山ちゃんの食べもの考

 

 

その294
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【151】
「食べ方」一つで
人生が変わる!
「病気にならない
食べ方 食べ物」
石原結實 著  海龍社 刊
その8
 
第4章 病気にならない食物効能事典
 
●魚介類
 
◆ アサリ (浅蜊)
効能:強肝、造血、強精、骨粗しょう症
 
真弁鰓目(しんべんさいもく)マルスダレガイ科の二枚貝。旬は秋と春。
貝塚からアサリの殻がたくさん出土しており、太古から日本人の栄養食だったようだ。
「漁りとる貝」がアサリの語源である。
 
潮干狩りといえばアサリで、河口が近くにある塩分濃度の低い砂泥質の海で捕れる。
しかし、今では海岸や河川の汚染で少なくなり、稚貝を採集して生育に適した海底にまきつけて養殖することが多くなった。
シーズンは年2回で、4~5月と10~11月。
6~9月の産卵期は、食中毒を起こしやすいので食べないほうが良いとされている。
 
アサリだけではなく貝類には、一般にコハク酸が多く含まれている。
味噌汁やスープの具にすると大変おいしく、アサリはとくにグリコーゲンも多く含まれるので、香ばしく甘味さえ感じられる。
また、低脂肪、低カロリーなので、肥満や生活習慣病をもつ人の格好のタンパク源となる。
その上、強肝作用のあるタウリンやビタミンB2、造血作用のあるビタミンB12や鉄、強精作用のある亜鉛、骨粗しょう症予防に効果のあるカルシウムなど、種々の栄養素が含まれている優秀な保健食品である。
 
 
◆ アワビ (鮑)
効能:強壮・強精、乳汁分泌促進
 
腹足網原始腹足目ミミガイ科の貝。旬は夏。
アワビの身は堅いせいか、カキやハマグリを食べるフランス人でさえアワビは食べない。
しかし、最近では、アメリカ西海岸のシーフードレストランでステーキとして食べられているようだ。
中国では干したアワビを煮込んで柔らかくして食べるが、日本人は生のコリッとした食感を楽しむ。
 
アワビはタンパク質が豊富に含まれ、グルタミン酸、ロイシン、アルギニン酸などのアミノ酸が多く含まれるため、あの独特の旨みがある。
また、ビタミンB1・B2や、カルシウム、鉄などのミネラルが多く含まれ、アルギニンも豊富である。
このため強壮・強制効果がある。
鮑の殻は眼病によいとされている。
 
昔から、産後お七夜までにアワビを食べると乳の出がよくなるといわれており、また肺結核にもよいと重宝されていた。
 
アワビは「貝の王様」であり、刺身、寿司だね、干しアワビ、粕漬けなどにされる。
アワビは堅いが、胃腸での消化は良いので心配は無用である。
 
 
◆ カキ (牡蠣)
効能:栄養食、不眠症、眼精疲労、夜尿症
 
二枚貝網イタボガキ科、旬は秋から冬。
世界中の海に生息し、その数約80種。
欧米人が生食する唯一の水産物である。
ローマでは牡蠣の養殖は2000年も前に始まったとされ、中国ではもっと古くから行われていたようだ。
カキは生まれたばかりのころはすべて雄で、成長する間に栄養を十分に摂ったものが雌となり産卵し、その後中性となって次の繁殖期に雄か雌いずれかになる、というという不思議な生態をしている。
 
カキは栄誉の豊富さから、「海のミルク」と呼ばれる。
エネルギー源のグリコーゲンが豊富で、ビタミンB群、鉄、銅、マンガン、ヨード、カルシウム、亜鉛などのミネラルが多く含まれる。
特筆すべきは、亜鉛の含有量が全食品中断トツナンバー・ワンということである。
不眠症や眼精疲労、精力減退に抜群の効果を発揮してくれる。
経験的に肝臓病にもよいとされるのは、かなり豊富に含まれるタウリンのためである。
 
カキフライは体を温めてくれるので夜尿症や寝汗に効果がある。
生牡蠣は古くなると食中毒の危険があるので、殺菌作用のあるレモン汁をかけると良い。
牡蠣がおいしいのは12月から2月までで、とくに2月はグリコーゲンをはじめ、種々の成分の含有量が最高になるのでもっともおいしい時期である。
 
 
◆ シジミ (蜆)  効能:強肝、乳汁分泌促進
 
真弁鰓目(しんべんさいもく)ヤマトシジミ貝科の二枚貝。
淡水のシジミは最高級品とされ、旬は4~5月。
河川の上流か湖沼に住むマシジミは[寒シジミ」と呼ばれ、旬は冬。
海水の混じるところに棲むヤマトシジミの旬は夏の土用のころ。
一般的に寒シジミがおいしいといわれている。
 
「土用シジミは腹薬」、「シジミの味噌汁は肝臓によい」、「シジミは黄疸に効く」などといわれる。
これらの根拠として、シジミにはタウリンが多く含まれること、メチオニン、コハクさん、ビタミンB12が肝機能を強化すること、肝機能を強化し黄疸を改善するオクタデセン酸が多く含まれることなどが挙げられる。
 
蜆が味噌汁によく合うのは、味噌に含まれる種々のアミノ酸と一緒になると、さらに理想的なアミノ酸構成になるからである。
また、味噌の消化酵素が蜆の消化を助けるため。
シジミには、カルシウム、鉄、ビタミンB2・B12などの日本人に不足しがちな栄養素が多く含まれている。
シジミの味噌汁が、「産後の乳の出をよくする」というのも、うなずける。
 
