌などの有害菌の増殖を防止しているのです、
 
醤油はまず蒸した大豆と煎った小麦に細菌を接種し、麹をつくります。
麹を発酵させてもろみができる過程では、乳酸菌や酵母が増殖します。
もろみの中では、細菌、酵母、それにアミラーゼやプロテアーゼやグルタミナーゼなどの酵素が協力し合って、醤油が出来上がるわけです。
 
普段使う醤油は、無農薬、無化学肥料の原料大豆を使用し、保存料、甘味料、防腐剤などが無添加の生醤油がいいでしょう。
100%丸大豆仕込みの本醸造で長期熟成させたものは、丸大豆もろみのほのかな甘味が感じられます。
醤油の塩分が心配な人は、少なめに使ってください。
 
 
 
■ 牛乳を摂ってはならない!
 
私の食事法において、ほとんどの患者さんに制限もしくは禁止するのが牛乳です。
これまで牛乳は栄養があり、カルシウムの吸収が非常に良いと信じられてきました。
しかし、それは誤りであると断言します。
 
牛乳を飲むと、カルシウムが腸からよく吸収されるというのは、牛乳を飲むことで血中のカルシウム濃度が高くなるからです。
ところが、血中のカルシウム濃度は一定で、9〜10mg/ccと決まっています。
すると、牛乳を飲んで血中のカルシウム濃度が急に上がったとすると、どうなるでしょう。
余分なカルシウムは、からだから排泄されなければならず、飲めば飲んだだけ吸収されるわけではないので、牛乳のカルシウムは吸収が良い、ということはありえないわけです。
 
血中カルシウムの量が一定以上になると、体はそれに対して拒絶反応を示します。
体には恒常性があり、血中のカルシウム濃度が高くなると、腎臓から排出しようとします。
排出しようとするときに、余剰カルシウムだけを排出すればいいのですが、マグネシウムや亜鉛や鉄など他のミネラルも出ていってしまいます。
さらにビタミン類もいっしょに、尿から排出されてしなうのです。
 
ですから、牛乳の摂りすぎは百害あって一利なしです。
牛乳を飲むとお腹が張る人、あまり好きでないのに健康に良いからと勧められて無理に飲んでいるような人は、飲まないほうが良いというよりも、むしろ飲むべきではありません。
 
牛乳の中には、たくさんの乳頭が含まれています。
乳頭が体に吸収されるには、それを分解する消化酵素が必要です。
乳頭は腸粘膜内で酵素によって分解されて、普通の砂糖になっったところで腸から吸収されるからです。
ところが、日本人にはこの酵素が十分にない人が多いのです。
体内に備わっている酵素の量は、その人によって異なる、ことは前に述べました。
 
乳頭を分解する酵素も、量的に十分ある人、ない人がいて、日本人は90%のくらいの人が十分にない人です。
そういう人が牛乳を飲むと、お腹が張る、下痢をするといった症状があらわれます。
これらの症状を乳頭不対症といいます。
 
乳頭不対症の人は、乳頭が象腸で吸収されず、そのまま大腸に行きます。
そこで大腸菌によって分解されて、ガスと酸を発生させ、これが大腸を刺激して腹痛や下痢を起こすわけです。
つまり牛乳を飲むことによって下痢を起し、牛乳に含まれているビタミンやカルシウムなどの栄養素とともに、腸内の栄養分も、便として体外へ排出してしまうのです。
そのことによって、腸内細菌のバランスも崩れてしまいます。
 
牛乳は日本人にとって最適の栄養食ではありませんし、乳頭不対症の人にはかえって害になるくらいです。
 
それから、もう一つ問題は、牛乳の摂りすぎが骨粗しょう症をつくるということです。
年をとるとカルシウムが減って骨粗しょう症になるから、牛乳を飲みなさいというのも誤りです。
牛乳の飲みすぎこそが、骨粗しょう症をつくるのです。
 
