山ちゃんの食べもの考

 

 

その291
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)





『食は生命なり』 【148】
「食べ方」一つで
人生が変わる!
「病気にならない
食べ方 食べ物」
石原結實 著  海龍社 刊
その5
 
第4章 病気にならない食物効能事典
 
野 菜
◆ アスパラガス(野天門)効能:食欲増進、利尿
南ヨーロッパ原産のユリ科の多年草。
名前の由来は、すずめ(Sparrow)に好まれる草(Grass)であるから、SparrowGrassが、Asparagusになったという俗説もある。
しかし、アミノ酸の一つであるアスパラギン酸のアミド化合物(アスパラギン)が多く含まれているからという説のほうが妥当のようだ。
 
日本では「野天門」と書いてアスパラガスと読ませるが、「西洋うど」、「オランダキジカクシ」、「松葉ウド」とも呼ばれている。
 
ローマ時代から栽培されており、紀元前200年ころよりギリシアでは薬用に用いられていたようだ。
日本には江戸時代に観賞用として伝わり、明治時代に改めて北海道に伝わってから食用栽培が始まり、昭和に入ると全国に普及した。
 
アスパラガスにはクエン酸、リンゴ酸などが含まれており、その酸味が食欲を増進させてくれる。
 
また利尿効果にも優れているので、心臓病や腎臓病のむくみに効果がある。
グリーンアスパラガスにはビタミンA・B2・Cが豊富。
ヨーロッパでは、アスパラガスの出周りが長い冬の終わりと春の訪れを意味する。
 
 
◆ カブ (蕪) 効能:胃酸過多症、骨歯を丈夫にする
地中海原産のアブラナカの植物。
別名は「すずな」で、春の七草の一つ。
根の部分は淡色野菜、葉の部分は緑黄色野菜に分類される。
 
根には炭水化物の消化を促す酵素のジアスターゼやアミラーゼが含まれるので、食べすぎ、飲みすぎによる胃腸の不調を整える。
昔から1月7日には、七草がゆを食べる習慣がある。
正月で疲れた胃腸を快癒させようという昔の人の知恵だったのだろう。
胃腸の不調や痛みには根のおろし汁を大さじ2〜3杯飲むとよい。
またしもやけやひび、あかぎれには根をおろしたものをガーゼに包んで患部に当てるとよい。
 
カブの葉には、ビタミンA(カロチン)・B1・B2・Cなどが豊富に含まれている。
とくにビタミンCはカブ100g中に75mgも含有されており、これはオレンジやトマトの約3倍である。
またカルシウム、鉄、カリウムなどのミネラルも豊富に含まれる。
とくにカルシウムはすべての野菜の中でももっとも含有量が多く、カブ100g中に230gに及ぶ
 
カブの葉はおひたしなどにして毎日食べると、歯や骨を丈夫にし、イライラや不眠、自律神経失調症の予防、改善にもつながる。
胃酸過多の症状にはニンジン、リンゴにカブの葉を加えてジュースにしたものを飲むとよいだろう。
 
 
◆ カボチャ (南瓜)
効能:風邪の予防、美容、視力の回復、駆虫
中央アメリカ原産のウリ科の植物。
日本へは16世紀中ごろ大分にカンボジアから持ち込まれらため「カボチャ」の名がついたといわれている。
別名「ナンキントウナス」、「ボウブラ」。
 
保存に役立つ冬至カボチャは、昔から冬期のビタミンA(カロチン)の補給源としてし重宝されてきた。
「冬至カボチャを食べると中風(脳卒中)にかからぬ」というのには一理ありそうだ。
 
黄色の果肉に豊富に含まれるビタミンAは血管壁や皮膚、粘膜を強化し、皮膚の美容、動脈硬化やトリ目、眼精疲労、風邪や肺炎などの予防、改善に効果的である。
またビタミンE含有量は野菜の中でもトップクラス。
ビタミンEとβ‐カロチンは、ガンをはじめとする万病の一因とされる活性酸素を除去する作用に優れている。
 
カボチャの「わた」の部分には、カロチンが果肉の5倍も含まれているので、煮物やスープに入れると良い。
また種子は、漢方で「南瓜仁(なんかじん)」といわれ、回虫やギョウ虫の駆除薬として使われてきた。
リノール酸が多く含まれ、動脈硬化の予防、改善に有効である。
種子はフライパンで煎って食べると食べやすくなる。
咳や痰にも種子を食べるとよい。
 
 
◆ キャベツ
効能:胃・十二指腸潰瘍、居短、鎮静・鎮痛
地中海沿岸地方原産のアブラナ科の越年生草本植物。
古代ギリシア、ローマ時代から栽培されており、日本には江戸時代にオランダから持ち込まれた。
その当時は観賞用で「葉牡丹」と呼ばれていた。
 
ヨーロッパでは「貧乏人の医者」という別名がある。
古代ローマの政治家、大カトーは「ローマ人が何世紀もの間、医者なしでやってこられたのは、キャベツのおかげである」といっている。
 
事実、淡色野菜の中ではビタミンやミネラルの含有量が最も多い。
ビタミンとしては、ビタミンA・B群C・Kを含む。
ミネラルとしては、塩素、カルシウム、ナトリウム、イオウ、ヨードなど。
特にイオウと塩素は、強力な胃腸浄化作用を発揮する。
呼吸器の浄化、清掃もしてくれるので、風邪や気管支炎のときの去痰にも役立つ。
鎮痛、鎮静の作用もあり、リュウマチや関節痛、通風などにも有効である。
 
またキャベツ汁には、大腸や乳房などのガン細胞の分裂増殖を抑えるインドール化合物が存在するという報告も数多く発表されている。
 
特質すべきことは、キャベツには潰瘍の特効薬であるビタミンUが含まれていることである。
ビタミンUは、胃・十二指腸潰瘍で傷ついた粘膜を修復するほか、肝機能強化にも役立つ。
 
 
◆ キュウリ
効能:利尿、高血圧、心臓病、皮膚病、発毛促進
インド、ヒマラヤ山麓原産のウリ科の一年生つる植物。
インドでは3000年も前から栽培され、日本には10世ごろに伝わった。
世界中に伝わった野菜の一つである。
 
スイカやキュウリなどのウリ科の植物には、カリウムやイソクエルシトリンという利尿作用の強力な成分が含まれる。
そのため、利尿に必要な病気である高血圧、心臓病、腎臓病、肥満症などに用いると効果がある。
これらの病気や暑がりの陽性体質の人には効果があるが、キュウリは南方産で、体を冷す陰性食品である。
そのため、冷え性に人にはかえって逆効果になることがある。
 