 
◆ エビ (海老)
効能:強肝、強精、抗血栓、発毛促進
 
甲殻類エビ科。旬は通年である。
手長エビ、ザリガニなどの淡水産のエビもいるが、多くは海産。
日本近海には約500種類のエビが生息している。
英語では海底を歩いているイセエビのような大型のものをロブスター、海中を群れて泳いでいる小型の桜エビのようなものをシュリンプ、中型のクルマエビのようなものをブローンと呼ぶ。
日本では、天ぷらや刺身にされるクルマエビ、フライなどに使われる大正エビ、加賀料理に欠かせない甘エビ、佃煮に使われる手長エビ、かき揚げや焼きそば、チャーハンに使われる桜エビなどが有名である。
 
海老の独特の甘味はグリシン、アラニン、プロリン、セリン、ベタインなどのアミノ酸で、ベタインは血中コレステロルや血糖を下げる働きがある。
また、強肝・強精、抗血栓などの働きをするタウリンも豊富に含まれている。
また、エビの殻には免疫力を強化するキチン酸が含まれている。
中国では海老は強精食品とされ、頭や胸の後ろにある卵巣を食べると強力な強精効果があり、毛髪の成長も促進するといわれている。
 
 
◆ カニ (蟹)  効能:抗血栓、整腸、ガン予防
 
甲殻類エビ目カニ亜目。旬は冬。
気ガニ、ズワイガニ、ガザミ(ワタリガニ)、サワガニなどがある。
ズワイガニが最も美味とされ、産地により、越前ガニ、松葉ガニと呼ばれる。
カニの肉にはグルタミン酸、グリシン、グアニル酸などの甘味成分が含まれる。
カニは一般に低脂肪、高タンパクなので、肥満や生活習慣病を病んでいる人には格好の栄養食である。
また、糖分の代謝に必須のビタミンB類、貧血を防ぐ鉄、強精作用のある亜鉛、骨歯を強くするカルシウムなども豊富に含まれ、その上コレステロールを下げ、肝臓を強くし、血栓を防ぐタウリンも多量に含まれている。
 
さらに、殻に含まれる食物繊維の一種であるキチン・キトサンは、腸内の善玉菌を増やして整腸作用を発揮し、腸内の発ガン物質や有毒物質を排泄し、免疫力を高めて発ガンを防ぐといった作用がある。
中国や日本では、古くからカニの殻を弱火であぶった後、砕いてお湯に溶いで飲むと、腹痛や腫れ物に効くとされてきた。
 
カニの内臓には多くの酵素があり、カニが死ぬと酵素群が肉を融解し、そこに最近が付着して腐敗を早めるため、古いカニは食中毒を起こしやすくなる。
このため、早めに調理することが望ましい。
 
 
◆ イカ (烏賊) 効能:強心、強肝、防腐、ガン予防
頭足網十腕目、旬は春から初夏。
アオリイカ、ヤリイカ、コウイカ、スルメイカなど種類が多く、浅海から深海まで幅広く分布している。
日本は漁漁量、消費量とも世界一である。
イカは「墨魚」とも書くが、「烏賊」と記載されるのが一般的。
これはイカが泳いでいる姿をカラスが見つけて、死んでいると思って食べようとしたら逆にイカに海中に引きずり込まれて食べられたという故事からきているようだ。
 
イカはカロリーが低く、タンパク質の含有量も少なめだが、アミノ酸の組み合わせは大変優秀で、消化吸収も良好である。
銅や亜鉛などのミネラルやビタミンEも多く含まれるので、美容・健康食としても肥満や生活習慣病をもつ人の栄養・保健食としても最適。
 
イカやタコはコレステロールが多いとされてきたのは誤りで、むしろアミノ酸の一種であるタウリンが多く含まれており、血中コレステロール低下作用や強心作用、強肝作用など種々の有益な作用があることがわかっている。
イカ100g中には約350mgものタウリンが含まれ、とくにスルメの白い粉はタウリンそのものである。
 
また、イカ墨には、防腐作用や抗ガン作用のあるムコ多糖類が含まれているので、健康食としておすすめする。
 
 
◆ タコ (蛸)  効能:強心、強肝、解毒
 
頭足網八腕目、旬は秋から冬。
世界中に約200種類。
日本には約50種類いるが食卓の登るのはマダコ、イイダコなどたったの数種。
欧米人は蛸を「悪魔もの魚」と呼ぶほど嫌う。
 
タコは頭と呼ばれるところが胴で、下部に頭があり、口を中心に腕(足)が出ている。
タコは低脂肪、低カロリーでありながら、タンパク質、ビタミンB1・B2、亜鉛、カルシウムなどのビタミン類、ミネラル類が多く含まれている。
とくに体内で解毒作用を促し、口内炎や肝臓病に効くビタミンB2は普通の魚の4~5倍も含まれている。
タコの卵巣は海藤草と呼ばれ、煮つけて食べるとおいしい。
 
ちなみに、タコをゆでると赤くなるのは、加熱によってタンパク質が変性し、オンタロームという色素が出現するためである。
 
 
◆ ウニ (海胆・海栗)
効能:健脳、保温、強壮・強精
 
ウニは世界中の浅い海に棲んでいる棘皮動物。旬は夏。
「海胆」や[海栗]と漢字で書くが、身はいかにも「肝」という様子で、外見は栗のイガそのものだからだろう。
身はタンパク質のほか、ウニ独特の味を出しているメチオニン、甘味を醸し出すグリシンやアラニン、苦味のもとのパリンなどのアミノ酸が豊富である。
脳や神経の働きに重要なビタミンB1、B2、リン脂質やグルタミン酸も多く含まれる。
このため健脳効果があるほか、抵抗力を増し、皮膚・粘膜を強化し、目の働きをよくするビタミンAの含有量は特筆に価する。
 