牛乳のカルシウムと、血中のカルシウム濃度については先ほど述べました。
結局、なぜ牛乳のカルシウムは吸収がよいと信じられているかというと、飲むと血中カルシウム濃度が急に上がるからです。
 
カルシウムは小魚や海草にもたくさん含まれていますが、これらは食べても血中のカルシウム濃度は急には高くはなりません。
それと比較すると、牛乳は飲むと、血中のカルシウム濃度が急激に上がるから、吸収が良いといっているわけです。
 
しかし、急激に上がったからといって、その分が体に吸収されるかというと、余分なカルシウムは排泄されるだけで、しかもいっしょにビタミンやミネラルも排出してしまうことは、先に述べました。
小魚や海草は食べてもカルシウム濃度は急には上がりませんが、血中の一定の濃度を保ちながら、ゆっくりと必要な量だけ体に吸収しているのです。
 
小魚や海草のほかにも、精製されていない穀物、野菜にもカルシウムは豊富に含まれています。
これらをバランスよく摂っていれば、骨祖しょ症の心配はありません。
 
私は長年にわたりアメリカで患者さんの検査・治療を行ってきたなかで、牛乳を飲み続けて、骨粗しょう症になった人をたくさん見てきました。
アメリカ、デンマーク、フィンランド、スウェーデンといった酪農の盛んな、乳製品を大量に摂取している国の人に、骨粗しょう症や股関節骨折が非常に多いことも、牛乳がカルシウムの吸収にあまり役立っていないことを証明しています。
 
最近になって(2001年)、ハーバード大学でも7万8000人の人を対症に12年間調査した結果、牛乳を飲めば飲むほど骨粗しょう症になると報告しています。
毎日牛乳を飲み続けることは、骨粗しょう症だけでなく、動脈硬化、高血圧、糖尿病、指や膝の関節塩、潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、花粉症、ニキビ、ぜんそく、白血病、そして子供の糖尿病の第一原因であることも、多くの大学で発表しているのです。
 
現在市販されている牛乳は、健康維持という点からいっても、まったく有用な食品とはいえません。
市販の牛乳はどのように製造されているかというと、まず牛から吸引されてタンクに貯蔵されます。
タンク内でかき回して均等化されるときに、過酸化脂質ができます。
今度はさらに消毒するわけですが、60〜135℃の高温で殺菌するため、生牛乳に含まれていたリパーゼ、ラクターゼ、アミラーゼ、ガラクターゼといった酵素が死滅してしまいます。
そうして加熱することで、たんぱく質も変質させます。
こうした過程で出来上がった牛乳が売られているわけです。
 
市販の牛乳の約90%の牛乳は、高温殺菌で処理されています。
このような酵素の死滅した、過酸化脂質の含まれたものを、赤ん坊や子供に毎日飲ませることがよいわけがありません。
ドクターや栄養士の人たちは大いに反省すべきです。
 
ですから、大人で牛乳が好きな人なら、週に1〜2回ぐらいは飲んでもかまわないでしょうが、嫌いな人が飲めば必ず何らかの病気になるということを肝に銘じておきましょう。
 
乳ガン、前立線ガンになった人たちの食歴を聞くと、全員が牛乳、チーズ、ヨーグルトなどを毎日食べ、また牛肉も頻回に(週に3〜4回以上)食べている人たちでした。
10台・20台の青少年で、潰瘍性大腸炎、クローン病になった人たちの食歴は、全員が牛乳や乳製品(チーズ・ヨーグルト)が嫌いだったのに、学校や家庭(とくに母親から)無理に飲まされたり食べさせられたりしていた、というものです。
 
