山ちゃんの食べもの考

 

 

その286
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
 
『食は生命なり』 【143】
「胃腸は語る」ゴールド編
「健康の結論」
新谷弘美著 弘文堂 刊
その9
 
第3章 病気はこうして予防する  の4
 
●種々の免疫調整を担うきのこ冬虫夏草
 
冬虫夏草は、さまざまな虫に規制して生長するきのこです。
冬に土の中できのこの菌糸体が幼虫に寄生し、夏に子実体が生えてくるため、この名がつけられました。
世界では約350種類、日本では約300種類の冬虫夏草が発見されています。
 
主な効能については、ガンの予防と抑制、呼吸器系の改善、細胞の損傷修復、交酸化作用、勢力増強、生活習慣病の改善などです。
とくに気管支炎、心臓病、鼻炎などには高い効果を上げています。
ガンの効果に関しては、冬虫夏草も白血球やインターフェロンを活性化することが動物実験で証明されています。
また活性酸素を解毒・中和するβ‐グルタンが、大量に含まれていることがわかっています。
冬虫夏草のサプリメントは多種類のものがありコウモリガの冬虫夏草から培養されたものが効果があるといわれています。
 
 
●免疫調整と抗酸化作用のプロポリス
 
プロポリスは、ミツバチの酵素、ミツバチが樹木から採取した樹液や植物から抽出した成分を合成したニカワ状の天然物質です。
ミツバチは自分たちの巣にプロポリスを塗っていますが、このプロポリスの抗菌作用が、巣の中の細菌繁殖を防いでいるのです。
 
プロポリスは、アミノ酸、酵素、ビタミン類、ミネラル類、そして活性酸素を抑え、免疫機能を高めるフラノボイドを含んでいます。
効果としては、白血球のマクロファージなどを活性化することによる抗ガン作用、免疫機能の調整、抗酸化作用、抗菌・高ウイルス作用、高ストレス作用、血圧を下げる、などが上げられます。
近年、アルテピリンCという成分が含まれていることがわかり、臨床応用への研究の結果、ガン培養栽培へのアルテピリンCの投与によって、数日でガン細胞が消滅することが明らかになりました。
 
 
●ガン細胞抑制効果もあるコンドロイチン
 
コンドロイチンというのは、サメの軟骨です。
サメの体はすべて軟骨で形成されており、この軟骨の成分がガン細胞の抑制や、炎症の抑制に効果があることがわかりました。
 
サメの軟骨中には、ムコ多糖類という物質があります。
ムコ多糖類は、動物の細胞や組織や器官を結び付けている結合組織の粘着物質です。
このムコ多糖類の成分であるコンドロイチン硫酸が、たんぱく質と結びついて、ガン細胞の増殖防止、炎症抑制作用、変形性膝関節症改善作用、リウマチ改善作用などをもたらしているのです。
 
抗ガン作用としては、ムコ多糖類がガン細胞の血管を攻撃することで増殖を防ぐため、乳癌、前立腺ガン、膵臓ガンなど血管形成がさかんなガンに有効であるとされています。
またコンドロイチンが、皮膚や組織の老化を修復したり、カルシウムの代謝を助けて骨粗しょう症を防止したり、肝機能を向上させたり、過酸化脂質を除去することなどもわかっています。
 
 
●すぐれた有機栄養源スピルリナ
 
スピルリナは、いまから30億年前に誕生した藍藻類(青緑色の藻)の一種で、熱帯の高温、強アルカリ性の湖に生息しています。
成分60%がたんぱく質、10%が食物繊維、さらにビタミン、ミネラル類を豊富に含んでいる優れた栄養源として急速に注目を集めています。
 
@ 各種の必須アミノ酸を100g中40g以上含んでおり、これは牛乳の3倍、大豆の2倍といわれています。
A ビタミンB1、B2、B6、B12など体内の代謝をよくするビタミンB群や骨粗しょう症の予防に有効なビタミンK郡が豊富です。
B β‐カロチンの含有量はクロレラの10倍、ほうれん草の40〜60倍といわれています。
C 余分なコレステロールを溶かして流す働きのあるリノレンサンも豊富。
 
