山ちゃんの食べもの考

 

 

その292
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
「食べ方」一つで
人生が変わる!
「病気にならない
食べ方 食べ物」
石原結實 著  海龍社 刊
その6
 
第4章 病気にならない食物効能事典
 
●果物
 
◆ アセロラ  効能:ビタミンC補給、予防、美肌
 
カリブ諸島原産のキントラノオ科の低木。
年に5〜6回、サクランボによく似た赤い実を結び、レモンの約28倍ものビタミンCを含む。カブリ諸島では、古くから薬代わりに愛用されてきた。
欧米ではビタミンC錠剤の主原料として使われている。
日本には、最近になって紹介された。
 
アセロラの含有する驚異的なビタミンC、はストレスに対抗するホルモンを分泌する副腎皮質の働きを強める。
仕事で忙しい人や、お酒やタバコが好きな人にはとくにおすすめの果実である。
美肌にも効果がある。
アセロラ1粒には、成人が1日に必要な量を上回るビタミンCが含まれている。
加工品も数々売られているが、アセロラを原料としているので、含まれるビタミンCは天然のものである。
 
今から20数年前、アメリカ科学アカデミーは、「がん予防には、ビタミンA・C・Eが重要な役割をする」と発表した。
さらに、ノーベル化学賞受賞者、ポーリング博士は、「ビタミンCの大量投与は風邪の予防のみならず、ガンの予防、治療に大変有効である」ことを証明している、
日本人の最も多い死亡原因の一つであるガンの予防にビタミンcが豊富なアセロラを大いに利用したいものだ。
 
 
◆ アボガド  効能:えおよう補給、便秘、動脈硬化
 
中南米原産のクスノキ科の熱帯性常緑喬木。
16世紀にヨーロッパ人がアメリカ大陸に渡ったときに見つけ、その後17世紀にヨーロッパに伝えられた。地中海沿岸で栽培され始め、現在は主に、アメリカのカリフォルニア州、ハワイ、アルゼンチン、イスラエル、フィリピンなどで生産されている。
 
アボガドは脂肪が20%も含まれている特異な果物で、「森のバター」とも呼ばれている。
しかし、その脂肪の80%以上が不飽和脂肪酸である。
そのため、血液中のコレステロール等の脂肪を増加させることはなく、むしろ動脈硬化を予防してくれる。
ビタミン、ミネラルも適度に含有しており、消化吸収率もよく、栄養補給に大変よい果物である。
皮膚の湿潤作用があり肌のかさつきなどに効果がある。
また、食物繊維が豊富に含まれているため、便秘の解消にもよい。
 
タンパク質も、フルーツのなかでは最高の含有量を誇るので、成長期の子供のおやつや高齢者や病人の健康・保健食としても最適。
フルーツではあるが、ご飯や醤油などと相性がよく、寿司だねとしても用いられる。
 
 
◆ アンズ (杏・杏林・杏子)
効能:消化促進、疲労回復、便秘
 
ネパール原産のバラ科の緑葉高木。古名は「唐桃」といい、中国では古くから栽培されていた。
やがて南ヨーロッパで多くの品種改良がされ、18世紀にアメリカに伝わった。
日本では平安時代以前から栽培されている。
古く中国では、医者は貧しい人から治療費を取る代わりに、アンズの木を植えさせたそうだ。
このことにより医者のことを杏林と呼ぶ。
 
アンズの甘味は、ブドウ糖や果糖、酸味はリンゴ酸によるもの。
リンゴ酸は胃液の分泌を促進させ、消化を助ける働きがある。
疲労回復や便通をよくする作用がある。
種子は杏仁と呼ばれ、薬用に用いられる。
咳を止める作用があるため、風邪役の「麻黄湯」や、喘息や咳の薬「魔杏甘石湯」などに含まれている。
 
中国料理の最後に出される杏仁湯や杏仁豆腐も、杏仁から作られている。
アンズをグラニュー糖とホワイトリカーでつけたアンズ酒は、疲労回復の妙薬である。
毎日コップ半量ほど飲むと良いだろう。
 