学校給食や病院の術後患者の流動食に牛乳を出す習慣は早急に廃止すべきです。
また、妊娠中や授乳期に牛乳を飲んで母乳がたくさん出るようにする愚行は、子供にアトピー、花粉症、ぜんそくなどのアレルギー疾患をつくったり、母乳の出を悪くするのが普通です。
大豆から作った豆乳は、牛乳と違って大変良い食品です。
牛乳ではなく豆乳をおすすめします。
また豆乳からつくったチーズやヨーグルトも市販されています。
 
地球上には約5000種類の哺乳動物が居るといわれています。
人間以外では、成長して自分で食べられるようになってから他の動物のミルクを飲む例はありません。
飲めば病気になることを知っているからでしょう。
このことからも、成長後、栄養食品として秀でているとかカルシウム摂取として最適な食品だとか、間違った理論付けをしている人間は、自然の摂理、神の摂理に反したことをしているのだといえます。
 
日本で牛乳を本格的に飲み始めたのは1960年ごろで、まだ50年にもなりません。
イギリスでも1800年中葉からだそうです。
医療費の削減という点からも、学校給食で牛乳嫌いの子供たちに毎日飲むことを強いたりせず、一般国民にも牛乳をできるだけ摂取しないよう教育すべきです。
 
子牛を育てるには牛の母乳を与えるのが一番良い食物ですが、市販の牛乳で育てようとすると、数日で死ぬそうです。
すなわち死んだ牛乳をいちばんかわいい自分の子供に与えて育てようとして逆に病気にさせている人間達はなんと愚かだろうと思うばかりです。
 
潰瘍性大腸炎、クローン病などの治療の第一歩は、まず牛乳、乳製品を止めることから始めなければなりません。
実際渡しは、自然の酵素を多く含んだ食事とサプリメントで、これらの難病といわれる病気を治しています。
 
 
 
■ 体内酵素の働きを高めるビタミン・ミネラルを摂る
 
体内酵素の働きに欠かせないものが、補酵素(酵素の働きを助ける)ともいわれるビタミンとミネラルです。
体内酵素の活性化には、ビタミンとミネラルはなくてはならないものです。
体内で発生する活性酸素の解毒のために、体内酵素はどんどん消耗します。
その体内酵素の解毒作用をさまざまな形で助け、活性酸素に対抗して酸化を防止するのがビタミンとミネラルなのです。
 
抗酸化作用を持つものとしては、ビタミンとしてはビタミンA(β‐カロチン)・ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンEなどがあり、ミネラルではマグネシウムと硫黄のほか、微量ミネラルとしてのセレン(セレニウム)・亜鉛・鉄などがあります。
穀物、野菜、果物、海草には、抗酸化物質としてのビタミンやミネラルが多量に含まれています。
 
ビタミンとミネラルは、アミノ酸も含めて、微量栄養素(マイクロ・ヌトリエント)といわれています。
微量といっても重要ではないという意味ではなく、炭水化物やたんぱく質より少ない量であっても、体に不可欠な栄養素ということです。
 
ビタミンとミネラルは健康の維持、病気の予防や、精神的なバランスを維持する上でも大切なものです。
たんぱく質や脂肪のように、それ自体が血や肉になるわけではありませんが、ビタミンやミネラルが不足したら、免疫力や抵抗力が落ちて、精神的にも不安定になり、体全体の機能が低下してしまうのです。
 
そのように大切な栄養素であるにもかかわらず、現代の食品は加工、精製されたものがあふれ、ビタミンやミネラルが不足がちになっています。
食品だけでなく、環境汚染やストレスなどの問題もあり、体の中では大量の活性酸素の発生とともに、ビタミンやミネラルが消費されています。
 
そうした環境に生きる私たちは、どのビタミンやミネラルがどのように体に良い作用をもたらのか、知識を得て、自分の体を守っていかなければなりません。
ここでは、主に抗酸化物質としてのビタミンとミネラルについてみていきます。
 