冷え性に人は浅漬けや糠味噌漬けなど、塩を加えて陽性に変えてから食べるとよい。
体を冷すので、ほてりや暑気あたり、日焼け、火傷にも効果がある。
火傷や打ち身には、すりおろしたキュウリに小麦粉を加えて練り、ガーゼか布に置いて湿布する。
 
栄養素としては、ビタミンC、カリウム以外はほとんど期待できないといわれている。
ほかに、皮膚や毛髪の健康に不可欠な成分であるケイ素が含まれていることはあまり知られていない。
脱毛や、爪の発育不良には、キュウリを加えたニンジン・リンゴジュースを毎朝飲むとよいだろう。
 
 
◆ クレソン (水芥)  効能:食欲不振、胃腸病
ヨーロッパ原産のアブラナ科の多年草。
水中や湿地に原生する。
ヨーロッパでは古くより野生のクレソンを食用とし、14世紀よりフランスで栽培に成功した。
日本には「ミズガシラ」として明治時代に伝わり、現在では各地の小川、沼に帰化して野生化している。
 
生で食べると、ほろ苦さと辛さがある。
それが何ともいえずさわやかで、食欲を増進させてくれる。
独特の香りもよく、フランス人に好まれる野菜の一つといえるだろう。
胃腸病にも効果があるといわれている。
 
14世紀のフランスの名料理人タイユヴァンは、宮廷料理のメニュウーにはじめてクレソンを使った人だといわれている。
当時は、肉や魚の料理の合間の「口直し」的なものとして用いられたようだ。
 
クレソンの茎葉は、よくビーフステーキに添えられる。
クレソンは肉料理に不足しがちなビタミンA・Cやカルシウムを多く含むので、肉食により血液が汚れるのを防ぐ効果があるとされる。
ステーキのほかにも、サラダ、おひたし、味噌汁の具、天ぷらなどさまざまな料理としていただける。
 種子はシニグリンを含み辛味があるため、カラシ同様に使われている。
 
 
◆ サラダナ      効能:肝臓病、心臓病、貧血
西アジア原産のキク科の植物。
葉が柔らかく、食べると口の中で溶けるような食感が特徴。
名前のごとくサラダで生食するのに適した野菜。
 
サラダナとレタスの違いは、結球しているか、していないかだと思われがちだが、栄養面でははっきりした差がある。
サラダナはビタミンAが多く含まれており,100g中に789IUとレタスの11倍の含有量がある。
またビタミンC含有長も100g中13mgとレタスの2倍。
豊富なビタミンが含まれているのだ。
 
サラダにするときはぜひサラダ菜を使うことをおすすめする。
鉄分を多く含むので、貧血に効果があるほか、利尿作用や解毒作用に優れているので、心臓病や肝臓病にも有効である。
 
 
◆ ゴボウ (牛蒡)
効能:生活習慣病の予防・改善、強制、発汗、解毒
 
ヨーロッパからアジアの熱帯地域原産のキク科の越年生草本。
中国ではもともと薬草として用いられ、日本へも千数百年前に薬草として伝えられた。
食用になったのは平安時代。
 
主に炭水化物よりなり、その中のセルロースやリグニンなどの炭水化物(食物繊維)は腸の蠕動を活発にし、腸内の善玉菌の発育を助け、便通をよくする。
その結果、コレステロール、中性脂肪などの余剰物や有害物を排出する。
このことにより、高脂血症、糖尿病、大腸ガンなど、栄養過剰で起こる生活習慣病の予防、改善に役立つ。
とくにリグニンには強力な大腸ガン予防効果がある。
 
「本朝食鑑」(1967年)に「ゴボウは男性の強精剤である」とある。
これはアルギニンによる滋養強壮効果であろう。
東洋医学の「相似の理論」では、人間の下半身は植物の根に相似する。
よって、ゴボウが下肢、腰の力に加え、秘尿生殖器の力を強化するのは当然で、その結果、腎臓の働きを高め、利尿作用も発揮する。
 
フランスの植物療法家M・メッセゲ氏は、ゴボウを「頭の皮膚病の草」と呼んでいる。
タンニンが消炎作用や収斂作用を発揮するのだ。
また解毒作用、発汗作用にも優れるため、にきびや発疹など、体内に老廃物がたまって起こる病気にも効果がある。
 
 
◆ シソ (紫蘇)
効能:魚・カニの中毒、風邪、気管支炎
 
中国南部、ヒマラヤ、ミャンマー原産のシソ科一年草である。
日本へは8〜9世紀に中国から伝わった。
奈良時代にはすでに薬用、食品香味料として重宝されていた。
 
シソはβ‐カロチン、ビタミンB1・B2・Cなどのビタミン類、鉄、カルシウム、リンなどのミネラル、クロロフィルなどを多く含む緑黄色野菜である。
とくにβ‐カロチンとカルシウムの含有量は、野菜の中ではトップクラス。
 
シソの特徴的な含有成分は、独特の香りの成分であるペリルアルデヒド。
防腐作用があり、魚やカニの中毒に対しては解毒剤として用いられる。
そのため刺身に添えられているのであろう。
 
また、発汗、利尿、鎮咳、去痰作用もあるので、風邪にも効果がある。
神経を落ち着かせる作用もあり、ノイローゼやうつ病、自律神経失調症に用いる漢方薬「半夏厚朴湯」の主成分にもなっている。
そのほかにも気管支喘息や風邪、胃弱の漢方薬にも用いられている。
 
シソには、リノール酸やαリノレン酸などの不飽和脂肪酸も含まれており、動脈硬化の予防、免疫力増強に効果があることが明らかになってきた。
また、赤ジソの紫の色素シソニンには、強力な抗酸化作用があり、万病の予防に役立つ。
 
 
◆ シュンギク (春菊) 効能:胃腸病、去痰作用
 
南ヨーロッパ原産の菊科の越年生草本。
日本には室見町次代に、朝鮮を経て伝わった。
そのため江戸時代に、京都や大阪では「高麗菊」と呼ばれていた。
菊は秋の花だが、シュンギクは春に花が開き、菊に煮ているためにこの名がつけられたようだ。
 
約500年前の著[本草綱目」のなかでは、春菊について「毒はなく、気分を鎮め、胃腸を丈夫にし、去痰効果がある」とある。
 
シュンギクにはヨモギに似た独特の香りがあるが、これは精油成分によるもの。
ほかに多量の葉緑素やビタミンA・Cを含有し、数々のミネラルも豊富に含まれている。
春の不安定な体調を整えるにはぴったりの野菜である。
 