 
◆ イチゴ (苺)
効能:美肌、解熱、利尿、去痰、食欲不振、貧血、風邪
 
南米チリ原産のバラ科の草本。オランダイチゴ、キイチゴなどの種類があるが、一般にはオランダイチゴを指す。
日本には1840年ごろオランダから長崎に伝わったため「オランダイチゴ」の名がある。
 
イチゴはミネラルの鉄とビタミンCを多く含んでいるのが特徴である。
これらの成分は貧血にも効果があり、血色の良い顔色を作る。
また美肌にも効果がある。
その他、解熱、利尿、去痰の働きがあるので、風邪、気管支炎などの呼吸器の病気にも有効。
さらに肝細胞の機能を賦活する働きも優れている。
 
イチゴの甘みは主にブドウ糖と果糖、酸味はリンゴ酸とクエン酸によるもので、これらの有機酸は胃液の分泌を促進する働きがあるため、食欲不振に効果がある。
イチゴのアントシアン系色素の赤い色はジャムを作るときなどはレモンを加えるといっそう赤く美しくなる。
食べる以外の使い方としては、イチゴで歯を磨く方法がある。
歯の汚れ、黄ばみ、歯槽膿漏の予防、改善に効果があり、ヨーロッパでは古くから行われている。
 
 
◆ イチジク (無花果)
効能:消化促進、整腸、便秘、痔
 
アラビア南部原産のクワ科の落葉小高木。
紀元前から栽培されている最古の果実であり、聖書の最初に登場する木もイチジクである。
9世紀に中国に伝わり、唐代の「西陽雑爼]に、「花無くして実あり」の記述がある。
これが無花果の名の由来といわれるが、「実は1日に1個熟す」ともあり、ここから一熟(いちじく)との別名もある。
 
イチジクには糖分がたくさん含まれている。
ビタミンとしてはビタミンB1・B2・Cが、ミネレルにはカルシウムを豊富に含有している。
そのほか、特徴的な成分としては、クマリン類のベルガプテン、プラソレエンなどが挙げられる。
 プラソラレインには降圧作用があることが確認されている。
また、古代ローマ時代より、イチジクを食べると便通がよくなるといわれている。
「本草綱目」には、「胃を開き、下痢を止め、痔やのどの痛みを治す」とある。
中国では痔を治す薬として有名。
 
また、イチジクは多くの酵素類が含まれ、消化促進作用が強力である上、食物繊維のペクチンが優れた整腸作用を発揮する。
胃腸の弱い人は毎日食べるとよいだろう。
イチジクの葉や茎を切ると出てくる乳液は、イボ、魚の目、水虫などにすり込むと効くといわれている。
 
 
◆ オレンジ
効能:血液浄化、発熱性疾患、構内塩、胃腸病
 
中国原産のミカン科の植物。
オレンジと英語でいう場合、ミカンの仲間がすべて含まれる。
現在オレンジの産地としては、アメリカのカリフォルニアが世界的に有名。
原産地のマレーシアあたりから、東南アジアそして中国、インド、アフリカ、地中海へと広がっていく間に、各地で独特のオレンジが開発された。
アメリカオレンジやネーブルオレンジ(ブラジル)、バレンシアオレンジ(スペイン領アゾレス群島)などが有名。
 
古くから厄病よけに、オレンジの中身をくり抜いてスポンジを詰め、それに酢や香料をしみ込ませて使っていた。
オレンジには、ビタミンCをはじめ感染症を予防する成分が含まれているからだろう。
ビタミンCはインフルエンザ、その他熱の出る病気、口内炎、腎臓病、膀胱の病気などに効果がある。
ミネラルとしてカルシウムやリンが比較的多く含まれている。
これのより強い歯や骨を作ったり、血液の浄化剤として効果がある。
 
 
◆ カキ (柿)
効能:高血圧、脳卒中、二日酔い、むくみ、腹水、発熱性疾患
 
中国揚子江沿岸原産のカキノキ科の落葉高木。
古い時代の柿の原種が中国より朝鮮を経て日本に入り、改良されて今の柿ができた。
今日では、ヨーロッパや南アメリカでも「KAKI」として店頭に並んでいる。
 
カキのシブは高血圧や脳卒中の重用されてきた。
シブの中には多量のタンニンが含まれており、これがビタミンP同様に血管を強化する働きをする。
カキのシブとダイコンのおろし汁100ccずつを混ぜて1日2回に分けて飲むとよい。
また、カキの葉(とくに若葉)にはビタミンB・C・K群が多く含まれている。
これには止血作用や血管強化作用がある。
 