 
●ビタミンA・・・ガンを予防し活性酸素を排除する
 
ビタミンAは、ガン予防のビタミンともいわれています。
また感染症や老化の防止にも役立つといわれています。
ビタミンAというのは、動物性の食物から取れるレチノールと、動物性および植物性の食物から取れるカロチンの総称です。
そのほかには、食物が体の中に入ったとき、ビタミンAになる前の段階の物質としてβ‐カロチンもあります。
β‐カロチンは、強力な抗がん効果があるということで、注目されている物質です。
 
βーカロチンを含むビタミンAは、強い抗酸化作用を持っています。
つまり食物として摂った脂肪が酸化して、過酸化脂質になることを防ぐ働きがあるのです。
過酸化脂質についてはこれまでも述べてきたように、活性酸素の一種であり、細胞に害をもたらして、体をさび付かせる物質です。
ビタミンAは、こうした過酸化脂質に抗酸化作用を発揮し、ガンなどの病気の予防に役立っているわけです。
β‐カロチンは、細胞膜のところで活性酸素を捕まえて無害にするような働きを持っています。
 
ビタミンAには老化防止の作用はありませんが、β‐カロチンは年をとるにつれておこる細胞の損傷を防ぐ働きがあることが、動物実験によってわかっています。
このようにβーカロチンはガンや老化を防止し、動脈硬化や糖尿病の予防治療に効果があるので、毎日十分に摂ることが必要です。
またアメリカの研究では、紫外線を浴びると、β‐カロチンが減少するといわれています。
 
紫外線は、体内に活性酸素を発生させ、皮膚の老化や皮膚ガンを起こします。
紫外線を長時間浴びたときは、β‐カロチンを含んだ緑黄色野菜や海藻類、果物をたくさん食べるようにしてください。
 
β‐カロチンは、ニンジン、ほうれん草、ブロッコリー、さつまいも、かぼちゃ、ビーツ、クレソン、大根の葉など、いろいろな緑黄色野菜に含まれています。
オレンジ、メロン、パパイヤなどの果物、ノリ、コンブ、ワカメ、ヒジキなどの海草類にも多く含まれています。
 
 
●ビタミンB・・・生活習慣病を防止する
 
ビタミンBは、総合ビタミンBと、ビタミンB群としてのビタミンB1・B2・B6・B12・ニコチン酸(B3)・パテント酸(B5)・葉酸・コリン・バイオチン・イノシトール・パラアミンの安息香さん(パバ)などがあります。
これらB群のそれぞれは固有の働きをしながら、お互いに助け合って健康を保持する働きをしています。
 
ビタミンB群は、B1、B6、B12、葉酸などが脳神経などが脳神経などの神経系の働きを高めるほか、高脂血症(ニコチンサン)、糖尿病(B6)、動脈硬化(ニコチン酸・イノシトール)、高血圧(コリン)などの生活習慣病にも効果があります。
これらのB群は水溶性のビタミンで、一種類または前種類はいっぺんにたくさんとっても、体に蓄積されることもなく排泄されてしまいます。
ただし、ビタミンB12だけは排泄されず、肝臓に蓄積されるといわれています。
 
ビタミンB群のなかで、ビタミンB1、ビタミンB2、パテント酸は、活性酸素に対抗する抗酸化作用を持っています。
ビタミンB1は、体の中に入ったアルコールをを肝臓で解毒するときに、大量に必要になってきます。
またビタミンB2は、体内酵素のグルタチオンペルオキシターゼを活性化して、細胞内のミトコンドリアでできた活性酸素を解毒する作用を助けます。
パントテン酸は、農薬や各種の薬品などによる活性酸素を体内酵素とともに解毒するといわれています。
 
ビタミンB1は、玄米、胚芽米、精製されていない穀物、押し麦・あわ・ひえ・きび・アマランサスなどの副穀類、小麦の胚芽、ごま、落花生、海草類、豆類、いも類、豚肉、牛や豚のレバー、うなぎなどに含まれています。
 