ウニの身の赤褐色は、エキノネノン、エキノクロームAという色素である。
保温効果の原動力となっており、海女が冷たい海中に平気で潜れるのもウニの常食と関係しているようだ。
ちなみに、身は実は生殖腺であるので、強壮・強精効果があり、酒によく合うのはアルコールを解毒する酵素が多く含まれているからであろう。
 
 
◆ ナマコ (海鼠)  効能:滋養強壮、老化防止
 
ナマコ類輻足目。ウニと同じ棘皮動物。
漢字で「海鼠」と書くのは、夜になると海底を動き回り、砂の中の微生物を食べる習慣からきている。
水温が16℃以上になると60cm以上の穴を掘って潜り、夏眠して過ごし、冬になると海底に出てくる。
 
外見はグロテスクだが、中国ではナマコを「海参(ハイチェン)、つまり海の朝鮮人参と呼び、滋養強壮剤として用いる。
身を半分に切られても再生するほど生命力が旺盛なのでこの名があるのだろう。
ナマコにはカルシウムやヨードが多く含まれてるので、体内の新陳代謝が促され、血液も浄化される。
外皮に含まれているコンドロイチンは内臓や皮膚の老化を予防する働きがある。
 
ナマコは昔から肝臓の働きを強化し、酒毒を中和することがよく知られている。
さらに動物性食品としては珍しくアルカリ性で、90%が水分のため堅い割には消化がよく、高齢者や病人の栄養補給にも適している。
ナマコの内臓を塩辛にした「このわた」は珍味といわれ、「このこ」とは卵巣を干したものである。
 
黒っぽいナマコは「アオ」と呼ばれ、関東では最上とされているが、関西では茶褐色の「アカ」が喜ばれる。
いずれも突起の少ないものほど上級品とされる。
 
 
◆ ハマグリ (蛤)
効能:利尿、強壮、二日酔い、痔
 
真弁鰓目(しんべんさいもく)海産二枚貝。旬は冬から春。
現在は消費量の90%を韓国からの輸入に頼っている。
欧米人が食べる数少ない魚介類の一つで、フランス人は生食する。
 
日本ではハマグリはひな祭りや婚礼の席など、おめでたい席のお吸い物によく使われる。
これは「蛤の貝殻を合わせるとぴたりと合うこと、合うのはほかになくその一対のみであること」から、永遠の夫婦の愛を誓い合おうという願いがこめられているのだろう。
 
ハマグリは低脂肪で高タンパク食品である。
ビタミンB2、B12のほか、B12の一成分であるコバルト、高血圧や糖尿病を予防してくれる作用をもつクロームなどのミネラルが多く含まれている。
昔から、ハマグリ汁は小便の通じをよくし、口渇をとり、二日酔いをよくしてくれるとされている。
また、胃腸の具合の悪いときなどにも使われた。
1日1杯のハマグリ汁はスタミナと痔疾にも効果がある。
 
 
● 海藻・キノコ類
 
◆ 海藻類 1
効能:降圧、駆虫、整腸、抗血栓、ガン予防
 
日本人が海藻を食べる歴史は古く、石器時代から海藻を魚介類とともに食料にしていたようだ。
万葉集にも「藻塩焼く」煙がたびたび登場する。
海藻類はコンブ、ワカメ、ヒジキ、モズクなどの渇藻類と、浅草ノリ、テングサなどの紅藻類、そして青ノリなどの緑藻類の3つに大別される。
 
海藻の旨みのもとはグルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、グリシンなどのアミノ酸である。
コンブには降圧作用のあるラミニンが含まれている。
ほかにカイニン酸やドウモイ酸などのアミノ酸に駆虫作用もある。
海藻の脂質はEPAなどの魚介類に含まれる不飽和脂肪酸からなっている。
炭水化物の大部分が食物繊維で、整腸作用やコレステロールなどの排泄作用を有する。
とくに渇藻類のフコダインは、へパリンと同じく抗血栓作用を有し、さらに免疫力を高め制ガン降下を発揮する。
 
海藻に含まれるミネラルとしてはヨードの含有量が多い。
甲状腺ホルモンの原料であり、新陳代謝を高めるのに役立つ。
なお、ワカメに大量に含まれているクロロフィルは、口臭予防などのほかに抗ガン作用も有する。
モズクにとくに多く含まれるセレニウムにも強力な抗ガン作用がある。
 
 
◆ 海藻類 2
効能:降圧、強心、強肝、抗血栓、抗コレステロール
 
海藻は野菜と同じくクロロフィルを有し、光合成により成育するので栄養成分はにかよっている。
しかし総合的な栄養価、健康に資する効力は海草のほうが野菜よりずっと上である。
 
海藻にはタンパク質が平均して10%ほど含まれているが、ノリには40%近くも含まれている。
また、のりにはタウリンが含まれており、降圧、強心、降圧、強心、強肝、抗血栓、抗コレステロールなどの作用を発揮する。
ワカメ、コンブ、ノリを水につけるとぬめりが出るが、これは多糖類アルギン酸の作用で、コレステロール低下、降圧、塩分や食品添加物の排泄などの作用がある。
 
また、保存食品、優秀な優秀な食品として世界に誇りうるものに寒天がある。
テングサを煮出して冷し、ゼリー状にしたものがトコロテンで、これを凍結、乾燥させると寒天になる。
過食で栄養過剰に陥っている現代人にとっては、食物繊維を豊富に含み、腸内の大掃除をしてくれるトコロテン、観点は格好の健康食である。
 
 
◆ キノコ類 1 (シイタケ・マツタケ・ナメコ)
効能:不老長寿、食欲増進
 
キノコ類は、担子菌類に属する微生物の子実タイで、日本には約300種のキノコが存在している。
「古事記」や[日本書紀]にも記録があり、古くから食用にされていたようだ。
 