降圧作用のあるケンフェノール・3.・グルコサイドやエルチサン・3・グルコサイドという化合物を含むため、高血圧症の人は、ニンジン・リンゴにカキの若葉を数枚加えてジュースにして飲むとよい。
 
カキは二日酔いに効くといわれているが、それは豊富なカリウムによる利尿作用にためと考えられる。
そのため、むくみや腹水等にも効果がある。
果肉には糖分、タンニン、ペクチン、ビタミンA・Cやいろいろな酵素が含まれ、栄養も満点である。
 
しかし、カキを食べると体が冷えるので、発熱や二日酔いのときにはよいが、リュウマチや神経痛など冷えによって起こる病気には禁忌食である。
 
 
◆ キーウィフルーツ
効能:老廃物の排泄、ガン・脳卒中予防
 
中国原産のマタタビ科のつる性落葉果樹。
20世紀になってから、中国からニュージランドに伝えられ、改良を重ねて主産地になった。
形がニュージランドに生息する「キーウィ」という鳥に似ているためこの名がつけられた。
 
キーウィフルーツは多汁で、甘味も酸味もほどほどでさわやかな味がする。
ビタミンCが豊富に含まれ、ペクチンも多く含まれる。
キーウィフルーツを口に入れると、舌がしびれることがある。
これはタンパク分解酵素であるアクチニジンの作用である。
これらの成分が含まれるキーウィフルーツは、脳卒中、通風、心臓病、ガンなど、肉食あるいは栄養過剰によって起こるさまざまな病気の心配がある人には実にありがたい果物である。
ペクチンが便通をよくし、老廃物の排泄を促す働きがあり、アクチニジンはタンパク質の消化を助けてくれ、ビタミンCには抗ガン作用があるからだ。
 
その上、イチゴやイチジクと同様に、果肉の中に種を含んでいる、
これは大変健康に有益な果実であることを示している。
なぜなら、種の中にはいろいろな栄養素が含まれているのはもちろん、「生命のエネルギー」が凝縮して蓄えられているからである。
 
 
◆ クリ (栗)  効能:脚気、全身倦怠感
 
日本、中国原産のブナ科の落葉高木。
日本の果樹のなかではもっとも古い栽培の歴史がある。
食用の歴史も古く、「古事記」や「日本書紀」にも記載されている。
クリの語源は「黒い」という意味のサンスクリット語「クリ」からきているとか、朝鮮語の[クル」に由来するとかいわれている。
野生のクリは小型でシバグリと呼ばれ、大陸産のシナグリはアマグリと呼ばれる。
 
クリの主成分は糖分で、そのうちデンプンが最も多い。
ほかには甘味成分のショ糖や還元糖などが含まれている。
水分の含有量は60%と、果実としては少ない。
ビタミン類が豊富で、特にビタミンB1が多く含まれている。
よって脚気や全身倦怠感を訴える人には格好の果物である。
タンパク質が白米と同じくらい含まれているため、古くから備蓄食料として非常食にも重宝されてきた。
ゆでグリ、焼きグリ、きんとん、クリご飯、マロングラッセ、クリ羊羹などさまざまな料理やお菓子として食べられている。
 
 
◆ グレープフルーツ
効能:食欲増進、脳卒中、心臓病
 
西インド諸島原産のミカン科の常緑小高木。
Pomeloというのが本名だが、実が枝先に固まってつき、「ブドウのように房になって実るフルーツ」ということからこの名がつけられた。
もともとは東洋産のブンタンが西インド諸島で突然変異を起こしてできたもので、19世紀にアメリカのフロリダに伝えられ、現在のものになった。
現在、フロリダとカリフォルニアで世界の生産量の80%を生産している。
日本へは大正時代に伝えられたが、栽培が難しく、和歌山県以外ではほとんど生産されていない。
 
グレープフルーツは多汁で香りがよく、苦味と酸味をおびたさわやかな風味が特徴である。
含有成分は他のかんきつ類とほぼ同じだが、ビタミンC含有量が、レモン、オレンジに次いで多い果物である。
そのため常食すると、脳卒中などの脳血管障害や心臓病の予防になる。
酸味のもとであるクエン酸は、唾液や胃液の分泌を促し、食欲増進や胃腸機能の増強に役立つ。
アペタイザーとして食前に食べるのも良いだろう。
 