スピルリナにはこれらの有効成分は豊富に含まれているだけでなく、細胞壁が非常にやわらかく消化吸収が早いという特徴もあります。
体の免疫機能を向上させて有害物の排泄に役立つだけでなく、肝機能の強化や細胞の活性化にも優れた働きを示します。
宇宙食としての研究も進んでいるといわれています。
 
 
●ポリフェノールが体の酸化を防ぐ
 
私たちの体内では、いつも活性酸素や毒素が発生しています。
また植物や空気と一緒に、いろいろな有害物が入ってきて、体内酵素を失わせた体をサビつかせます。
 
そのような体を酸化する物質に対して、対抗するのが抗酸化物質です。
酸化作用を防止するには、まず食物の含まれているビタミンやミネラルや酵素をしっかり摂ることが大切です。
ビタミンA・C・E剤やミネラルのセレン剤など、サプリメントを摂ることも必要でしょう。
 
近年はビタミン剤やミネラル剤の他に、さまざまな抗酸化物質としてのサプリメントが開発されており、ポリフェノールもその一つです。
ポリフェノールは、植物の光合成によって産生された色素などの成分で、優れた抗酸化作用をもつ物質です。
ほとんどの植物に含まれ、その種類は約4000種類にも及ぶといわれています。
 
多様な種類を持つポリフェノール、野菜や果物や大豆などに含まれるフラボノイド、コーヒーの成分などに含まれるクロロゲン酸、ごまなどに含まれるリグナン、ウコンに含まれるクルクミン、果物に含まれるエラグ酸、野菜や果物に含まれるクマリンなどに分類されています。
 
ポリフェノールの効果は、抗酸化作用をはじめとして、肝機能の向上、ホルモン系統の調整、高血圧の抑止、殺菌作用などがあげられます。
抗酸化作用の実験によると、血液に活性酸素を注入して、そこにポリフェノールを加えると酸化される時間が約20%延長されることがわかりました。
ポリフェノールのサプリメントは、抗酸化作用のあるビタミンなどを配合したものがありますので、それぞれ内容を見て必要なものを選んでください。
 
 
●脳血管性認知症の予防・改善にも役立つイチョウの葉
 
ポリフェノールには数多くの種類がありますが、その中でも強い抗酸化作用で知られているのがフラボノイドです。
フラボノイドは、光合成によってできる黄色形の色素の成分です。
フラノボイドには、鎮静作用、炎症抑制、血管壁の強化、抗菌・抗ウイルス作用、血液循環改善、視力改善、肝機能の増進、コレステロール値の低下などの効果があります。
特にビタミンCと併用して摂取すると、その有効作用が倍加するといわれています。
 
このフラボノイドを13種類も含んでいるのが、イチョウ葉のサプリメントです。
日本国内では健康食品として扱われていますが、ドイツやフランスでは医薬品として認可されているほどの効果があるのです。
イチョウ葉は、13種類のフラボノイドの相乗効果で、体内の血液の循環、特に末梢の血液の血流をよくします。
それによって、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防や改善に効果を発揮しています。
 
またイチョウ葉の効果として強調すべきは、イチョウ葉の成分であるギンコライドが、脳血管の障害である脳血管性認知症(痴呆症)の予防と改善に役立つことです。
ギンコライドは、アレルギー性疾患を抑制する働きがあることもわかっています。
イチョウ葉のエキスはさまざまな製品がありますが、国内産の無農薬のイチョウ葉を使ったものを摂るようにしてください。
 
 
●抗酸化作用と老化防止のメラトニン
 
メラトニンという松果体ホルモンは、ここ数年注目されている抗酸化物質である。
メラトニンというのは、人間の脳の最深部にある分泌腺から、ほんの少しずつ分泌されているホルモンです。
このホルモンは、時差ボケを調整する薬としても知られているのです。
それとともにビタミンCやEの数百倍もの抗酸化作用があるといわれ、老化を防ぐ効果もあるといわれています。
強力な抗酸化作用を持つのは、ビタミンCやEが体の細胞に一部にしか浸透しないのに比べ、メラトニンは脳細胞を含め体全体にいきわたるからです。
 