シュンギクは鍋に欠かせない野菜だが、肉や魚による栄養過剰を、シュンギクに含まれる葉緑素による解毒作用と食物繊維による排泄作用が是正してくれるからだと考えられる。
脂っこい料理のときはシュンギクを一緒に食べるとよいだろう。
 
シュンギクは体を内から温める。
風邪の時には味噌汁にシュンギクや生汁を入れ、熱いうちに飲むと体が温まり効果がある。
扁桃腺炎にはシュンギクで煎じ薬を作り、頻繁にうがいをするとよい。
また茎葉を陰干しにして風呂に入れると保温効果がある。
 
 
◆ ショウガ (生姜)
効能:強壮、健胃、殺菌、発汗、解熱、保温
 
熱帯アジア原産のショウガ科の多年草。
日本には弥生時代、稲作とともに伝わった。
学名はZingiderofficinaleでofficinaleとは「薬用になる」という意。
医療用漢方薬の70%以上にショウガが用いられている。
英語のgingerには「意気、軒昂、元気」という意味もあり、イギリスでもしょうがの効果は知られているようだ。
 
16世紀にイギリスでペストが大流行した。
このときショウガを食べていた人は助かったことがわかり、当時の王が「市民はショウガを食べるように」との命を出したという話も残っている。
 
ショウガの薬効は、辛味成分のジンゲロン、ジンゲロール、ショウガオールや、芳香成分のジンギべロールなどの総合作用による。
ジンゲロンやショウガオールには強力な殺菌作用があり、魚介類による食中りを防ぐ。
このため寿司にショウガが添えられているのだろう。
また、寿司を食べすぎても案外胃腸を壊さないのは、ジンゲロンの健胃作用によるものと考えられる。
 
そのほかの効能としては、発汗、解熱作用、保温作用、鎮痛作用、鎮咳作用、消化促進作用、抗潰瘍作用、腸管内輸送促進作用、強心作用など。
また、ショウガには全身の細胞の新陳代謝を亢進させる作用がある。
全身の機能を高め、気力、体力、免疫力を高める万病の妙薬だ。
 
 
◆ スダチ (巣立・酢橘)  効能:食欲増進
 
日本原産のミカン科の常緑低木ないし中高木。
漢字では「酢立」、「酢橘」と書く。
ユズの近縁種だが、起源は不明である。
徳島県では江戸後期から栽培され、今も徳島県の特産品になっている。
酢っぱい橘(ミカン)といわれるだけあり、酸味が強いので生食することはできない。
食欲増進作用がある。
多汁で香りがよいので、酢として料理用や香味材に使われる。
 
 
◆ セロリ (生姜)
効能:貧血、美肌、精神病、生理不順、強壮・強精
 
地中海沿岸原産のセリ科の1年生または多年生草本。
日本へは、朝鮮出兵の際に加藤清正が朝鮮から持ち帰ったため、「清正ニンジン」の別名がある。
明治時代初期から栽培されており、「オランダ三つ葉」とも呼ばれていた。
 
ヨーロッパでは古くから薬草として用いられており、古代ギリシアでは万能薬とされていた。
ホメロスの「イ−リアス」の中にも「英雄アキレウスが、セロリを使って馬の病気を治した」とある。
医聖ヒポクラテスも「神経が疲れたらセロリを薬とせよ」といっている。
 
セロリはビタミンA・B1・B2・Cのほか、赤血球の成分となるマグネシウムや鉄を多く含むので、貧血の改善、美肌作り、生理不順や更年期障害にも効果的である。
独特の香り成分陰には、神経を沈める効果がある。
 
また、フランスでは「男に対するセロリの降下を知ったなら、女はセロリを探してパリからローマまでも行くだろう」といった俗言もある。
これはセロリの強壮・強制作用を示しさしている。
 
また、含有成分のメチオニンは、、肝臓のはたたきを強化する。
セロリ、パセリ、ニンジンなどのセリ科の植物には、血栓を溶解し血液をサラサラにするピラジンが含まれている。
心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症にはセリ科の植物が効果的である。
 
 
◆ セリ (セリ)
効能:緩下、利尿、利胆、保温、歯痛、神経痛
 
アジア原産のセリ科の多年草。
「春の七草」の一つで湿地やみぞに自生する。
新苗がたくさん出る有様が競り合っているように見えるため、この名がつけられた。
 
ビタミンB1・C・のほか、イオウと塩素、リンが多く含まれる。
これらが強力な腸内清掃効果を発揮している。
作用が強いため、生ジュースにする場合は、ニンジンやセロリなどと混ぜて用いるとよいだろう。
歯痛にはセリ汁を口に含むとよい。
 
「本朝食鑑」によると、セリは「大腸、小腸を利し黄症を除き、酒後の熱を去る」とあるように利尿作用に優れているので、黄疸、肝臓病にも有効。
また、精油分を多く含んでいることは知られているが、内容についてはまだ解明されていない。
おそらく神経痛やリュウマチに対して薬効を呈するのはこの精油成分だと思われる。
 
ゆでたものをおひたしにして常食すると保温効果があり、神経痛やリュウマチなど冷えが原因となる病気に効果的である。
発熱性の病気には生汁を少し飲むと速効を呈する。
しもやけにはセリの生汁を患部にすり込んで、マッサージすると血行がよくなり、治りが早くなる。
湯冷めして風邪をひきやすい人は、葉をひとつかみ布袋に入れてお風呂に入れると良い。
 
 
◆ ダイコン (大根)
効能:強胃・食欲増進、鎮咳、利胆、強壮・強精、保温、食中毒
 
コーカサスからパレスチナ原産のアブラナ科の一年生草本。
日本へは1200年以上も前に、インド、中国、朝鮮半島を経て伝わった。
「古事記」や「日本書記」にも記載がある。
 
「春の七草のスズシロとはダイコンのこと。
「本朝食鑑」には、ダイコンは「よく穀を消し(消化し、の意)、痰を除き、吐血、鼻血を止め、麺類の毒を制し、魚肉の毒、酒毒、豆腐の毒を解する」とある。
 
ダイコンは、デンプン分解酵素のジアスターゼ、タンパク質分解酵素のステアーゼをはじめ、オキシターゼ、カタラーゼなどの酵素類や、ビタミンCを多量に含んでいる。
このため、健胃作用があり、食中毒や二日酔いに効果がある。
 