グレープフルーツにはホワイトとルビーがあるが、ルビーのほうがβーカロチンの含有量が多く、活性酸素除去作用が強い。
がん予防にはより有益である。
二日酔いや煙草のすいすぎ、イライラ、不安、不眠などに生ジュースを飲むとよい。
 
 
◆ サクランボ (桜ん坊)
効能:利尿、症塩、疲労回復
 
カスピ海沿岸原産のバラ科の植物。
日本へは明治時代初期に伝わった。
和名は「桜桃(おうとう)」、別名「セイヨウミザクラ」と呼ばれる。
サクランボは「桜ん坊」の意味がある。
花が桜に似ているので、「桜」が冠され、赤い宝石のような果実に愛称をこめて「坊」がつけられたのであろう。
 
果実は成熟期に雨に当たると割れてしまうため、雨の少ない山形県や北海道などが栽培の中心になっている。
実の形が愛らしいので、フルーツサラダやゼリー、カクテルなどの飾りに添えられる。
品種では「佐藤錦」が味、質、量の点で一番人気がある。
 
サクランボはリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸などの有機酸を多く含んでいるが、酸味は少なく口当たりの良い果物である。
また、体に同化されやすい果糖、ブドウ糖が甘味を醸し出している。
そのほかにカロチンが多く含まれる。
薬効としては、利尿作用や気管支炎の消炎作用があることが知られている。
この薬効は果実より柄の部分のほうがより強いとされている。
サクランボとグラニュー糖、ホワイトリカーで作ったサクランボ酒は、疲労回復の効果がある。
 
 
◆ スイカ (西瓜)
効能:利尿、解熱、高血圧、心臓病
 
アフリカ、カラハリ砂漠原産のウリ科のつる性一年草。
紀元前200年には、エジプトで栽培され、種子を食用にしていたとされる。
日本へは17世紀ごろに伝わったようだ。
中国で、西のほうから渡来してきた瓜という意味で「西瓜」と名づけられた。
 
貝原益軒は「大和本草」で、「残暑いまだ退かざるときに、このもの盛んに出ず。世人これを食ひて暑を消す」と述べている。
また、「空華集(くうげしゅう)」には、「人を益すること強し、麦門冬(ばくもんとう)(滋養強壮薬)に似る」とある。
以前より、夏の暑気払いと夏バテ防止のために食べられていたようだ。
そのほか、多くの本草書(食べ物の薬効を書いた書物)に、「渇きを止め、暑を消し、酒を解し、よく小水を利す」と紹介されている。
このことからも、西瓜は排尿を促すことにより、種々の症状に効くことがわかる。
 
西瓜に含まれている、尿を作る成分であるシトリンやカリウムが強力な利尿効果を発揮し、むくみ、高血圧、心臓病、腎臓病に奏効する。
西瓜は漢方でいう体を冷す「陰性食品」である。
このため解熱作用があり、発熱性の病気、特に利尿と解熱が必要な膀胱炎によく効く。
そのほか西瓜にはリコピン、カロチン、ビタミンB1・B2・Cなどのビタミン類、少量のリンゴ酸やアルギニンが含まれている。
90%以上は水分であり、夏場の水分補給にはもってこいの果物である。
 
 
◆ スモモ (李)
効能:利尿、解熱、高血圧、心臓病
 
バラ科の落葉高木。
コーカサス南部原産の西洋スモモと、中国原産のスモモがある。
スモモは、日本に古く伝えられ、「古事記」や[日本書紀」、「万葉集」にも登場する。
大型の欧米種は、生のものが「プラム」、乾燥させたものが「プルーン」と習慣的に呼ばれる。
 
中国では、古くから健康を保つための重要な果実として重宝されてきた。
漢方の最古の古典「黄帝内経」には、「肝を養う」とあり、「医林纂要」にも、「肝を養い、肝熱を治し、?血を除く」とある。
これは肝臓の働きや血液の循環をよくして、血行不良の諸症状に効くということである。
 