ビタミンB2は精製されていない穀物、緑黄色野菜、卵、うなぎ、焼きのり、椎茸、たらこ、肉類などにも含まれています。
 
パテント酸が含まれている食物は、精製されていない穀物、副穀類、レバー、卵、落花生、大豆、グリーンピース、オートミール、ブロッコリーなどです。
 
 
●ビタミンC・・・強力な抗酸化作用と長寿のビタミン
 
ビタミンCは、強力な強酸化物質として、ガンの予防に有効に働きます。
ビタミンCのガン予防としての一つは、発ガン物質であるニトロソミアンの体内での合成を防ぐ力があるということです。
ニトロソミアンというのは、肉・魚などに含まれるアミンという物質と野菜・食品添加物の発色剤などに多く含まれる亜硝酸が、胃の中で反応してできるものです。
ビタミンCは、このような有害物質が細胞膜やDNAを損傷しないように、中和する作用があるのです。
 
また体内に有毒なウイルスや細菌が侵入すると、白血球がそれを攻撃しますが、この白血球が働くときに、ビタミンCが大量に必要になります。
ですから、カゼを引いたときや引きかけているときに、ビタミンCの摂取が予防や治療に効果があるわけです。
 
ビタミンCもBと同じく水溶性なので、体内では貯蔵できないため、毎日摂る必要があります。
とはいえ、ビタミンCが体に良いからといって大量に摂取すると、余剰分を排泄しなければならないので、腎臓に負担がかかることになります。
また、摂りすぎによって、胃腸の粘膜を傷つけ、潰瘍をつくることもあります。
したがって、必要以上は摂らないようにしましょう。
サプリメントのビタミンCも、1日500ミリグラム摂取すれば十分です。
 
ビタミンCは、オレンジやグレープフルーツなどの柑橘系の果物、じゃがいも、トマト、メロン、イチゴ、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ピーマン、芽キャベツ、小松菜、かぶの葉、ほうれん草、菜の花など、多くの野菜、果物に含まれています。
 
 
●ビタミンE・・・細胞の老化を防いで若さを保つ
 
ビタミンEは、水溶性のビタミンBやCと違い、脂溶性のビタミンです。
ビタミンEは、子宮、抗がん、副腎、脳下垂体、血液、筋肉、心臓、肝臓に貯蔵されます。
酸化しやすく酸素に弱いビタミンです。
1日に200ミリグラムぐらいが適量です。
 
ビタミンEの大きな働きは、抗酸化作用により細胞の老化を予防することによって、若さを保つということです。
脂溶性のビタミンであるビタミンEは、細胞などで活性酸素の害を防いでくれるのです。
また血中の善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らし、さらに中性脂肪も減らすので、動脈硬化や高血圧を防ぐ働きもあります。
 
ビタミンEを多く含んでいるのは、小麦の胚芽、米ぬか、大豆、落花生、コーン、ピーナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、卵、うなぎ、たらこなどです。
 
 
●カルシウム・・・骨粗しょう症を予防するミネラル
 
カルシウムは体に最も多く含まれているミネラルで、成人の体には50kgの人で約1kgのカルシウムが含まれています。
カルシウムの99%は骨や歯に含まれており、残りの1%は血液、体液、細胞内に分布しています。
カルシウムは特に抗酸化作用に関与していませんが、体にとって非常に重要なミネラルなのでここで取り上げていきます。
 
カルシウム不足による問題は、骨粗しょう症です。
食物から十分にカルシウムを摂っていない人、45歳以上の更年期の女性、65歳以上の熟年期の男性、アルコールやタバコを大量に取る人、運動をほとんどしない人、逆に過剰に運動する人、高たんぱく食を常食している人などは、カルシウム不足になりがちです。
 