キノコの特徴は風味と旨みにある。
香気の成分はレンチオニン、メチルシンナメートなどで、旨みの成分はグルタミン、グルタミン酸、アラニンなどのアミノ酸である。
キノコは容量が多く満腹感が得られるのに、低カロリーである。
つまり格好のダイエット食になる。
また食物繊維が多く含まれている。
 
シイタケは昔から不老長寿の食べ物として珍重されてきた。
ビタミンB1、B2、カリウムが多く含まれているうえ、血中コレステロールを下げるエリタデニンやガン細胞の増殖を抑制するレンチナンがある。
マツタケにはビタミンB2、C、Dが多く含まれるが、なんといっても独特の香気と旨みによる食欲増進効果は特筆に価する。
ナメコ独特のぬめりの正体はムチンで、タンパク質、アミノ酸の吸収をよくしてくれている。
 
 
◆ キノコ類 2 (マッシュルーム・マイタケ)
効能:ガン予防
 
キノコには食物繊維が40%も含まれており、腸内の有害物、老廃物、毒、発ガン物質を排泄し、血液をきれいにしてくれる。
さらにキノコに含まれるエルゴステリンは、日光の紫外線の働きで、ビタミンDに変わり、腸内のカルシウムの吸収を助けてくれる。
ただし、カルシウム自体の含有量は少ない。
 
マッシュルームは世界中で栽培されてているキノコで、日本のシイタケ、中国のフクロダケと並び、世界の3大キノコとされる。
食物繊維がとくに多く含まれている。
 
マイタケは多糖類のグルカンを含有するので、免疫力を上げ、ガンに効くと喧伝されている。
しかし、東洋医学的にいえば、ガンの原因は「血液の汚れ」であり、これをきれいにしない限り本当の予防や治療はありえない。
その点、マイタケをはじめキノコ類は食物繊維を多量に含み、胃腸の掃除をすることによって血液をきれいにし、なおかつ免疫力を増強するレンチオニンやグルカンを含むので、「抗ガン食品」であることは確かだ。
 
なお、東洋医学的にいうとキノコは体を冷す陰性食品なので、煮たり焼いたりして熱を加えて食べるべきであろう。
 
 
● その他
 
◆ 牛肉   効能:保温、体力回復
 
日本では仏教が伝来してから、肉食の習慣はなくなっていた。
とはいえ、肉類のおいしさには勝てない。
庶民に肉食を禁じた徳川家康も「薬食い」と称して、献膿された肉の味噌漬けをよく食していたそうだ。
「五段目を 蛇の目に包む 麹町」という川柳がある。
五段目とは猪の肉のことで、蛇の目は昔の傘の紙のこと。
実際に麹町あたりには「獣肉屋」があったというから、江戸や明治時代の庶民も、時には肉の隠れ食いをしていたのだろう。
 
肉はいうまでもなく、必須アミノ酸を豊富に含む良質のタンパク源である。
漢方でも、肉は「胃腸の働きを補い、筋力を益し、排尿を促し、むくみをとる」としている。
体を温め、気持を明るくしてくれる作用もある。
 
牛肉にはビタミンB2や鉄分が多く含まれる。
体を温める作用がとても強いので、洋の東西を問わず、病気の回復期には、牛肉スープや牛肉粥が体力回復の妙薬として使われた。
明治時代に大流行した牛鍋屋は、家康にならい「薬食い」と称し、体力をつけるための「薬膳料理」として利用されていたそうだ。
 
日本では肉食など欧米化した食生活により、欧米型の病気が激増している。
肉は「薬食い」的にときどき食べるのが、体に適しているようだ。
 
 
◆ 豚肉&鶏肉  効能:体力・免疫力増強、解毒、解熱
 
豚肉は洋風・中華風・和風料理と、どんな料理にも合い、ビタミンB1の含有量が抜群に多い。
漢方でも、「腎気補益」、つまり体力・免疫力増強と、解毒・解熱に効ありとしている。
鶏肉はクセのない味で、タンパク質も豊富に含まれ、その上廉価ときている。
ささみはタンパク質が100g中34g、脂肪が0.7gと低脂肪食品であり、ビタミンA含有量は、牛肉、豚肉の10倍もある。
ヘルシーで格好のタンパク源である。
 
漢方では、鶏肉は「肝、肺、腎を補い、風を除き、湿を遂い、気を益し、気を温める。婦人の諸病、諸傷によい」とされている。
 
戦後、日本人の食生活は欧米化し、1950年と2000年を比べると、肉9杯、鶏卵7倍、乳製品10倍の摂取量になっている。
その結果、肺ガン、大腸ガン、乳ガン、心筋梗塞、通風、糖尿病などの欧米型の病気が激増した。
現代人の食生活は、人間に適した食生活のバランスを崩しているようだ。
肉類は、ときどき食べるのが人間の体には適しているのであろう。
そうすると薬のように体に効くといえそうだ。
 
 
◆ 鶏卵   効能:ボケ防止、滋養強壮
 
鶏卵は昔から、滋養強壮食品として重宝されてきた。
卵の卵白は、優秀なアミノ酸をすべて含むタンパク質で、タンパク質の「蛋」とは「卵」と同意である。
 
卵白のタンパク質は、オポアルプミン、コンアルプミン、オポムコイド、オポグロプリンG1などからなる。
オポグロプリンG1は、細菌の細胞膜を破壊して抗菌作用を発揮し、卵への細菌の侵入を阻止する働きがある。
オポムコイドは食欲を抑制し、肥満防止に役立つという研究報告もある。
 