大根の辛味は、配糖体のシニグリンが分解されてイソ流化シアンアリルができたためのもの。
胃液の分泌を高め、消化を促し、便通をよくする。
また、鉄とマグネシウムの含有量が多く、粘膜の病気を癒す作用もあるので、風邪、気管支炎の咳止めや去痰などに奏効する。
食物繊維のリグニンはガン細胞の発生を抑制する。
 
生のダイコンは体を冷す作用があるが、天日干しの切り干しダイコン、おでんのダイコン、干したダイコンを酢に漬けたハリハリ漬けには、強力な保温効果がある。
 
 
◆ タケノコ (竹の子・筍)
効能:便通の促進、利尿、去痰
 
タケは熱帯地域原産の植物で、日本原産はササ。
日本へは中国から伝えられ、マダケ、ハチクはすでに平安時代に日本に伝わり、モウソウチクは戦国時代に伝わった。
 
通常冬の間は寒いため、食生活が肉食に傾きがちになる。
その結果、栄養素も老廃物も一緒に体内に溜め込み、肥満傾向になる。
春は来るべき夏に向かって、体を軽くする時期。
この時期に取れるタケノコ、フキ、ワラビ、ゼンマイなどの食物は、食物繊維を多く含んでいる。
このため便通を促進し、大便とともに腸内の余分なコレステロール、脂肪、糖分などの余剰物質を排泄し、体の大掃除をしてくれる。
タケノコはこれらの食物のなかで、一番親しみがあり、冬の間に溜め込んだ老廃物を大掃除する「竹ぼうき」ともいえるだろう。
 
そのほか、タケノコには利尿作用、去痰作用もあり、のぼせを治す作用もある。
発疹がなく、発熱や咳の症状が出ているハシカの子供には、タケノコスープを飲ませると、発疹を促し治りを早くしてくれる。
 
 
◆ タマネギ (玉葱)
効能:駆虫、殺菌、防腐、発汗、利尿、解毒、血栓防止
 
アフガニスタンからペルシャ(イラン)にかけての原産でユリ科の越年生草本。
ヨーロッパでは、4000年以上も前から栽培されている。
 
ピラミッド建設の労働者にタマネギとニンニクを食べさせて、仕事の効率を上げたという記述もある。
ニラ、ニンニクと同じアリウム属の野菜で、駆虫・殺菌・防腐・発刊・利尿・解毒作用がある。
こうした作用は、含有成分のイオウ、リンなどのミネラルによるもの。
イオウを含んだ硫化アリルはその中心的働きをしている。
とくに、チオスルフィネートは、血栓防止や、効ヒスタミン作用が知られている。
ビタミンとしてはB1・B2・Cを多く含む。
とくにビタミンC、含有成分のクエルセチンと協同して、血管をしなやかに丈夫にし、血管病の予防、改善に役立つ。
 
特筆すべき成分はグルコキニンで、血糖降下作用がある。
鎮静作用もあり、切ったタマネギを枕元に置くとよく眠れる。
 
イギリスには「1日1個のたまねぎは医者を遠ざける」ということわざもあり、「疫病よけのお守り」として用いていた。
タマネギの香気には殺菌作用がある。
欧米では運動選手がタマネギを常食している。
これは硫化アリルがビタミンB1の吸収と利用効率を上げ、体力、気力を高めてくれるからだ。
 
 
◆ トウガラシ (唐辛子)
効能:食欲増進、血液循環、殺菌、保温
 
南アメリカ、アマゾン流域原産のナス科の一年生草本。
メキシコやペルーでは古くから食用にされていた。
ヨーロッパへはコロンブスが伝えたとされている。
日本には豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に持ち帰ったとされている。
 
強烈な辛味は、カプサイシンというアルカロイドで、特に果皮に多く含まれている。
この成分には食欲増進、血液の循環促進のほか、殺菌作用がある。
 
日本では七味唐辛子としてよく知られている。
七味とは、陳皮、ゴマ、ケシの実、アサの実、山椒、菜種にトウガラシである。
そばやうどんにかけて食べると食欲が増し、消化吸収が促進されるだけでなく、体が温まり、心身ともに気分がよくなる。
 
また、唐辛子の保温効果は古くから活用されている。
昔、旅人は冷えを防ぐために、腹巻の中にトウガラシを入れて歩いたといわれている。
また、トウガラシには以外とビタミンが多くふくまれている。
カロチン、ビタミンB1・B2のほか、ビタミンCが多量に含まれている。
 
リュウマチや神経痛には、果実を刻んで布袋に入れ風呂に入れると、体が温まり、種々の痛みに効果がある。
ホワイトリカーに刻んだトウガラシを入れて1ヶ月ほど保存したあと、こしたものを痛い部分に湿布すると速効する。
 
 
◆ トウモロコシ (玉蜀黍)
効能:栄養食、整腸、利尿
 
南アメリカ原産のイネ科の一年生草本。
古代から中南米で栽培されていた。
インディアンが食料としていたものをコロンブスが持ち帰ったあと、ヨーロッパ全土に広がり、以後アジアに伝わったとされている。
江戸時代の「物類称呼」には、「関西では南蛮きび、菓子きびと呼び、関東ではとうもろこしと呼んだ」とある。
 
南アメリカや日本のトウモロコシ常食地は長寿で有名である。
それはトウモロコシには、デンプン、ブドウ湯、ショ糖などの炭水化物、グルテリン、グロブリンなどのタンパク質、良質の植物性脂肪、ビタミンB1・B2などのビタミン類、リンなどのミネラルがバランスよく含まれているからである。
準主食になる栄養満点の穀物なのだ。
 
とくに胚乳のデンプンはコーンスターチと呼ばれ、消化吸収がよく病後の回復期に食べると格好の栄養食となる。
整腸作用があり、消化液の分泌を促す酵素が多く含まれている。
また、リノール酸を多く含み、常食すると動脈硬化の予防になる。
コーカサス地方の長寿村の人々の主食は、トウモロコシをかゆ状にしたものである。
 
トウモロコシには利尿作用があり、腎臓病や脚気のむくみ、淋病や膀胱炎、腎臓結石などに民間療法としてよく用いられる。
 
 
 
◆ トマト (英・Tomato)
効能:消化促進、整腸、血管強化、ガン予防
 
南米ペルー、エクアドル原産のナス科の一年生草本。
16世紀にヨーロッパに伝わったが、食用ではなく観賞用だった。
 
18世紀にイタリア人が食用として食べ始めた。
日本へは1580年ごろポルトガル人により、ジャガイモ、スイカ、カボチャ、トウモロコシとともに伝えられた。
当時は観賞用で、食用として一般的になったのは昭和30年代からである。
 