骨粗しょう症というのは、骨からカルシウムがなくなっていき、骨がスカスカになる病気で、ちょっとした衝撃で骨折が起こりやすくなります。
 
なぜ、骨からカルシウムがなくなっていくかといいますと、年齢とともに消化管からのカルシウム吸収率が低下するからです。
それと人間の体は、血液中のカルシウムをつねに一定に保つようになっていて、血液中のカルシウムの量が減った場合、骨や歯にある細胞がカルシウムを溶かして、血液中のカルシウムの量をを一定にしようとします。
ですから50代、60代の人でカルシウムを含んでいる食物をあまりとらず、ほとんど運動もしないと、骨や歯からカルシウムが溶け出して、骨がスカスカになってしまいます。
 
1日に必要なカルシウムの所要量は、800〜1500mgとされています。
ところが、日本人のカルシウムの平均摂取量は550r以下だそうで、カルシウム摂取不足だといわれていますが、このような数値が何を根拠にしているのかははっきりしません。
 
20代、30代で骨量が平均より20%も少ないと、50歳をすぎてからほとんどの人が骨粗しょう症になるといわれています。
したがって、中年になってから急にカルシウムを取り出すのではなく、10代、20代のうちからカルシウムの豊富な小魚、小エビ、海藻類、野菜類、精製されていない穀物、豆類を十分に摂取し、適度な運動や重いものを持って歩く習慣などを身につけるよう心がけたらいいでしょう。
 
カルシウムが多く含まれているのはチリメンジャコ、シラス、イリコ、タタミイワシ、メザシなどの骨ごと食べられる小魚類や、干しエビ、海藻類です。
これらの食品には牛乳の10〜30倍ものカルシウムが含まれており、カルシウムの宝庫といっていいくらいです(桜エビで37倍、ちりめんじゃこで22倍だそうです)。
カルシウムはまた精製されていない穀物、腹腔類、ほうれん草など緑黄色野菜にもたくさん含まれています。
 
ただし、不足がちといって、必要以上に摂取するのは健康によくありません。
サプリメントのカルシウムをとりすぎると、便秘、吐き気、食欲不振、腹部膨満感といった症状が現れます。
 
カルシウムだけを大量に摂取するだけで、腸内細菌バランスを崩すと、鉄、亜鉛、マグネシウムなど他のミネラルの吸収も低下してしまいます。
カルシウムの豊富な食物には、大腸ガンをはじめ種々のガンを予防したり、老化現象を予防する作用もあります。
非常に大切なミネラルですが、やはりいろいろなミネラルを十分含有した食物をバランスよくとることが必要なのです。
 
小腸は自分の体に必要なものを取捨選択して吸収するので、カルシウムなどの栄養素を十分に含んだ食物をよく噛んで食べることが大切ですが、カルシウムを飲めばそれだけが大量に吸収されるわけではないことをよく学んでいただきたいと思います。
 
牛乳を飲むとカルシウムの血中濃度が一時的に上がるのは、牛乳たんぱくと結びついたカルシウムの分子が15/1000mm以下と非常に小さいので、異種たんぱくであるにもかかわらず、とくに子供たちの十分に発達していない腸壁から大量に吸収され、血中に入り込むからだと考えられています。
そのため異種たんぱくが血中に直接入るので、アレルギー反応が出たりアレルギー体質になったりすると思われます。
普通たんぱくは腸壁でアミノ酸の分解さててから吸収されなければなりません。
 
 
●マグネシウム・・・体内酵素を活性化する
 
マグネシウムもカルシウム同様に、体にとって大量に必要な重要なミネラルです。
マグネシウムの約50%は骨は歯に含まれ、後の50%は細胞壁の中に含まれます。
 
マグネシウムの大きな働きは、体内酵素の作用を活発化することです。
活性酸素を体内酵素が解毒するときに、その働きを助けたりいろいろな有害物質を除去したりします。
また細胞中の遺伝子をつかさどるDNAやRNAなどの細胞膜の生成にも、重要な働きを担っています。
 