また体内のメラトニンには、年をとるにつれて分泌量が減るので、これをサプリメントとして摂ることで老化防止効果があるとされています。
その他には、高血圧の抑制、心臓病の予防、白内障の改善、認知症(痴呆)やパーキンソン病なども防ぐ効果があります。
血中のメラトニン濃度が上がると、白血球のリンパ球やインターフェロンが増え、免疫力を高めることもわかっています。
 
メラトニンは、穀物、野菜、果物、海草など種々の植物にも含まれています。
メラトニンのサプリメントは、植物の抽出成分を合成したもので、アメリカではどこの健康食品店でも入手できます。
メラトニンの重大な副作用は、現在まで報告されていませんが、どのくらいの期間どのくらいの量を摂れば安全なのかまだはっきりわかっていません。通常は1日に1〜3mgとされています。
 
 
●生命維持に重要な役割を果たすコエンザイムQ10(通称ビタミンQ)
 
コエンザムQ10(略してCoQ10=コーキューテン)という物質が最近にわかに注目されるようになりました。
全身の細胞が生活に必要なエネルギーを作り出す働きを助ける補酵素として重要な物質です。
ビタミン様作用因子とも呼ばれ、ビタミンそのものではありませんが、「ビタミンQ」という通称で呼ばれることもあります。
 
CoQ10の働きを具体的に見てみましょう。
@ 生命活動の基本を支える
私たちの生命活動は全身の細胞にあるミトコンドリアという器官で作られるATP(アデノシン3リン酸)というエネルギーによって支えられています。
呼吸から得られる酸素、食事から得られる炭水化物やたんぱく質、脂肪などが体内でエネルギーに代わるわけですが、そのうち最も使いやすい炭水化物からのエネルギー産生のプロセスにCoQ10が重要な働きを果たしているのです。
CoQ10が不足すると、生体のエネルギー工場といわれるミトコンドリアの働きが低下し、全身の骨格や内臓、脳などに重大な悪影響を及ぼします。
 
A強力な抗酸化作用を持つ
私たちの体が食事や環境のさまざまな影響によって活性酸素(フリーラジカル)と呼ばれる毒素にさらされていることについては、繰り返し述べてきました。
活性酸素はいわば体をサビつきかせてダメージを与える物質で、ガンや心臓病、脳血管障害などの引き金にもなっています。
 
われわれは体内の酵素や体外から取り入れる抗酸化物質(ビタミン、カロチノイド、ポリフェノール)によって活性酸素を分解して健康を維持しています。
そしてこの抗酸化物質の主役的な位置に躍り出てきたのがCoQ10なのです。
ビタミンCやビタミンEと並ぶ強力な抗酸化作用を持つと同時に、抗酸化物質の仲間であるビタミンEが効力を発揮する際にCoQ10が不可欠であることもわかってきました。
 
体内のCoQ10は青身の魚や豆類などに多く含まれ、バランスのとれた食事によって補うことができますが、加齢によって必要量が増え不足がちになります。
サプリメントとして入手することが可能になっていますので、CoQ10不足を感じるようになったらぜひ補給してください。
 
 
■ 良い水を飲むことが非常に大事
 
食事・水・排泄・運動・精神的な充実感(幸せであること)というのが、健康と長寿のためには大切な原点です。
ここでは健康を維持するための良い水について述べます。
 
人間の体にとって、水は非常に大事なものです。
なぜかといいますと、体の細胞には常に新鮮な水が必要だからです。
 
新鮮な水を飲むことによって、老廃物や毒素をすばやく排出できるのです。
つまり、水が全身の新陳代謝を改善していてくれるわけです。
病気や老化は慢性の水不足すなわち慢性脱水によって起こるといっても過言ではありません。
豊富な水があってこそ体内酵素の働きも十分に可能になるわけです。
 
人間の体のほとんどが水でできているのはご存知でしょう。
子供で70〜80%、大人で60〜70%、老人になると量は減ってきますが50〜60%は水でできています。
人間の体を構成しているすべての細胞は、水で満たされているわけです。
 
例えば血液の液体成分のうち血漿は55%ですが、そのうち90%までもが水です。
血液の流れ、リンパ液の流れ、尿の流れ、胃腸の流れ、空気の流れなど、私たちの体には長大な流れがあり、これらの流れが滞ると、たちまち何らかの病気があらわれてくるのです。
 