漢方では、トマトは「清熱解毒」作用がある、つまり体内の余分な熱を冷まし、血液を浄化すると考えられている。
また、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハクさんなどの有機酸が胃酸の分泌を促進させて消化を促す。
ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのアルカリ性ミネラルは酸血症を中和してくれる。
このため、肉料理の付け合せに最適である。
 
ビタミンCやルチンには血管強化作用や拡張作用があるので、高血圧、眼底出血に奏効する。
また、トマトの赤い色素、リコピンは免疫力を強化し、ガン予防効果を発揮する。
ペクチンは整腸作用があり、便秘の改善に役立ち、グルタミン酸やアミノ酪酸には健脳効果がある。
このような数々の効果があるが、トマトは体を冷す陰性食品である。
よって、冷え性の人は、体を温める塩を加えたり、熱を加えたりして食べるとよい。
 
 
◆ ナス (茄子)
効能:血栓防止、高血圧、動脈硬化
 
インド原産のナス科の一年生または多年生草本。
日本では奈良時代より栽培されており、江戸後期には最も需要の多い野菜の一つであった。
茄子の名は、「よくなる(為す)」という意味からきているようだ。
 
「本草綱目」に、「ナスは性が寒冷で多食すれば必ず腹痛、下痢し、婦人は子宮を傷める」とある。
「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざがあるが、ナスが冷す作用を持つことにあるようだ。
冷え性や低血圧の人は、ナスを食べるときに、体を温める作用のある塩や味噌、ショウガとともに食べると良いだろう。
このような茄子の冷す作用は、打ち身、捻挫、やけどに湿布薬として用いると効果を発揮する。
「本朝食鑑」にも、「ナスは血を散じ、痛みを止め、腫れを消し、腸を寛げる」とある。
 
ナスにはビタミンCやPが多く含まれている。
これらによって血管をしなやかにし、高血圧や血栓症の予防、改善に役立つ。
また果皮の色素であるナスニンには、コレステロール値を下げ、動脈硬化を防ぐことが明らかになっている。
ナスニンは、加水分解してデルフィニジンを生じ、これがニッケルと安定な塩を作る。
茄子の漬け物に鉄クギを入れておくと、漬け物が青紫色になるのはこのためである。
 
 
◆ ニラ (韮)
効能:保温、強壮・強制、消化促進、殺菌、消炎
 
東南アジア、中国、日本原産のユリ科の多年草。
ニラは「陽起草」と呼ばれるほど成長力と生命力の強い野菜であり、栽培するに当たり手がかからないため「瀬人草(=なまけ草)とも呼ばれる。
 
「本草綱目」には、「根、葉を食えば、中(胃腸)を温め、気を下し、虚を補い、腸を益し、臓腑を調和し試食をよくし、腹中の冷痛を止める」と記述されている。
「農業全書」でも、「陽起草として人を補い、温まる性のよきものなり」とある。
ニラは体を温め、胃腸の働きをよくし、強壮・強精作用があることがわかる。
ニンニクと同様に、硫化アリルを含み、消化促進・殺菌・消炎作用もある。
 
ニラに特有の働きとしては、「活血化?=駆?血」作用がある。
つまり、汚れたどろどろの血液を浄化して血液の循環をよくし、血液をサラサラにする働きなのである。
よって、血の汚れから生ずる肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、生理痛、吐血、喀血などを改善する作用がある。
こうした症状のある人は、ニラの生汁を1日におちょこ1〜2杯飲むと良いだろう。
ニラの卵とじやニラレバ炒めは、陽性食品のニラ、卵、レバーが組み合わさった、疲労回復、虚弱体質の改善、貧血、低血圧などの陰性病に格好の食べ物である。
 
 
◆ ニンジン (人参)
効能:強壮、万病の妙薬、ガン、眼病、皮膚病
 
地中海沿岸から中央アジア原産のセリ科の越年多年草。
日本へは江戸時代前期に伝わった。
人参にはカロチンが豊富にふくまれている。
 
とくにβ‐カロチンは、活性酸素を除去し、免疫力を増強し、種々のの感染症やガンを予防することがわかっている。
日頃からニンジンを常食している人は、あまり食べない人より肺ガンの発生率が半分になるという研究報告もある。
 
米国アカデミーは、ガンを予防する代表的食物としてニンジンの効能を発表している。
米国のW・ウォーカー博士が以前から「ニンジンジュースは潰瘍とガンを癒す世紀の奇跡である」と断言していたことが科学的に証明されたのだ。
カロチンは視力の回復、眼病、皮膚病や肌荒れにも奏効する。
 
ミネラルとしては、強力な浄化力を持つイオウ、リン、カルシウムが多く含まれる。
これらは胃腸、肝臓を浄化し、骨、歯を強化するのに役立つ。
また、ニンジンに含まれるコハク酸カリウム塩には、血圧を下げる作用や体内の有害な水銀を排泄する作用があることがわかっている。
 
ヨーロッパでは「ニンジンは人を愛嬌よくさせる」という俗言がある。
愛嬌は健康が作るということであろう。
ニンジン2本とリンゴ1個で作る生ジュースを毎日飲むと万病の予防、改善に役立つ。
 
 
◆ ニンニク (葫・大蒜)
効能:疲労回復、強壮・強制、駆虫、整腸、利尿、殺菌
 
中央アジア原産のユリ科の多年生草本。
「旧約聖書」にも記載されているほど歴史は古く、古代エジプト・ギリシア時代から栽培されている。
 
日本には10世紀ごろ中国から伝わった。
「古事記」や「日本書紀」には「悪疫退散のために用いられた」と記されている。
和名は「忍辱(にんにく)」で、僧侶が激臭に耐え忍んで食べるほど薬効があるということがきている。
 
古代ギリシアやローマ時代から「農民のための万能薬」と呼ばれていた。
ローマの兵士は出陣前に食べ、ピラミッドや万里の長城を造った労働者の活力源にもなった。
 
ニンニクのこれらの作用の主役は、あの強烈な臭いの元である硫化アリルである。
ニンニクに含まれるビタミンB1と結合してアリチアミンに変わり、疲労回復や滋養強壮効果を発揮する。
また、食中毒や感染症に対して殺菌効果もある。
無臭成分のスコルジニンも、新陳代謝の促進や滋養強壮に効果がある。
 
このほかニンニクの効果は、駆虫作用、整腸作用、利尿作用、血液循環、促進作用、ニコチン、重金属、公害汚染物質の解毒化、降圧作用・コレステロール低下作用、強肝作用、老眼の予防などが明らかにされている。
ただし、眼病、潰瘍、胃腸虚弱の人は食べすぎると悪化の恐れがあるので注意!
 