マグネシウム不足が起こるのは、動物性たんぱく質、高脂肪の食物を多くとる人、カルシウムやビタミンDを過剰に摂取する人、アルコールを大量に飲む人、慢性の下痢がある人、利尿剤を使っている人などです。
マグネシウムは、精製されていない穀物、副穀物、緑黄色野菜、海草類、種子、豆類、魚介類などにも含まれているので、欠乏しないようにこれらの食物を十分に摂りましょう。
 
 
●硫黄・・・活性酸素や有害物質などの毒素を中和する
 
硫黄(いおう)も、私たちの体にとって体にとってさまざまな働きをしています。
硫黄は皮膚、爪、毛髪などを健康に保ったり、体の細胞に必要なたんぱくの生成に関わったりしています。
体の組織をつなぎ合わせるコラーゲンを生成する役割も果たしています。
 
重要なのは、食物と排気ガスやスモッグなどの環境汚染によって体内に発生した活性酸素を中和、解毒することです。
体に入ってきた毒素を、肝臓から胆汁として放出する作用を助ける働きがあるのです。
 
硫黄を含む食物は、豆類、キャベツ、卵、チーズ、にんにく、たまねぎなどです。
牛肉、豚肉、鶏肉、魚肉など、動物性のものに含まれています。
硫黄は食物や水や飲料水からだけでなく、汚染された空気からも吸収されます、
そのため摂りすぎによる過剰症や、不足による欠乏症はほとんど生じることはありません。
 
 
●亜鉛・・・体内酵素の生成に役立つ微量ミネラル
 
抗酸化作用をもつ亜鉛、セレン、鉄のほかボロン、銅、マンガン、クロムなどは微量ミネラルといわれています。
ごくわずかな量で足りるためにその名があるわけですが、これらのミネラルがなければ健康を維持することはできません。
微量ミネラルは、ビタミンや酵素とともにバランスを保ちながら、われわれの生命を支えています。
 
微量ミネラルの中で、亜鉛は体内酵素の生成を助ける働きがあります。
また風邪のウイルスが体内に侵入したとき、亜鉛と体内酵素が協力してウイルスの増殖を防ぐこともします。
そのほかにも、からだのエネルギーを一定にするインスリンをつくったり、たんぱくの生成、細胞の生成にも関わっています。
 
亜鉛は、精製されていない穀物、ナッツ類、魚介類、豆類、鶏肉などに含まれています。
全粒穀物には、生成された穀物の約6倍もの量の亜鉛が含まれています。
ですから、パンなども白パンではなく、できるだけ全粒粉を使ったパンを選ぶようにしましょう。
 
それと、アルコールを飲むことで、亜鉛の吸収が悪くなっていることがわかっています。
結果、亜鉛の欠乏をきたすので、アルコールは極力避けることです。
 
 
●鉄・・・血液、免疫、成長に必要不可欠
 
鉄の主な働きは、ヘモグロビンという赤血球の色素の原料となり、赤血球を酸素化して体のすみずみに酸素を運ぶことです。
このように鉄は、血液の中に最も多く蓄えられていて、これが足りなくなると貧血になります。
 
そのほかにも、鉄は子供の成長に必要なものであり、免疫力や抵抗力をつける働きがあります。
また鉄は活性酸素を解毒する酵素カタラーゼの生成にも役立っています。
鉄が足りなければ、体内酵素のカタラーゼは作れなくなるので、しっかり補給しなければなりません。
 
鉄の吸収は、ビタミンCが加わると3割も促進されるといわれています。
緑黄色野菜には、鉄もビタミンCも含まれているものがたくさんあるので、毎日の食事で十分に摂ることです。
 
鉄の吸収には、銅、マンガンなど他の微量ミネラルや、ビタミンA、ビタミンB群なども必要ですし、胃に十分な胃酸があってこそ正常に吸収されます。
その意味でも、胃酸を少なくするような薬を長期間のムコとは絶対に避けるべきです。
 