酸味成分はクエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸で、糖分と同様に疲労回復に効果がある。
また、鉄の含有量は果実の中でずば抜けており、貧血の予防、改善に最適。
プルーンはビタミンA、鉄、カルシウム、カリウムなどのビタミン、ミネラル類が太郎に含まれた優れた健康食品である。
食物繊維のペクチンも多く含まれ、便秘の解消にも効果がある。
また、活性酸素を除去するクロロゲン酸などの存在も確認されている。
そのほか、毛細血管を引き締める作用のあるビタミンPも含まれ、外傷や出血性の病気にも有効。
 
 
◆ ナシ (梨)
効能:利尿、去痰、食欲増進、のどの痛み、風邪、発熱性疾患
 
日本、中国、欧州原産のバラ科の落葉高木。
イタリアの医学校の教科書には、「ナシを食べれば小便、リンゴを食べれば大便」とある。
中国の古書にも、「ナシは大小便を利し、熱を去り、渇を止め、痰を開き、酒毒を消す」とあり、「百果の宗」と呼ばれていた。
咽頭炎や気管支炎の声がれの漢方の特効薬「雪梨膏」には梨が用いられている。
のどの痛みや風邪のときに、ナシは効果がある。
 
「本草綱目」には、「ナシは利で、その性は怜利なり」とあるように、ナシは体を冷す作用があり、種々の発熱性疾患に対して、解熱を促してくれる。
「神農本草経」には、ナシが薬として記載してある。
 
ナシには果糖、リンゴ酸、クエン酸などの有機酸、ビタミン・ミネラル類、精油などが、微量だがバランスよく含まれている。
このため、夏バテ時の食欲増進や、疲労回復薬としての効能が期待できる。
また、肉料理の消化を促進する消化酵素が含まれているので、肉料理のデザートとしても重宝である。
果実がザラザラした感じがするのは、石細胞と呼ばれる繊維の塊のためであり、これは便秘に効果がある。
 
 
 
◆ ナツミカン (夏蜜柑)
効能:疲労回復、脚気、動脈硬化
 
日本原産のミカン科の常緑小高木。
別名「ナツダイダイ」とも呼ばれる。
後に、大分県で甘ナツが発見され、広く普及するようになった。
ナツミカンは5月ごろ開花して、秋に実を結んだものを、摘み取らずにそのまま年を越させ、翌年の4〜6月に収穫する。
 
ナツミカンにはクエン酸や酒石酸などの有機酸が多く含まれており、強い酸味がある。
これらは疲労回復を促進させる働きがある。
ビタミンCも多く含まれ、ビタミンA・B1・B2なども十分に含まれている。
このため、夏バテ防止に効果があるばかりでなく、脚気や動脈硬化などの予防にも役立つ。
また、皮を湯船に入れるナツミカン風呂は、入ると湯ざめがしにくいといった効果もある。
 
果皮で顔や手足の皮膚をマッサージするとなめらかになる。
皮を乾燥させて煎じて飲むと健胃作用があるので、食欲の減退したときなどに利用すると良いだろう。
ジュースやマーマレードなどの原料にも使われ、製油は香料に用いられる。
未熟果はクエン酸の含有量が多く、クエン酸製造の原料にも使われる。
 
 
◆ パイナップル
効能:新陳代謝・疲労回復、去痰・食欲増進
 
ブラジル原産のパイナップル科の常緑多年草。
Pine(松)とapple(リンゴ)の合成語で、外見が「松ぼっくり」に似ていることからこの名がつけられた。
1502年、ポルトガル人がヨーロッパのセントヘレナ島に持ち込んだのが始まり。
ここからアメリカ、インドなど全世界の亜熱帯へ広がった。
 
パイナップルは糖分の含有量が10%と多く、ビタミンB1・B2・Cも多く含まれている。
このため新陳代謝を促進し、疲労回復に役立つ。
また、クエン酸やマロン酸などの有機酸も含まれ、胃酸の分泌をよくし、食欲を増進する作用がある。
タンパク質分解酵素のプロメリンは、肉を柔らかくして消化を助けるので、肉料理と組み合わせて食べればよいだろう。
さらに、プロメリンは肺、気管支の痰を分解し、出しやすくする働きがある。
西洋医学の去痰薬「キモタブ」は、パイナップルだけから作られている。
 