 
◆ ネギ (葱)
効能:強壮・強精、興奮、去痰、発汗、利尿、駆虫、解毒、消炎
 
アジア原産のユリ科の多年草本。
日本には古くから伝えられ、「古事記」や「日本書紀」にも記載がある。
古書に「葱は気の義なり。根を賞するにより根葱という」とあり、気を高める作用は昔から知られていた。
 
ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニクなどのアリウム属の野菜には、アリインが含まれている。
強壮、興奮、去痰、発汗、利尿、駆虫などの作用があり、熱の出る症状に用いると、体内の老廃物を排除し、解毒・消炎作用を発揮する。
これらの植物を調理して細胞を砕くと、アリインは酵素のアリナーゼにより分解されてアリシンに変化し、強烈な刺激主を放つ。
 
通常ビタミンB1はアノイリナーゼという体内の酵素に破壊されるが、アリシンと結合しアリチアミンに変化すると破壊されない。
このため、このため、ビタミンB1の働きを高め、滋養強壮、鎮静効果を促進してくれる。
ニンニク、ニラとともにネギは「葷(くん)」と呼ばれ、酒とともに禅寺の山門に入ることを禁じられていたが、実は強壮・強精作用があるからと思われる。
 
ネギの青い部分には、β‐カロチン、ビタミンB2・C、ニコチンサンなどのビタミンやカルシウムや、リン、マンガンなどのミネラルが存分に含まれるので、冬のビタミン補給に最適である。
 
 
◆ ハクサイ (白菜)   効能:整腸、緩下
 
中国の華北部から東北部(旧満州)原産のアブラナ科の越年生草本。
カブと漬菜を交配して作られたもので600年ころから栽培されていた。
中国では「菜類中でも最も常食されるもの」とされている。
日本には19世紀に伝わった。
 
別名「菘(しょう)」と呼ばれるが、松のように寒さに耐える野菜ということで草かんむりをつけて名づけられた。
冷涼な気候を好み、、主に関東や東北で栽培されているため、体を冷す作用もなく、冷え性の人も安心して食べられる。
 
ビタミンCが22mgと多く含まり、冬場のビタミン補給に重要な野菜である。
外傷の治療促進や強精作用のあるある亜鉛、発ガン物質を排泄するモリブデンというミネラルも含み、抗ガン成分のジチオールチニンオンも含まれている。
鉄やカルシウムも比較的多く含有している。
 
中国の「名医別録」には、ハクサイは「腸胃を通利し、胸中の煩を除き、酒渇(飲酒後の口渇)を解す」とある。
ハクサイには食物繊維が多く含まれ、整腸・緩下作用に優れていることからも十分に理解できる。
すき焼きに好んでハクサイが用いられるのもこのあたりにあるのであろう。
 
ぬか味噌漬けにした場合、ビタミンCは保たれたままビタミンB1・B2が増えるので、整腸作用も強化される。
 
 
◆ パセリ (Parsley)
効能:食欲増進、健胃、成長、利尿、眼病、感染症、貧血防止
 
ヨーロッパ中南部からアフリカ北岸原産のセリ科の越年生草本。
ヨーロッパでは紀元前4世紀ごろから栽培されていた。
古代ギリシャ、ローマ時代には食中毒や二日酔いの予防に珍重され、宴会の象徴であった。
また、競技会の優勝者には、パセリの冠が与えられたといわれている。
日本へは江戸時代にオランダ人によって伝えられた。
 
独特の香りはピオン、アピオールという精油で、虫をつきにくくし、殺菌効果がある。
よって、食中毒の予防に役立つ。
洋食にパセリが添えられているのも、腸内で肉の脂の腐敗、消化不良を防ぐ意味があるのだろう。
 
パセリは単に料理の飾りとして使われることが多い。
しかし、ニンジンと同量のβ‐カロテン、ビタミンB群・C・Eなどのビタミン類と鉄、カルシウム、リン、イオウ、カリウムなどのミネラルを存分に含有している。
 
こうした成分の総合効果として、食欲増進・健胃・整腸・利尿作用、目・視神経の病気、腎臓・膀胱などの感染症に奏効するほか、血管を若く保つ、イライラ防止、貧血の防止、脳の働きを活性化、体内の老廃物の解毒、ホルモン臓器の機能の正常化、肝機能の強化などの作用を発揮する。
 
ヨーロッパで、野菜というより薬草として用いられてきた所以である。
 
 
◆ ピーマン
効能:解毒、排泄、爪や毛の発育、出血性疾患の予防・治療
 
南アメリカのアマゾン川流域原産のナス科の一年生草本。英語で、Green Pepper「緑のトウガラシ」やSweet Pepper「甘トウガラシ」と呼ばれるように、トウガラシの一種。
 
15世紀にコロンブスがヨーロッパに伝え、日本へは明治初期にアメリカより伝わった。
しかし当時は、「トウガラシは辛い」という先入観からか、ピーマンの味になじめず、ほとんど普及しなかった。
 
トウガラシはタカノツメ、ヤツブサなどの辛味型と、シシトウガラシ、ピーマンなどの辛味の少ない甘味型がある。
旬は夏で、β‐カロチン、ビタミンB1・B2・Cが多く含まれ、夏ばて防止に格好の野菜である。
通常ビタミンCは熱に弱いが、ピーマンのビタミンCは熱に強いという特徴がある。
また、毛細血管を強化し、出血を防ぐビタミンPも含まれている。
このため脳出血などの出血性疾患、潰瘍・傷の予防・治療に有効。
 
ピーマンの緑色を出している葉緑素=クロロフィルは、血液中のコレステロール低下作用や抗ガン作用があることもしれれている。
また、食物繊維も比較的多く含まれ、便通をよくし、腸内の老廃物の解毒、排泄を促してくれる。
特筆すべきは、ミネラルであるケイ素が多く含まれているため、爪や毛の発育に効果があるという点である。
 
 
◆ フキ (蕗)   効能:去痰、解毒、食欲増進、健胃
 
日本原産のキク科の多年生草本。
春先に根茎から多数の包葉に包まれた花茎を出し、花芽の「フキノトウ」は春を告げる野菜の一つである。
漢字で[蕗」「布木」「苳」「款冬]と書く。
「款」は厳しいという意味をもち、「款冬」とは「厳しい冬でも、雪を押しのけて芽吹く」という意味がこめられている。
 