これらの体の中の流れは良い水を飲むことで顕著に改善されます。
たとえば水は気管支中の痰などをよく排泄し、気管支の粘膜を潤すことによってウイルス・細菌感染を防ぎ、気管支のけいれんもとり、空気の流れすなわち呼吸量がまします。
気管支や肺に十分な水のサプライがないと空気の流れが阻害されます。
 
では、体の水の流れを停滞させないようにするにはどうすればいいのでしょうか。
それには一にも二にも良い水を飲むことです。
水を飲まなくても、からだの中で水分はできます。
食物の糖質が分解されると、炭酸ガスと水になるからです。
また食物にも水は含まれているので、そこからも水をとることはできます。
しかし別に水は水として良い水を十分に飲むことが重要です。
 
飲んだ水は、約15分で皮膚の表面に達し、約20分で体全体に達します。
ですから、新鮮な水をきちんと飲んでいると、体の細胞は水で満たされ、同時に老廃物を輩出するのです。
水が体内や腸内できちんと循環することで、腸内環境が整えられ、新陳代謝が良くなり、胃腸の働きも良くなり、排尿、排泄の状態も良くなり、血中の中性脂肪や尿酸値なども減り、皮膚はみずみずしさを増し、結果として体の健康と若さを維持できるというわけです。
 
もちろん飲む水はどんな水でも良いわけではありません。
水道水の害については、すでに述べた通りです。日頃飲んでいる水の質によって、健康が左右されるといっても、決していいすぎではないのです。
 
良い水の条件は次のようなものです。
@ 塩素を含んでおらず、酸化されていないこと。
A 水のクラスター(分子)が小さくて、体に吸収されやすいこと。
B 還元作用(抗酸化作用)を持った水であること。
C 水のPH(水素イオン指数)が8.0以上で、弱アルカリ性であること。
D カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄などのミネラル成分がバランスよく含まれていること。
E 酸素と二酸化炭素が適度の含まれていること。
(飲んでおいしいと感じるのは、1リットル中に酸素5mg、二酸化炭素20r)
F 水に溶けている酸化カルシウムの量が少なく、適度な硬度であること。
G 活性酸素を除去する活性水素を含有する水であること。
酸化還元電位(ORP)が低い水であること。
 
こうした条件を満たす水として、おすすめしたいのは、電解還元水です。
体内でビタミンやミネラルを細胞や血液に吸収するとともに、老廃物や毒素を溶解し体外へ排出します。
電解還元水は、活性酸素を除去する物質(活性水素イオン)が含有され、抗酸化作用のある水です。
 
これらの水を飲み水や調理に使用するには、少々高価でも活性力のある浄水器をとりつけたほうがよいと思われます。
市販の浄水器には、塩素などを除去する高性能活性炭、還元抗酸化作用、生体水に近づけるπ化、クラスターを小さくした磁化、マイナスイオン化、抗菌作用などを装備した製品があります。
また入浴における塩素の害から体を守り、抗酸化作用も備えた入浴用浄水器もあります。
 
こうした良い水を、飲み水、調理、入浴などに使えば、健康の促進とともに、病気や老化の予防に役立つはずです。
ただし、注意していただきたいのは、飲み水はいくら良い水だからといって、のべつまくなしに飲んでもいいということではありません。
 
私は1日に良い水を約2〜3リットル飲んでいますが、通常は1.5リットルでいいでしょう。
まず朝起きぬけに500ミリリットル、昼食の30分〜1時間前に500ミリリットル、夕食の30分〜1時間前に500ミリリットルの水を飲むようにします。
ただし人によって、あるいは病気によって加減する場合があります。
また外部の温度によっても変わります。
 
食事の30分〜1時間前に水を飲めば、食事を摂るときには水は腸の中に入っているので、胃が水でいっぱいで食事が食べられないということはありません。
あとは食事中にもコップ1杯ぐらいずつ飲みますが、消化酵素を薄めますので、食事中はあまり大量に飲まないほうがよいと思います。
 