卵黄の成分は、15%がタンパク質、30%が脂質である。
脂質のうち60%が中性脂肪で30%がリン脂質、残りがコレステロール。
リン脂質は脳細胞や神経細胞の構成成分で、知能や記憶力の向上、老化の改善に不可欠な成分である。
リン脂質の中のレシチンは、体に吸収されると、血液中のコレステロールを低下させる作用を発揮する。
 
卵にはコレステロールが多く含まれているため、高脂血症、心筋梗塞の人は忌避すべき食品とされてきたが、最近はこうした疾患に対してもたいして悪影響がないとする研究も散見される。
卵にはタンパク質、脂質のほか、ビタミン類やミネラル類、特に、豊富な亜鉛が含まれていることも、滋養強壮作用を生み出している。
また、卵は体を温める陽性食品である。
 
 
◆ 牛乳   効能:滋養強壮
 
牛乳は完全栄養食品である。
牛乳200ccにタンパク質と脂肪がともに約6g含まれている。
ビタミンA・B1・B2、マグネシウム、マンガン、リン、カルシウムなどのビタミン、ミネラルが豊富に含まれている。
このため栄養補給に格好の食物とされてきたが、飽食の時代である現代では疑問がある。
 
肥満、糖尿病、通風などは、明らかな摂取カロリー過剰からなる病気である。
それ以外も、脳血栓、心筋梗塞、肺ガン、大腸ガン、乳ガンなど欧米型の病気は、「栄養過剰」の一面を持つ。
このような時代には牛乳を健康食品とみなしていいのだろうか。
牛乳を飲むと腹が張り、下痢をする「乳頭不耐症」と呼ばれる症状を起こす人が少なくない。
これは乳汁中の乳頭を消化する酵素ラクターゼが小腸内に不足していることから起きる。
ヨーロッパ出身の白色人種は、ラクターゼを終生もち続けるが、アジア人は成人になるとラクターゼが消失し、乳頭を消化できなくなる人が多いためだ。
 
また、漢方では、色彩を陰と陽に大別し、青・白・緑の色を帯びたものは「陰」、赤・黒・橙の色は「陽」の性質を持つと考える。
牛乳の色は白く、「陰」の性質を持っている。
そのため冷え症の人は、牛乳を飲むと体を冷し下痢をすることもあるわけだ。
 
 
◆ チーズ  効能:滋養強壮
 
前記の通り、牛乳は完全栄養食品ではあるが、体を冷す食物である。
しかし、陰性の食物も、熱や塩を加えると体を温める「陽」の性質を持つ食物に変わる。
チーズは牛乳に熱を加えて作ったものである。
色も黄色に変化し、体を温める作用をもつ滋養強壮食品である。
高齢者や「冷え性」の人は、牛乳よりはチーズを食べるほうがよいだろう。
逆に耐熱が高く、赤ら顔の陽性体質の人や、高血圧、通風など陽性の病を患っている人は、牛乳のほうが良いだろう。
 
 
◆ ヨーグルト 効能:整腸、ガン予防、骨粗しょう症
 
ノーベル賞を受賞したロシアのメチニコフ博士は、「コーカサス地方(現グルジア共和国)の人々は、ヨーグルトをたくさん食べ、腸の中がきれいだから長寿者が多い」という学説を出した。
実際私はこの地を5回調査に訪れたが、この結論には賛成である。
 
ヨーグルトは、牛乳を乳酸菌で発酵させたものである。
牛乳中のタンパク質、ビタミンA・B2などのビタミン、カルシウム、マンガンなどのミネラルをそのまま含んでいる。
そのうえ乳酸菌によりタンパク質や脂肪が分解されているので、消化吸収されやすくなっている。
また乳酸菌は腸内のビフィズス菌を増やして、整腸作用や大腸ガンの予防をしてくれる。
腸内の免疫細胞に働きかけ、インターフェロンを増やして種々のガン発生を抑えることもわかってきた。
ほかに、血中コレステロール低下作用や降圧作用も明らかにされている。
豊富に含まれるマンガンがカルシウムの吸収を助け、歯や骨を強くし、骨粗しょう症の改善・予防に役立つことがわかっている。
 
 
◆ 植物油 効能:小塩、美肌、若返り、動脈硬化、抗血栓
 
人類と油の付き合いは長い。
日本では、奈良時代以前は照明用として用いられ、平安時代になって食用になったようである。
 
三大栄養素の一つで貴重な栄養源であり、皮膚や組織の健常性を保つためにも大切である。
植物性のものは「油」、動物性のものは「脂」と書く。
 
大豆油は、最も消費量の多い油で、次いで菜種油が多い。
両者とも不飽和脂肪酸のリノール酸が多く、動脈硬化予防に有効である。
ゴマ油はリノール酸、リノレン酸が多く含まれしかもトコフェロールや抗酸化物質のセサモールも含まれる。
このためコレステロールを低下させ、動脈硬化を防ぐ力が強力。
また消炎作用があり、切り傷や軽いやけどに昔から使われてきた。
 
紅花油(サフラワーユ)は油の中でももっともリノール酸を含み、動脈硬化予防に力を発揮する。
オリーブ油は、古代エジプト時代から地中海沿岸の国々で、薬として用いられたほどで、悪玉のLDLコレステロールを減少させ、善玉のHDLコレステロールを増加させてくれるオレイン酸が多く含まれる。
またビタミンEも含まれ、若返りや動脈硬化、血管病の予防になる。
トウモロコシ油は、トコフェロールが多く含まれ、美肌、若返りに貢献してくれる。
 