ただしこれらの酵素作用は、60℃以上の熱が加わるとなくなるので、缶詰のパイナップルには薬効はない。
 
 
◆ バナナ (甘蕉)  効能:栄養食品、便秘
 
マレーシア原産のバショウ科の大型多年草。
人類最古の食物の一つ。
学名のMusaparadisiacaとは「楽園の実」という意で、エデンの園でヘビがイブを誘惑したとき、バナナの陰に隠れていたという伝説から来ている。
バナナという名は、アフリカのコンゴ地方の呼び名である。
 
バナナに含まれる炭水化物の量は30%近くもあり、熟するにつれ、果糖、ブドウ糖,ショ糖が増えて甘くなる。
バナナ2本でご飯1杯分に当たるカロリーがあり、消化も良いので病人や子供の栄養食品として適している。
ビタミンB1・B2・Cなどのビタミン類、カルシウム、カリウムなどのミネラル類もバランスよく含まれている。
塩分と水分を排泄して血圧を下げる効果のあるカリウムは大量に含まれている。
そのため体を冷す作用もあるので、冷え性や貧血の人は多食を慎むべき。
 
バナナには食物繊維も多く含まれているので、便秘の人は常食するとよいだろう。
最近では、バナナの中のファイトケミカルが血液中の白血球を増やし、免疫力を上げることがわかってきた。
 
 
◆ パパイヤ (蕃瓜樹) 効能:がん予防、皮膚病
 
熱帯アメリカ原産のパパイヤ科の草本状小高木。
沖縄では青パパイヤの味噌漬けやぬか漬けがあり、瓜と同じように使われるため「木瓜」とも呼ばれる。
 
果実には独特の臭みがある。
栄養上の特徴は、パパイヤにはカロチンとビタミンCが大量に含まれ、タンパク質分解酵素のパパインや抗がん効果のあるカルパインが含まれていることである。
1982年に米国科学アカデミーが、ビタミンA(カロチン)・C・Eはガン予防ビタミンであると発表した。
これにカルパインも加わるので、パパイヤはガン予防効果の高いフルーツといえるだろう。
ただし、熟するほどパパインの含有量は減ってしまうので要注意。
 
パパイヤ果汁に肉を2〜3時間つけると、酵素の力で肉が軟化する。
肉食の多い人は、デザートにパパイヤを食べると良いだろう。
フィリピンでは、イボや魚の目を取るのにパパイヤの乳液を使い、ニキビやソバカスにも効果があるとして化粧品にも使われている。
 
 
◆ ビワ (枇杷)
効能:健胃、整腸、去痰、鎮咳、抗ガン、強壮・強精
 
中国原産のバラ科の常緑高木。
果実にはカロチンが多く含まれ、葉にはサポニン、タンニン、ビタミンB1が含まれている。
このため煎汁は健胃、整腸、去痰、暑気払いの目的で重用されてきた。
 
種子は「枇杷仁」と呼ばれ、アミグダリン(ビタミンB17)を含み、鎮咳や抗ガン作用がある。
葉にもアミグダリンがあるため、「枇杷の葉温灸」はガンに有効だといわれている。
 
このほか、果実は口渇に効果があり、枇杷酒は強壮・強精作用がある。
あせも、吹き出物には、乾燥した枇杷の葉を風呂に入れるとよい。
 
 
◆ ブドウ (葡萄)
効能:疲労回復、利尿、不眠症、心臓病、ガン予防
 
コーカサス原産のブドウ科のつる性落葉木本。
紀元前2000年前から栽培されていた。
日本へは12世紀に伝えられ、平安時代には栽培が行われていたようだ。
 
葡萄の主成分は、ブドウ糖と果糖である。
ブドウ糖は疲労回復に効果がある。
医療用に使われ、注射や点滴されるとすぐにエネルギーに変わり、元気が出る。
また、鉄、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ヨウ素、ホウ素、臭素などのミネラル類、ビタミンB1・B2・B3・C・Eなどのビタミン類も豊富に含まれている。
まさに「栄養剤」として面目躍如のフルーツである。
 
クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸は胃液の分泌を促し、食欲増進剤としても役立つ。
最近発見された、皮に含まれるレスペラトロールは活性酸素を除去し、心臓やガンをはじめ、種々の病気の予防に有効であることがわかった。
イギリスでは熟した実の汁は「マスト」と呼ばれ、疲労回復、不眠症、利尿の妙薬として民間で広く使われてきた。
また、オーストリア、北イタリア、ドイツなどの保養地や自然療法病院では、葡萄の収穫期に4〜6週間ほど葡萄だけを食べて過ごす「葡萄療法」が行われている。
これは肥満、高血圧、心臓病などに効果があるらしいといわれている。
 
 
◆ マンゴー  効能:ビタミンC補給、美肌、風邪予防
 
北インド原産のウルシ科の常緑高木。
約4000年前から栽培され、現在は世界各地の熱帯、亜熱帯地域で栽培されている。
高さが40メートルにもなる木に実をつけ、果実は卵の大きさのものから1キロを超ええるものまである。
 
マンゴーにはビタミンCが多量に含まれるのが特徴。
未熟果ほど多く含まれている。
熟するとビタミンCが減少していくが、逆にビタミンAが増えてくる。
 
マンゴーは熟した果実を生食するほかに、未熟化を刻んでいろいろな食材と一緒に漬け物にするマンゴーチャツネやマンゴーを粉にして料理する方法がある。
また、ジャム、缶詰などにも使われる。
 
マンゴーを買うときには、においをかいでから決めるとよい。
そのときアセチレン臭のするものは、カーバイトを使って熟成させたものに比べると味が数段落ちる。
マンゴーはウルシ科の植物なので、かぶれやすい体質の人は要注意。
 
 
◆ ブルーべりー
効能:目のトラブル、ガン予防、老化防止
 
アメリカ原産のツツジ科のコケモモ属の低木。
ネイティブ・アメリカンが食用にしていたものを改良し、20世紀はじめにアメリカ北東部で栽培された。
日本へは1951年に伝えられ、約20年後に、栽培されるようになった。
 
ブルーベリーには独特の甘酸っぱさがあり好まれている。
第二次大戦中にブルーベリーを多食していた英空軍パイロットの視力が向上したことから「効能」の研究がはじめられた。
今日では医薬品としても使われている。
 
ブルーベリーに含まれる、ポリフェノールの一種のアントシアニンが網膜の視覚にかかわるロドプシンの再合成を促したり、網膜の血流をよくする。
このことにより、眼精疲労、老眼、白内障、視力低下など、目のトラブルの予防、改善に役立つ。
アントシアニンには強力な抗酸化作用があるので、活性酸素を除去し、ガン、心筋梗塞、脳卒中、炎症性疾患、老化などの予防もする。
乾燥させたブルーベリーを1日20〜30粒食べ続けるとよいだろう。
 
 
◆ ミカン (蜜柑)
効能:胃液の分泌、便秘、出血性の病気
 
アジア南部原産のミカン科の植物。
一口にミカンといっても、温州ミカン、夏ミカン、ハッサク、ダイダイ、ユズ、イヨカン、サンフルーツ、ポンカン、セミノール、レモンなどがある。
昔は「橘」か「柑」と呼ばれ、日本には6世紀に伝わった。
「蜜柑」という名は室町時代、品種改良により甘い蜜柑が現れてからづけられた。
 
果実にはビタミンA・C・E、カリウム、カルシウム、リンなどが多く含まれている。
またクエン酸や芳香性精油も含まれているため、胃液の分泌を促しアペタイザー的効能がある。
さらに、ビタミンPも含まれるため、ビタミンCと協同して、血管の老化や出血を予防する働きがある。
最近、蜜柑のオレンジ色を醸し出しているベタクリプトキサンチンの強力な発ガン抑制効果が解明された。
便秘を解消し、血中コレステロール低下作用を有する食物繊維のペクチンは、蜜柑の皮に多く含まれているので、袋ごと食べるとよい。
 