それと、水の温度は温かめにして、ゆっくり飲むというのが基本です。
夏場やお風呂上りで冷たい水を飲む場合でも、できるだけゆっくり飲んでください。
冷たい水を時間をかけて心静かに飲むと、脳神経の興奮を抑えてストレス解消にもなります。
 
とにかく、水は百薬の長といってもいいと思います。
良い水を飲む習慣を身につけることで、体内の水もよどみなく流れ、生命活動が滞りなく営まれるのです。
 
 
■ 腸内環境をよくするコーヒー・エネマ(超洗浄)
 
排泄というのは、健康に大きく関わっています。
腸内で活性酸素を発生させ、腸内環境を悪化させる元凶ともいえるのが便秘です。
便秘に搗いては前にも述べましたが、便を腸内にためることによって、硫化水素、フェノール、スカトール、インドール、アンモニア、アミン類などの有毒なガスが腸内で発生し、同時に活性酸素も発生します。
またつねに腸内に便の残存があれば、腸内で有害菌が増殖し、腸内細菌のバランスは崩れてきます。
そうして腸内細菌が関与している、からだの免疫力、抵抗力、自然治癒力も弱まってきます。
 
こうした腸内環境の悪化に対処するには、コーヒー・エネマ(超洗浄)をおすすめします。
コーヒー・エネマというのは、肛門から薄いコーヒー液を入れて、大腸、特に横行結腸、下行結腸、S時結腸、直腸の内部を洗い出す方法です。
 
この方法は、約70年前にドクター・マックス・ゲルソンによって開発されたガン療法の一つです。
ドクター・ゲルソンのガン治療の基本的な理論は、腸の働きを正常にし、肝機能の回復を図り、体内の解毒作用を徹底して続行させるというものです。
酸素コーヒー・エネマによって、毒素や活性酸素を解毒する肝臓の代謝機能を復活させ、体全体の治癒力を高めることを主眼としているわけです。
コーヒー・エネマを続けることで、単に便秘の解消のみならず、治癒力が高まり、体全体を活性化することができるのです。
 
実際のやり方は想像されされるよりずっと簡単です。
市販されているエネマバッグとコーヒー・エネマ液(155cc)を用意し、ぬるま湯を加え約1000ccを35度ぐらいにして、トイレのフックにバッグをかけます。
そして床に膝を着いて前傾姿勢をとり、挿入チューブを肛門から直腸に差し込み液を入れるだけです。
2分ほどで液を入れ終わったら、挿入チューブを抜いて、トイレに座り排泄します。
コーヒー・エネマは1日1〜2回行ってください。
行う時間は、都合のいい時間でかまいません。ただし、排泄のリズムを作る必要がありますので、朝昼晩いずれかの食後1〜2時間の決まった時間に行うようにしましょう。
 
コーヒー・エネマの終了後には、排泄中に腹部のマッサージをすると効果的です。
マッサージの方法は、片手の手のひら全体を使って、時計回りにお腹をゆっくり円を描くように軽く押していきます。
とくに左下腹部は強めに押してください。
排泄中にマッサージを続けることで、排便の効果はさらに高まります。
 
このマッサージは、便秘の症状がない人でも行うとよいと思います。
お腹をよくマッサージすると、腸内の血液の流れがよくなり、腸内細菌が活性化されます。
腸内細菌がよく働けば、体内酵素の産生も向上します。
 
コーヒーは口から飲むと、27種類のカフェインなどの化学物質が腸内細菌や体に害を及ぼしますが、肛門から入れると逆に良い効果をもたらします。
肛門からコーヒーを入れることによって、消化や吸収をつかさどる有用菌にダメージを与えることなく、むしろ大腸の肛門近くに多くいる有用菌とともに、腸に滞っている便をスムーズに排泄してくれるのです。
 
それと、コーヒー・エネマのもう一つの大きな効果は、血液中の毒素をより効果的に排出できることです。
血液中の毒素や老廃物は、肝臓で作られる胆汁として、便といっしょに排泄されます。
このとき肝臓の胆管を広げて、血液中の毒素を胆汁の中に出しやすくしたほうがいいわけです。
ここで役立つのが、コーヒーに含まれている物質です。
コーヒーには、カフェインやテオフィリンといった物質が含まれています。
カフェインやテオフィリンは、大腸の壁から吸収されると、門脈という大静脈を通って肝臓に入ります。
そして、肝臓の毛細血管や胆管を広げて、血液中の毒素を胆汁と一緒に排泄できるように役立っているのです。
 