 
◆ 酢   効能:食欲増進、殺菌
 
酢は古くから重要な調味料として使われてきた。
日本では米酢、欧米ではワインヴィネガーやリンゴ酢が主である。
 
米酢などに含まれる酢酸などの有機酸は、食欲増進作用を持つ。
疲労物質の乳酸を分解し、疲労回復効果も発揮する。
鮨や刺身などの生物を食べるときに酢を使うのは、殺菌作用があるためである。
また、20種類以上のアミノ酸が含まれ、うち7種類は抗肥満アミノ酸と呼ばれる。
肥満を防ぎ、コレステロールを低下させ、脂肪肝を防ぐ働きがある。
 
アメリカのバーモント地方には長寿者が多く、ガン、高血圧、心臓病、糖尿病などの生活習慣病者が少ないことが知られている。その秘訣は、リンゴストハチミツのドリンクを飲む健康法にあるとされている。それぞれ小さじ2杯ずつを水に溶かして飲むとよい。
こうした長健康食品でアルスも、体を冷す陰性食品である。冷え症の人は黒図を用いると良いだろう。
 
 
◆ 塩   効能:保温、気力・体力向上
 
塩は旧石器時代より存在する最古の調味料である。
貨幣の代わりに使われたこともあり、給料を意味するサラリーの「サラ」とは、古代ローマ時代に兵士の給料を「塩=サラ」で支払ったことに由来している。
 
塩は栄養素として、人間にとってなくてはならないものである。
人間は塩分を失うと、食欲不振、消化不良、疲労、嘔吐などの症状を来たし、ひどくなると死につながる。
大切な栄養素であるにもかかわらず、現代医学・栄養学では、塩分は高血圧や心筋梗塞、胃ガン、腎臓病を誘発するとして敵視されている。
 
しかしコーカサス地方の長寿者たちの塩分摂取量は相当なものである。
当地の長寿研究者に、この地方の人はこんなに塩分を摂っているのに、なぜ健康で長寿なのか、と尋ねたことがある。
すると「塩分は体を温め、気力・体力を増し、健康を保つ上で一番大切な栄養素だ。体内にたまるとたしかに生活習慣病の原因となる。しかし労働や運動で発汗して排泄すればなんら問題はない」との答えが返ってきた。
つまり現代人が敵視すべきは運動不足であって、大切な栄養素である塩分を敵視するのは本末転倒も甚だしいといわなければならない。
 
なお、塩はミネラルを存分に含む粗塩を用いるに越したことはない。
 
 
◆ 味噌&醤油  効能:防腐、抗血栓、抗コレステロール
 
日本の味噌は、ゆでたダイズに塩と麹菌を混ぜ合わせ、発酵熟成させて造る独特の発酵食品である。
味噌には炭水化物、脂質や良質のタンパク質が含まれる。
コメを主食とする日本人には不足しがちなリジンやスレオニンなどの必須アミノ酸を補ってくれる。
また、味噌には強い防腐作用があるため、味噌漬けは冷蔵庫のない時代の貴重な保存食であった。
「本朝食鑑」には、味噌は「腹中を補い、気を益し、脾胃を整え、心腎を慈し、吐を定め、腹下しを止め・・・・・・病後のやせ衰えを壮にする・・・・・・」とあり、まさに万能薬といえる。
ニコチンの毒を消し、血中コレステロール低下作用もある。
 
日本の醤油もまた、ダイズ、コムギ、塩、水を発酵させて造る独特の調味料である。
醤油には300種類近くの香りと味の成分が含まれていることがわかっている。
食物の臭みを消すのに用いたり、熱い番茶に醤油とショウガ汁を加えて飲むと体が温まり、胃腸病、冷え、貧血に効く。
 
最近、シンガポール大学のバリー・ハウエル教授が、醤油は「血液の流れをよくし、血栓を防ぐ作用がある」と研究発表された。
 
 
◆ 黒砂糖&ハチミツ
効能:カルシウム補給、強壮、殺菌、鎮静、入眠、整腸
 
文明が進むとともに砂糖の摂取量は増えていくものである。
ところが、白砂糖はビタミン類やミネラル類をほとんど含まず、99%以上が糖質からなっている。
このため糖尿病や肥満、虫歯の要因になるとして忌避されがちである。
 
しかし、黒砂糖やハチミツには、その糖質を体内で利用・燃焼するのに必要なビタミンB1やB2などのビタミン類やカリウム、鉄、亜鉛などのミネラル分も存分に含まれる。
とくに、黒砂糖のカルシウムの含有量は白砂糖の150倍もある。
むしろ黒砂糖摂取は骨・歯を丈夫にする。
また、亜鉛には強壮作用がある。
 
ハチミツは、強力な薬効がある。
古代エジプト時代より解熱剤、緩下剤、止痢剤、回春剤などとして用いられていた。
科学的にも殺菌効果、脳神経伝達物質のセロトニンの産生、分泌を促進することによる鎮静、入眠効果、整腸効果などが明らかにされている。
最近発見されたイソマルトオリゴ糖が、腸内のビフィズスキンの増殖を助け、腸の免疫細胞を活性化し、ガンを予防することがわかっている。
「本草綱目」に「万病に効く不老長寿薬・・・・・・」とあるのもうなづける。
 
 
◆ 梅干し 効能:食欲増進、消化促進、防腐、万病予防
 
梅は東部アジア温帯地域原産のバラ科の小高木。
日本の梅は、中国渡来のものと原産種との交配種。
梅干しは日本独特の食物である。
 
梅干しに含まれるクエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸は、唾液や胃液の分泌を促す。
それによって、食欲増進、消化促進に役立つ。
特にクエン酸は、疲労物質の乳酸の燃焼を助けて疲労回復を促す。
昔のお弁当には必ず梅干しが入っていたものだが、梅干しの有機酸、特にクエン酸には殺菌作用があり、また、ベンズアルデヒドや安息香酸に強力な防腐作用があるためである。
抗生物質のなかった第二次世界大戦中の日本では、下痢、腹痛のみならず、腸チフスや赤痢にも梅干しを用いていた。
 