鉄が含まれる食物は、卵、魚、肉類、緑黄色野菜、セロリ、パセリ、全粒粉小麦粉、副穀類、アーモンド、アボガド、海草類、豆類、桃、梨などです。
 
過激な運動をする人、多量の汗をかく人は、体から鉄が多く失われるので注意してください。
ただし、鉄は体の中で長期に蓄えられるので、あまり多量に摂りすぎても過剰摂取による肝硬変、糖尿病などの病気の原因になります。
 
特に注射して摂った場合は注意が必要です。
成長期の子供たちや月経のある女性には鉄の入ったビタミン、ミネラルのさプリメントが必要ですが、中高年男性や閉経後の女性は鉄を含まないビタミン、ミネラル剤を飲むことです。
 
 
●セレン・・・活性酸素を防止する強力な抗酸化剤
 
セレンは、抗酸化物質として非常に重要な役割を果たしています。
特にビタミンEと協力して、その力を高めるといわれています。
セレンは抗酸化物質として、活性酸素の発生を防御し、免疫機能を維持しています。
 
ビタミンA、B、C、Eなどの抗酸化作用と同じように、セレンも体の中で起こる酸化作用によるいろいろな老化現象を防ぐ、すぐれた抗酸化作用を持つミネラルです。
心臓や血管系統にも働きかけ、心臓や血管の細胞を活性化することにも役立っています。
 
セレンを十分に摂ることによって体内の組織は若々しく保たれるというわけです。
セレンをビタミンEとともにとると、汗腺などから体を守ってくれる抗体を作る役割も果たしてくれます。
またセレンは、体内酵素のグルタチオンペルオキシターゼの生成にも関与しています。
 
現在、セレンについての研究はさかんに行われており、関節塩、白血病、筋萎縮症など、いろいろな病気に効果があるといわれています。
 
セレンは、精製されていない穀物、副穀類、にんにく、セロリ、たまねぎ、大根、ブロッコリー、キュウリ、キノコ類、卵、魚介類、肉類、牛や豚のレバーなどに含まれています。
ただし、穀物や野菜に関しては、長時間煮ると約半分のセレンが失われるといいます。
 
 
ここでは、主に抗酸化物質としてのビタミン、ミネラル、微量ミネラルを取り上げました。
一つ注意していただきたいのは、それぞれの栄養素が互いが協力し合って働くことで、われわれの健康が正常に保たれるということです。
ここであげたほかにも、さまざまなビタミンやミネラルがあり、互いに助け合い、補い合って、体によい作用をもたらしています。
ですから、たとえばビタミンEやセレンが活性酸素を解毒してくれるからといって、そればかり大量に取っても、健康を維持したり、病気を予防することはできないのです。
 
微量栄養素のビタミンとミネラルは、その働きが相互に関連しています。
たとえばビタミンDはカルシウムの吸収をよくしますし、鉄はビタミンB群の代謝を助けます。
銅はビタミンCの代謝に必要です。
あるいはリンはニコチンサンの吸収に役立ち、硫黄はビタミンB群といっしょに体の代謝に関与しています。
 
このような相互関係や、どれかが足りなくても、どれかが多すぎても、健康に何らかの形で障害が出てくるのです。
だいたい、われわれの体は同じものを摂り続けると、腸からの吸収を拒否して、必要な分以外は排泄してしまいます。
 
本当の意味で健康に生きていくためには、多種類の栄養素をバランスよく摂らなければなりません。
毎日食べる食物から、いろいろなビタミンやミネラルを摂取することで相乗効果がもたらされ、そこではじめて食物のビタミンやミネラルが体に良い作用をおよぼしてくれるのです。
よく噛んで(30〜70回/一口)食べることも大切です。


 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
mail :m.ikeda@ninus.ocn.ne.jp

池田 優

 

 

◎ ご意見、ご教示はこちらまで    掲示板も御座います。是非ご利用下さい。→ 掲示板

最新号へ戻る