コーヒー・エネマに使うコーヒーは、飲むコーヒーをエネマ用として使用することもできますが、コーヒーの濃さが調節されていてミネラルや乳酸菌生成エキス、Wm-X(有用微生物群のエキス)などを含むコーヒー・エネマ液を利用されたほうがより効果的です。
このコーヒー・エネマ液には、ナトリウムやカリウムなどの各種ミネラルが含まれています。そのため、急激に便を排泄しても、体内のミネラルバランスが崩れるのを防いでくれます。
またコーヒー・エネマ液には、乳酸菌を強化する乳酸菌生成エキスも含まれていますので、腸内で乳酸菌を活性化してくれるのです。
 
コーヒー・エネマを行うと、食物のカスである便が、大腸を通過する時間が短縮されます。
コーヒー・エネマで腸の中をきれいにして腸内環境を良くすれば、さまざまな病気の改善や治療に役立ちます。
便秘は薬を飲まなくても、予防したり解消することはできるのです。
便秘が続いている人は、ぜひコーヒー・エネマで便秘の自然な根治を目指してください。
もちろん便秘がちではない健康な人も、体の恒常性を保つために、より若さと健康を保つ秘訣としておすすめします。
 
 
■ 適度の運動は、体の全ての流れをよくする
 
運動もまた、健康維持、病気や老化防止の大事な要素です。
適度な運動は、前述の体のすべての流れをよくし、新陳代謝、免疫力、抵抗力を高めます。
毎日少しずつでも運動をしている人とそうでない人とでは、中年以降の健康状態はずいぶん違ってきます。
運動をほとんどしない人は、良く体を動かして運動をする人と比べると、ガンや心臓病になる危険性が2倍になるといわれているのです。
 
とはいえ、中高年になってからいきなり過激な運動をすることは、かえって害になります。
過激な運動をすると、多量の酸素を必要とし、呼吸の量を増やして、その分だけ活性酸素が発生します。
若いときは体内酵素がたくさんあるので、そうした活性酸素をきちんと解毒できますが、年とともに体内酵素が減少して解毒する機能が弱まってきます。
ですから、中高年になってからの、過激な運動は避けるべきなのです。
 
それと、ビタミンやミネラルの点からいっても、過激な運動は問題です。
過激な運動をすると、副腎皮質ホルモンの消費が激しくなりますので、副腎皮質ホルモンの原料となるビタミンCをしっかり摂取しなければなりません。
またミネラルも激しい運動によって消耗します。
 
ワシントン大学の研究によると、1週間に25マイル(1マイルは約1.6キロメートル)走る人は、同年齢の走らない人に比べて、脊椎のカルシウムの損失が2倍になったということです。
過激な運動ではなく、適度な運動をすることが、カルシウムを消化管から十分に吸収し、骨を強くすることにつながります。
運動は体に良いことではありますが、やりすぎるとビタミンやミネラルの欠乏を招き、かえって健康を阻害することもあるのです。
 
それでは、過激な運動ではなく、適度な運動というのは、どのようなことをすればいいのでしょうか。
例えば、1日2〜3キロメートルのウォーキング、水泳、テニス、ゴルフ、ウェイトトレーニング、筋肉トレーニング、ストレッチなどです。
これらの運動を無理のないペースで、週に4〜5回は行います。
買い物なども、できるだけ歩いていくようにしましょう。
 
ただし、これらの運動でもある程度の活性酸素は発生します。
したがって、運動をしたあとは、休息と食物から必要な栄養を摂ることによって、活性酸素を中和し無害にするように努めてください。
繰り返しますが、運動を全然しないのはいけませんが、過激な運動もいけません。何ごとも中庸ということが、体にとって重要な理念です。
 