1日最低1個の梅干しを食べると、万病の予防・改善につながる。
風には、梅干しを黒焼きにしたものを湯飲みに入れて、熱湯を注ぎこむとよい。
二日酔いや乗り物酔いには、お茶に梅干しを入れて飲むとよいだろう。
 
 
◆ ラッキョウ 効能:疲労回復、血液浄化、狭心症、心筋梗塞
 
中国原産ユリ科の多年草。
日本には、中世に伝わり薬用として用いられた。
江戸時代から次第に食用にされるようになった。
ニラ、ニンニク、ネギ、タマネギと同じく、アリウム属の野菜であり、同様の薬効がある。
薬効の主役はジメチル・トリスルフィドやメチル・アリルトルスタルフィドなどの硫化アリルである。
これらはビタミンB1の吸収を助け、疲労回復、こりや痛みを改善する作用がある。
また、血液の流れをよくして、血液を浄化することは以前から知られている。
心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈に作用して、冠動脈を拡張したり、血栓を溶かすことが確かめられている。
 
ラッキョウとキカラスウリを酒と水で煎じて飲む、漢方薬の「活呂交蔚白白酒湯」は、狭心症や心筋梗塞に使われる薬である。
狭心症の胸の痛みや、心筋梗塞の予防には、ラッキョウ漬けを1日3~4粒食べるとよいだろう。
 
 
◆ 豆腐  効能:栄養食、抗血栓、健脳
 
豆腐は中国、漢の高祖の孫、淮南王劉安が考案したとされている。
日本へは、遣唐僧らによって伝えられた。
江戸時代以降になり、一般庶民の口に入るようになった。
「豆腐百珍」などの豆腐料理の解説書が出版されたことから見ると、当時の豆腐人気がわかる。
昔から豆腐は親しみのある食物である。
 
豆腐は栄養学的に非常に優れた腸健康食品だ。
優れた植物性タンパク質と高脂血症を予防するリノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸、脳の働きをよくするダイズレシチン、カルシウム、カリウム、亜鉛、鉄などのミネラル、ビタミンB1・B2・Eをバランスよく含んでいる。
しかも消化吸収率がほぼ100%であり、胃腸病の人、赤ちゃんやお年寄りには格好の栄養補助食品である。
昔の高僧に、精進料理だけを食べて長寿を保つ人が多かったのも、この豆腐の栄養価のおかげだったと思われる。
「本草綱目」にも、「中を寛くし、気を益し、脾胃を和し、血を清め、熱を散ずる」とある。昔から、脳卒中や打撲傷には、豆腐の湿布が重用されてきた。
 
豆腐は白く、体を冷す陰性食品である。
冷え症の人が食べるときは、湯豆腐や味噌汁など熱を加えて陽性食品に変化させてから食べるとよい。
 
 
◆ 納豆
効能:強肝、抗脂血・抗血統、下痢、便秘、ガン予防
 
納豆は、「イネのわら」に包まれた大豆が発酵し偶然できたもので、古く中国から伝わった。
日本では最初寺院で作られ、やがて僧房の能所で作られるようになったため、「納豆」と呼ばれるようになった。
タンパク質を分解するプロテアーゼ、デンプンを分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼのほか、カラターゼ、ウレアーゼ、トリプシンなど種々の消化酵素が、納豆が作られる過程で生成される。
このため納豆は消化は良い。
納豆には強肝作用や抗脂血症があるビタミンB2・B6が多く含有され、血栓溶解に役立つナットウキナーゼも含まれている。
納豆を食べると大量の納豆菌が腸内に入り、腸内の悪玉菌や病原菌を殺し、下痢や便秘、さらに発ガン物質の発生を抑えてくれる。
また、納豆をつまみにすると悪酔いしない。
[本朝食鑑]でも、「腹中をととのえ、食をすすめ、毒を解す」とある。
 
昔から、ネバネバした食品は滋養強壮作用があるとされるが、納豆も例外ではない。またアルギニンも含まれており、強壮・強精作用の一翼を担っている。
納豆は体を温める陽性食品である。
納豆を食べるときには、大根おろし、ネギ、青ノリ、シソなどビタミンAやCを加えると栄養のバランスがさらによくなる。
 
 
◆ 緑茶
効能:殺菌、抗毒、覚醒、利尿、美肌、風邪の予防
 
緑茶は、ツバキ科の茶の木の新芽を蒸して乾燥させたもの。
漢方では、「血を清め、尿を通じ、食欲を益し、疲れを癒し、心身を壮快にする」とする。
 
含有成分のカテキンは、脂質代謝を改善し、血中コレステロール、中性脂肪を低下させる働きがある。
エビガロカテキンは、殺菌・抗毒作用があり、コレラ菌、赤痢菌、O157、風邪のウイルスを殺菌する作用を持っている。
風邪のときののどの痛みには、緑茶でうがいをするとよい。
またピロリ菌も殺菌するため、胃潰瘍や胃がんも防ぐ。
 
また、これらのカテキン類は活性酸素を除去する作用もあり、緑茶は万病を予防するといえるだろう。
そのほか、緑茶に含まれるカフェインには覚醒作用、利尿作用があり、ストレス解消にも奏効する。
さらにビタミンCが豊富であり、風邪の予防や美肌に効果がある。
ただし、体をあまり動かさない人が飲みすぎると、有害になることがある。
リウマチや、頭痛や神経痛、腰痛や関節痛などの「痛み」の病気は、漢方では「冷え」と「湿気(水)」によって生ずると考える。
緑茶は体を冷す陰性食品であり、体を動かさない人がお茶や果物などで水分を摂りすぎると、体内に水分過剰=「冷え」を招き、それらの病気の要因になりやすい。
 