西洋の学名Patesitesは、ギリシャ語で「広くて大きい帽子」という意。
英名はButterburで、フキノ葉でバターを包んで保存していたことによる。
ドイツでは薬用にしたといわれ、日本でも昔は、頭の皮膚病を治すためにフキノ葉を頭にかぶったらしい。
中国では食用でなく、根茎が解毒や去痰などの目的で用いられている。
 
フキにはビタミンA・B1・B2・B3(ナイアシン)・Cなどのビタミンとカルシウム、ナトリウム、リン、鉄などのミネラルが豊富である。
精油と苦味成分も含まれており、食欲増進作用や健胃作用もある。
咳や痰には、フキ10gをコップ1杯の水で半量になるまで煎じ、食後3回に分けて飲むとよい。
フキにはサポニン、コリン、タンニン、酒石酸が含まれている。
これらが総合的に作用し、気管支粘膜から粘液の分泌を促進し、痰の切れをよくするためと考えられる。
虫刺され、やけど、切り傷にはフキの茎や葉の生汁をすり込むと良い。
 
 
◆ ホウレンソウ (菠薐草)
効能:胃腸の浄化・再生、内分泌調整、通風
 
アルメニアからイランにかけての地域の原産でアカザ科の越年生草本。
日本には江戸初期に中国から伝わったものと、明治以降に西洋から伝わったものがある。
 
人気アニメ「ポパイ」でお馴染みだが、事実、超健康食品である。
βーカロチン、ビタミンB群・C・E・K、葉酸などのビタミン類、鉄、マンガン、亜鉛、リン、マグネシウム、ヨード、カルシウム、ナトリウム、カリウムなどのミネラルを存分に含んでいる。
また、リジン、トリプトファン、シスチンなどの動物性たんぱく質に似たアミノ酸を多く含み、格好の蛋白源になる。
 
ホウレンソウの効能として特筆すべきは、胃腸を浄化、清掃し、それを再建、再生する強力な薬理作用をもつ点である。
また、ほうれん草には、濃下垂体ホルモンの分泌を正常化して、内分泌全体のバランスを正常に保つ働きがある。
体内の尿酸を排泄させる作用もあるので通風に奏効するとされている。
さらに豊富に含まれる葉緑素のクロロフィルは、血液中の有毒物を浄化し、特にダイオキシンの排泄を促進することが知られている。
 
なお、ホウレンソウに含まれるシュウ酸は結石を作るといわれているが、1日100g〜200gのホウレンソウを食べる分にはなんの支障もない。
 
 
◆ メキャベツ    効能:風邪、ガン予防
 
ベルギー地方原産のアブラナ科の越年生草でキャベツの変種。
「コモチカンラン」「コモチタマナ」とも呼ばれる。
日本には明治時代に伝わった。
キャベツよりも柔らかく、甘みがある
和食、洋食のいずれにも合い、生食もできる。
 
メキャベツはアミノ酸、特にリジンを多く含む。
ビタミンA・B1・B2・Cも十分に含み、そのうちビタミンA含有量は100g虫200IU、ビタミンCも150mgと多い。
ミネラル、カルシウム、鉄、リンなどもほどよく含まれているので、栄養的にバランスのいい野菜である。
風邪の予防やガン予防に取り入れてほしい野菜である。
 
 
◆ レタス
効能:新陳代謝の活性化、精神安定、入眠
 
ヨーロッパ中南部、西アジア、北アフリカ原産のキク科の越年生草本。
古代ギリシャ・ローマ時代から栽培されていた。
日本へは中国原産の「ちしゃ」が平安時代に伝わっている。
これはレタスと同種と考えて良い。
 
「本草綱目」には、「筋骨を補い、五臓の働きをよくし、気のふさがりを開き、経脈を通じ、歯を白くし、耳や目をさとくする。熱毒や酒毒を解き、頻尿、口渇を治し、腸の働きをよくする」とある。
 
レタスには、ビタミンA・B1・B2・Cのビタミン類、カリウム、ナトリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれている。
特にマグネシウムは多く含まれ、筋肉組織、脳、神経組織の新陳代謝を活性化させ、その健全性を保つ重要な働きをする。
又、茎に含まれる乳汁中のラクッコピコリンには、精神安定作用と入眠作用がある。
このため「頭の疲れを癒す野菜」「鎮静作用を有する野菜」といわれるのだろう。
ヨーロッパでは制淫作用があるといわれているが、これは鎮静作用によるものであろう。
また、神経の高ぶりを抑えるため、不安神経症、ヒステリー、心悸亢進、痙攣にも効果がある。
ただし、レタスは体を冷す作用があるので、冷え症の人が生食するのは禁物だ。
 
 
◆ レンコン (蓮根)
効能:収斂、止血、止瀉、消炎、胃もたれ、胸焼け、消化不良
 
ハスは東アジアの温帯、熱帯地域原産のスイレン科の多年生水草。
日本へは古く中国から伝わった。
万葉時代、花が終わって果実ができるころの果実の入っている花托の形が「蜂の巣」に似ていることから、「蜂須」と呼ばれ、「ハス」になったとされている。
 
7〜8月ごろ、朝日とともに開花し、午後3時ごろ閉じる。
これを繰り返し4日目に散る、という面白い花である。
はすの種子は3000年もの間、発芽力を保持できることが実証されている。
 
ハスの地下茎、レンコンの主成分は炭水化物で、デンプンと同様に食物繊維が存分に含まれている。
ビタミンもミネラルも多く含まれ、ビタミンCはレモンの含有量と同じくらい豊富に含まれている。
鉄の含有量も多い。
蓮根の黒ずみのアクの成分はタンニンで、収斂、止血、止瀉、消炎作用があるため、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の出血、鼻血に奏効する。
又、蓮根を切るときに生じる、糸を引くような独特のねばり気はムチンで、胃もたれ、胸焼け、消化不良に効果がある。
 
江戸時代に「日養食かがみ」には、レンコンについて「胃を開き、食を消し、酒毒を解し、産後の血分の病、また、吐血、下血、喀血を治す」とあるが、科学的に見ても正しい。
 
 
◆ ワサビ (山葵)  効能:食欲増進、利尿、発汗
 
東洋原産のアブラナ科の多年草。
日本独特の香辛料。
北海道から九州に至るまでの深山渓谷に群生している。
春には他の草に先がけて若葉を出す。
 
山葵はただ辛いだけでなく、種々の薬効がある。
山葵のシニグリンという配糖体は、おろすことによってミロシナーゼという酵素により分解される。
そこでケシ油が生じて独特の辛味が出てくる。
そのため根茎をかじったりおろしたてを食べてもあまり辛くないがおろしてからしばらくするとミロシナーゼが働き辛味が出てくる。
この辛味成分には食欲増進作用、利尿作用、魚毒を消す作用があることが明らかになっている。
古書にも「風を去り、湿を除き、胃の働きを助ける」とある。
 