 
■ 幸せであることが病気を防ぐ
 
食事、水、排泄、運動、そうしてもうひとつ大事なのが精神的な充実感(すなわち幸せであること)です。
たとえ良い食習慣を守り、良い水を飲んで、規則正しく排泄し、適度な運動をしていたとしても、精神的な充足感がなく、幸せでなければやはり病気になってしまいます。
ガンなども、本人が前向きでポジティブでなければ予防できないし治らないといっても過言ではないのです。
 
では、なぜ精神と体の健康はつながっているのでしょうか。
それは精神的な状態によって、自立神経が交感神経が優位になったり副交感神経が優位になったりするからです。
ストレスを受ければ、交感神経が優位になって、白血球の顆粒球が増えます。
ストレスによって過剰に顆粒球が増殖すると、攻撃する相手を探して、回りの正常な組織を損傷し始めます。
それによって、攻撃された細胞は炎症などを起し、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎といった病気になるのです。
逆にいつもポジティブな気持でいれば、副交感神経が優位になり、ガン細胞にも非常に強いリンパ球が増殖します。
 
リンパ球が増えれば、免疫機能が高まり、免疫力、抵抗力、治癒力も活性化されるわけです。
その意味で、副交感神経を優位にし心身のバランスを整える呼吸法である調息法なども有効です。
呼吸法・腸速報などについて書かれた本も出ていますから参考にしてください。
病は気から、というのは十分に根拠のある話で、いかに日頃からよい精神状態を保つかが大切なのです。
 
私たちの体は、精神状態と切り離せないものです。
ですから、ストレスを受けたらリラクゼーションを心がけ、心身のバランスをとることが必要です。
仕事で心も体も疲れたら、ゆっくり休養してください。
ストレスの多い社会で生きている現代の人々は、自分がのんびりリラックスできる状態を、意識してつくることは大事です。
ストレスはなるべくすぐに解消し、前向きでポジティブな気持でいることが、体全体の健康につながるからです。
 
それと忘れてならないのは、地球に住んでいる私たちは、大地や大気の影響を受けて生きているということです。
例えば、天気が良ければ、気持がいいわけです。
裸足で走り回る子供は、元気に育ちます。
反対に汚染された空に下で暮らすと、病気になります。
高層マンションなどで生活すると、気持が沈みやすいということもいわれます。
 
私たちは大気、植物、土壌、鉱物などの恵みを受けて、生活を営んでいるのです。
大地や大気が与えてくれるものをありがたく受け止め、自然に感謝し、日々幸せであろうとする心がけが、ほんとうの健康な人生をつくることになるのではないでしょうか。
 
 
■ 現代医学への提言
 
高齢化社会の到来に伴って、日本人への健康への関心はますます高まりつつあるように思います。
この時代に生きている私たちは、誰もが健康維持と老化防止ということに、直面しなくてはならなくなってきました。
 
元気で長生きしたいと願うのであれば、人間の体を全体としてきることが大切です。
 
高齢化社会を背景に、さまざまな健康法が紹介されています。
しかし、それらは人間の体を部分的にもた健康法です。
「ガンにならないためには、これを食べなさい」「糖尿病や高潔のならならいためには、このサプリメントを摂りなさい」、そうした情報をえることはわるいことではありませんが、それだけでガンや糖尿病や高血圧を防ぐことができるわけではないのです。
なぜなら、人間というのは、単なる部分の詰め合わせではなく全体として非常によくできた緻密な生物体だからです。
 
私たちは生物体であると同時に、個性をもった個体でもあります。
つまり体の構造は同じでも、免疫力や抵抗力や自然治癒力は、それぞれの人間の部分で個性があるということです。
それは生まれながらの遺伝もあるでしょうし、それぞれの食習慣、生活習慣、生活環境から出来上がった部分もあるでしょう。
例えば同じ食べ物を、同じ量食べていても、太る人もいればそうでない人もいます。
あるいは、同じ内容のものを食べても、お腹を下す人もいればなんともない人もいます。
 
ですから、それぞれが個性を持った個体であるが故に、悪い食事を続けていると、病気のあらわれかたも違ってくるわけです。
動物食を好んで食べているとしたら、膵臓の悪い人は、糖尿病として現れますし、腎臓の悪い人は、腎炎や通風になってあらわれます。
要するに、病気というのは、この人の遺伝的・体質的に弱いところに日頃のつけが回ってあらわれたものなのです。
 