ただし、ミカンは南方系で、多汁でカリウムが多いので、体を冷す作用がある。
そのため冷え症の人は食べ過ぎないように注意。
 
 
◆ メロン  効能:利尿、解熱、口渇、むくみ、夏バテ
 
インド原産のウリ科の植物。
有史以前からエジプト、ギリシャで栽培されていた。
日本へは弥生時代にはすでに伝わっていたようである。
 
メロンは摘み取ってから追熟させなければならない。
細胞の中に不溶性のプロトペクチンが含まれていて、これを分解させて可溶性のペクチン類やペクチン酸にして果肉を柔らかくするためである。
メロンはスイカ同様、利尿作用があり、むくみ、高血圧、腎臓病に効果がある。
解熱作用があり口渇にも奏効する。
しかし体を冷す作用があるため、冷え症の人は多食しないように注意。
 
メロンの主成分はショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖類で、その上にビタミンB1・B2・C、カロチン、カリウムが含まれている。
暑気払いや夏バテの回復には有益である。
なおプリンスメロンなどの露地ものはビタミンCやカロチンを多く含み、マスクメロンなどの温室ものはタンパク質やビタミンB群が多いようだ。
 
 
◆ モモ (桃)
効能:寝汗、多汁症、むくみ、血液の循環
 
中国原産のバラ科の落葉小高木。
モモは生命力は強いことから邪気を祓う力だあるとされ、中国では昔から「長寿の果物」とされてきた。
 
モモは栄養満点の果物である。
果肉中にはタンパク質、脂質、糖質、各種ミネラルやビタミン類、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸がバランスよく含まれている。
便秘の効果があり、血液中のコレステロール低下に役立つ食物繊維のペクチンも豊富に含まれている。
また、寝汗を止めることが経験的に知られており、バセドウ病をはじめ多汁症の人には格好の果物である。
 
桃の種子は、漢方では「桃仁」と呼ばれ、血液の循環をよくする作用がある。
女性の生理不順や肩こり、頭痛に効く漢方薬「桂枝茯苓丸」の主成分である。
桃の開花直前のつぼみは「白桃花」といい、含有成分のケンフェロールが利尿を促す。
このため、むくみに効果があるので、1日3〜5gを煎じて飲むとよいだろう。
あせもや湿疹には、生の葉を湯船に入れて入浴するとよい。
 
 
◆ リンゴ (林檎)
効能:万病予防・改善、炎症疾患、便秘
 
コーカサス原産のバラ科の落葉高木。
日本には古い時代に中国から伝えられたが、当時は普及しなかった。
その後、明治時代にアメリカから伝えられた紅玉やスターキングなどが一般にに普及した。
アダムとイブの「禁断の実」が、リンゴであることは有名な話である。
ほかにもいろいろな国の民謡や神話に登場する。
 
イギリスには「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」ということわざがある。
実際リンゴにはビタミン類、同化されやすい糖類、酵素、有機酸、ミネラル類がバランスよく含まれている。
便通をよくし、血液中のコレステロールを下げるペクチンや腸内の善玉菌を増やすオリゴ糖、活性酸素を除去するポリフェノールなども含まれており、ガンや炎症、アレルギーなど種々の病気の予防・改善に役立つ。
 
また、リンゴ酸には体内の炎症を癒す作用があるため、気管支炎、肝炎、膀胱炎などの炎症疾患の治療を早めてくれる。
漢方でも、リンゴは元気をつけ、唾液を出して渇きを止め、胃腸の働きをよくする作用があるとしている。
全世界から集まってくる難病・奇病を食事療法で治すことで有名だったB・ベンナー病院の主療法はニンジン2本とリンゴ1個で作るジュースを毎日飲ませることであった。
このジュースを毎日飲むことをおすすめする。
 
 
 
◆ レモン (檸檬) 効能:風邪予防、美肌、口渇、むくみ
 
インド原産のミカン科の常緑低木。
レモンの酸味はビタミンCとクエン酸によるものである。
この酸味は疲労回復、二日酔い、風邪の予防、美肌作りに役立つ。
レモンにはビタミンPも含まれている。
これは高血圧、動脈硬化、出血、紫斑病、凍傷などの血管性病変の予防、改善に効果がある。
また、体内の水分の貯留や排泄のバランスを司る作用があり、口渇やむくみに奏効する。
 
風邪や二日酔い、ストレスにはレモンとハチミツを入れたホットレモンが有効。
冷え性や、肌荒れにはレモンの薄切りを湯船に入れて入浴するとよいだろう。

 

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生命の農と食を考える
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池田 優

 

 

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