扁桃腺炎、肺炎、リウマチ、打ち身には、山葵の生汁を熱湯で薄めたものを、患部に湿布すると効果がある。
また、山葵には発汗作用があるので、風邪のときの発汗剤として食べるとよい。
ワサビ漬けなどが良いだろう。
虚子の句[ほろほろと泣きあふ尼やわさび漬」にあるように、ワサビの辛味は強いが、風邪の治療には効果的である。
 
ワサビ漬けは、葉や根茎よともに刻んで塩につけ、翌日酒かすと混ぜて作る。
できた日の夕方に食べるのが最高の風味である。
 
 
 
●芋類
 
◆ サツマイモ (薩摩芋) 効能:便秘、栄養食品
 
中央アメリカ原産のヒルガオ科の多年草つる性草本。
日本へは1698年、琉球の国王が種子島藩主の求めに送ったことにより伝わったとされている。
その後、青木昆陽によって救急食品として栽培が奨励されたのは有名な話である。
 
漢方では「補中益気」「寛腸通便」、つまり胃腸の働きをよくして大便の排泄をよくし、気力、体力をつける作用があると考えられる。
デンプン、ショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖質を多量に含み、ビタミンB1やCの含有量も多い。
特にビタミンCは100g中30mgも含まれ、調理による損失が少ないという特徴がある。
 
米国国立ガン研究所は、「サツマイモ、カボチャ、ニンジンを毎日食べる人は、まったく食べない人に比べ肺ガン発生率が半分になる」と発表している。
これはサツマイモに含まれるβ‐カロチンの糖脂質のガングリオシドの抗ガン効果によるものだろう。
 
サツマイモを切ると出る白いネバネバした液はヤラビンという樹脂を含む物質で、便通をよくする作用がある。
また、セルロースが多く含まれ、アマイドという物質が腸内のビフィズス菌や乳酸菌の繁殖を促進することが総合的に作用して、便通がよくなる。
 
サツマイモを食べて胸焼けする人は、皮のまま塩をつけて食べると良い。
 
 
◆ サトイモ (里芋)
効能:栄養補給、滋養強壮、潰瘍予防、解毒
 
熱帯アジア原産のサトイモ科の多年生草本。
日本へは縄文時代にすでに中国から伝わっている。
「万葉集」に出てくる「宇毛」がサトイモとされている。
山里で栽培されているので、「山芋」に対し「里芋」と呼ばれたようだ。
 
江戸時代の「大和貧本草」には、「湿地を好む、山中の農多く植えて糧として飢を助けて甚民用に利あり」とある。
サトイモが重要な救荒食品であったことを示している。
「本草綱目」には、「生で食べると有毒で、味のえぐいものは食べるべからず。魚と一緒に食べると、甚だ気を下して中を整え、虚を補う」とある。
デンプンが多く含まれそのエネルギー化を助けるビタミンB1、脂肪の燃焼を助けるビタミンB2のほか、タンパク質も十分含まれている。
消化、吸収もよく、老人、子供、病人の栄養補給に大変優れている。
 
サトイモ特有の成分として、粘液質のムチンやガラクタンがある。
ムチンにはタンパク質の消化促進、滋養強壮、潰瘍予防、解毒などの作用がある。
ガラクタンはガラクトースを成分とする多糖類で、脳細胞を活発にする働きがある。
 
イモや芋の茎の皮をむくと手がかゆくなるのは、シュウ酸カルシウムのしわざで、里芋を食べたときの苦い味もこの物質のせいである。
 
 
◆ ジャガイモ (馬鈴薯)
効能:栄養食品、美容食、抗潰瘍食
 
南米アンデス原産のナス科の多年生草本。
日本には16世紀、オランダ人がジャカルタから持ち込み、「ジャガタライモ→ジャガイモ」となった。
江戸期に欧米から新品種が伝えられた後、食用になった。
 
漢方では、ジャガイモには「健脾益気」――胃腸を強くし、気力・体力を増す、「利水消腫」――排尿を促し、むくみをとる、などの効能があるとしている。
アイルランドではリュウマチや坐骨神経痛よけのまじないとしてポケットに入れる習慣があったという。
 
ジャガイモには、ビタミンB群やC、パンテント酸、カリウム、イオウ、リン、塩素などの、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれている。
ジャガイモのビタミンCは加熱調理しても壊れにくいという特徴もある。
ビタミンCには解毒作用や細胞組織の再生機能の促進作用があり、イオウ、リン、塩素は殺菌・浄化作用や皮膚・粘膜の浄化・再生に有効なため、ジャガイモは美容食としても抗潰瘍食としても優れている。
また、抗ウイルス作用を持つプロテアーゼ阻害物質やクロロゲン酸には、発ガン抑制作用があることもわかっている。
そのほか、パントテン酸は消化の促進、肉の中毒の解毒作用、カリウムは血圧降下作用があり、肉のつけ合せに最高。
 
 
◆ ヤマノイモ (山芋・自然薯)
効能:消化促進、競争、老化防止
 
日本、台湾に自生するヤマノイモ科の多年生つる性草本。
「自然薯」とも呼ばれ、日本では古くから食用にされている。
 
ヤマノイモにはジアスターゼ、アミラーゼ、カタラアーゼ、クルコシターゼなどの消化酵素が豊富に含まれている、
昔からヤマノイモ、サトイモ、ウナギなどヌルヌルしたものは、精力剤になるといわれている。
この主成分はムチンで、タンパク質の吸収をよくし、滋養強壮効果を発揮する。
 
江戸時代の「和歌食物本草」には[とろろ汁折々少し食せば脾臓(胃)のくすり気虚を補う」とある。
「神農本草経」にも「虚弱体質を補って早死にを防ぐ、胃腸の調子をよくし、暑さ寒さにも耐え、耳、目もよくなり、長寿を得られる」とある。
 
漢方でも、胃腸や肺、腎臓の働きを強化し、消化促進、寝汗、下痢、頻尿、腰痛、咳、糖尿病などに効くとしている。
粘り気のもう一つの成分デオスコランには、血糖低下作用が証明されている。
漢方薬の「八味地黄丸」の主成分の山薬とはヤマイモで、足腰の冷え、むくみ、頻尿、インポテンツ、骨祖しょう症など老化による症状や病気に対する妙薬である。
また血中コレステロールの低下作用があることも報告されている。



 

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池田 優

 

 

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