ですから、ガンを防ぐにはこの健康食がいい、糖尿病にはこのサプリメントが効く、高血圧にはこれを食べれば大丈夫、という誰にでも当てはまるような特別なものはありえません。
どこか調子の悪い部分があると、そこを直しさえすれば、健康になるような気がします。
しかし、人間の体は精密につながっており、その人によっても強い部分や弱い部分は異なります。
 
ガンにはこの食べ物、糖尿病にはこのサプリメント、高血圧にはこの飲み物、というのではなく、体全体を健康にすべきです。
体に良いといわれるものを積極的に摂るのはいいのですが、大前提として全人的な発想が大切です。
もっとその人全体を見て、生活全部を見直して、そこで初めて健康が成り立つわけです。
 
どうして人は体全体を見ずに、この食べ物がいい、この飲みものが効くとなったら、それに飛びついてしまうのか。
そのように思考していきますと、現代医学のありようにいきつきます。
 
例えば、大学病院などは、消化器内科、循環器内科、腎臓内科、精神内科、心臓血管外科、脳神経外科、形成外科、整形外科と再分化されています。
そして、そこでは臓器別診断、臓器別治療が行われています。
胃ガンであれ、大腸ガンであれ、乳ガンであれ、その患者さんの生活習慣や食事の内容を原因とし、免疫系統、神経系統、ホルモン系統すべてが関与してガンが発生しているのに、胃ガン、大腸がん、乳ガンの専門医師しか診断、治療を行うことができないのです。
 
私は長年アメリカと日本で内視鏡検査を実施してきて、その人の胃腸を見れば、その人はこれまでどういうものを食べてきて、胃腸の他にどこが悪いのか、どこが弱いのかすぐに診断ができるように、できるだけ体全体を検査するように心がけています。
ところが、いまは、その人の体全体を見て、治療していく、健康にしてあげるという発想を持つドクターが少ないと感じます。
 
繰り返しますが、人間の体をつくっているのは、食べ物と水です。
いったん病気になってしまったら、食事を改善することなくして、ほんとうの健康は得られませんし、元気で長生きすることはできないのです。
 
本書の冒頭でも述べたように、アメリカでは1977年に政府機関による「マクガバン・レポート」で食事と病気のかかわりが報告されました。
この報告では、食事の改善が病気の予防と治療に役立つ基本であることを示しています。
しかし、日本では現在でも、食習慣と病気の原因の関係は、ほとんど無視されているか、または考慮されない状態です。
多くの医師の関心は、病気の早期発見と治療であって、病気予防のための医療はなされていません。
患者さんは病気にならないための生活指導、食生活の具体的な方法などは、ほとんど指導してもらえないのが現状です。
 
その大きな原因の一つは、薬を処方したり検査しないと、健康相談だけだと保険料収入がほとんどないことでしょう。
しかし、予防医学という観点から言えば、医療費の中にも健康相談という項目があってしかるべきです。
健康相談で適切な指導をすることで、対症療法に過ぎない薬漬けや、検査漬けといった弊害もなくなるはずです。
 
アメリカでは30年前以上に、大々的な医療費の見直しをしました。
日本もそろそろこの問題に取り組んで、保険制度の大改革をしないことには、増加し続ける医療費は国の存亡にすら関わっているといわざるをえません。
 
日本でもアメリカに遅れること25年にして、慢性病の原因が食習慣や生活習慣によるものとの認識が高まり、成人病という名称が生活習慣病に変更されるようになりました。
医療費が大幅に削減されれば、一人ひとりが自分の健康に責任を持たなければならなくなります。
そのためには、食物や水についてもっと学び、病気になる前に、自分の努力で健康を保てるようにならなければならないのです。
 
 
私の医師としての大きな役割は、すべての人が幸せで健康な人生を送れるように、病気を予防するにはどうすればいいかを説くことだと思っています。
どうぞ良い食べ物を摂り、良い水を飲み、前向きな気持を保って、健康と長寿をまっとうしてください。
 
おわり
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
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池田 優

 

 

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