 
◆ 紅茶&ウーロン茶
効能:殺菌、抗毒、覚醒、利尿、美肌、風邪の予防
 
ツバキ科の茶の木の新芽を萎びさせながらよく揉み、酸化酵素の働きで全発酵させたものが紅茶、半発酵させたものがウーロン茶である。
発酵させることにより、茶葉に含まれるカテキン類が酸化され、テオフラビンやテアルビジンに変化して、赤色や褐色の色調と香気をもったお茶が出来上がる。
 
茶はインドが原産、つまり南方産のものであり、体を冷す陰性食品である。
インドを統治していたイギリス人が、緑茶のあまりのおいしさに、イギリスに持ち帰った。
しかし「体は冷えてておいしくない」ことを悟り、やがて体を温める紅茶を飲むようになったわけである。
ウーロン茶も同じ作用を持つ。
紅茶には、カテキンも豊富に含まれている。
 
紅茶に1つまみのおろし生姜とハチミツや黒砂糖を入れた「しょうが紅茶」は、体を温め、利尿作用にも優れている。
実践した人からは「体重が減った」「むくみが取れた」「血圧が下がった」「便通がよくなった」との喜びの手紙をよくいただく。
毎日2~3杯飲むとよいだろう。
 
 
◆ ココア  効能:強壮・強精、整腸、ガン予防
 
古代マヤ人は、カカオビーンズをすりつぶし、種々の香料を混ぜて水で溶いたものを、強壮・強精剤として愛用していた。
カカオビーンズを煎って種皮と胚芽を取り除いた後のニブ(胚乳)を摩擦し、圧搾したときにできるココアバターの一部を除去し粉末にしたものが現在のココアである。
 
ココアは高タンパク、高脂肪食品である。
とはいえ、脂肪は植物性脂肪であり、摂り過ぎない限りは高脂血症を促すことはなく、むしろ抗脂血的に働く。
 
ココアには、ビタミンA・B群・Eなどのビタミン類、カルシウム、鉄、カリウム、マグネシウムなどのミネラル類も豊富に含まれている。
とくに「セックス・ミネラル」と称される亜鉛の含有量の多さはショウガなどと同様に特筆に価する。
ココアには食物繊維の一種のリグニンも含まれている。
腸内の有効菌を育て整腸作用を促し、便秘を防ぎ、余分なコレステロール、脂肪、糖分、発ガン性物質を排泄し、高脂血症、糖尿病、ガンの予防に役立つ。
ココアには緑茶、紅茶と同様に、活性酸素を除去するカテキン類も豊富に含まれている。
カフェイン含有量はお茶やコーヒーに比べると少ない。
またココアは熱帯産だが、体を温める陽性食品である。
 
 
◆ チョコレート  効能:高栄養、強壮・強精
 
古代マヤ人はココアを強制・強壮剤として愛用していた。
南米から欧州に伝わったココアは、やがて粉にして菓子を作る原料にも用いられた。そして、1876年にスイスではじめてチョコレートが作られる。
チョコレートは高タンパク・高脂肪・高糖質・高カロリー・高ビタミン・高ミネラルの食品である。
 
漢方の観点から見ると、ココアは熱帯産ではあるが、体を温める[養成食品]である。
堅い(水分が少ない)種子が原料であることと、外観が濃いこげ茶色であることによる。
ココアを原料にしたチョコレートは、栄養価が非常に高く体を温めるので、非常食としても最適である。
冬山で遭難した人が救助された人が、「チョコレートと水でうえをしのいだ」という言葉をよく口にするのもうなずける。
 
2月14日はバレンタインデー。
女性が男性にチョコレートを送る習慣がすっかり定着した。
女性たちはチョコレートが高栄養で、強壮・強精作用、ひいては催淫作用があり、心身の情熱を燃やす食べ物であることを知っているのだろうか。
 
 
◆ 赤ワイン  効能:ガン予防、ストレス解消
 
ワインの歴史は人類の歴史と同じくらい古い。
ブドウにワイン酵母を加えて発酵させた醸造酒がワインである。
赤ワインは赤色、黒色のブドウをつぶして、果汁、果皮ともに発酵させて作り、白ワインは緑色、赤色のブドウの実のしぼり汁を発酵させたものである。
赤ワインの渋味は、抗酸化作用があるカテキンが、ワイン貯蔵中に重合して醸し出される。
さらに赤ワインには、善玉のHDLコレステロールを増加させるポリフェノールが白ワインの10倍もの量含まれている。
 
「ワインに含まれるポリフェノールは心臓病、脳梗塞、ガンの予防に役立つほか、ストレスの解消にも役立ち、緊張感を取り去り、血圧を下げる」という発表や、ワインを毎日3~5杯飲む人は、飲まない人に比べて、循環器系の疾患での死亡率が56%も低かったとの調査結果もある。
さらに、「ワインやブドウに含まれるレスプラトロールという物質が発ガンを抑制し、ガンの転移も防ぐ」という発表もある。
古くからワインが「薬」として用いられてきたのもうなずける。
また、赤ワインには造血成分の鉄が豊富に含まれている。
漢方的にも、外観が赤ワインは体を温め、血行をよくし、種々の病気の予防や治療に効果があるあると考えられる。
 
 
◆ 日本酒  効能:ガン予防
 
すべてのアルコール飲料は、糖または炭水化物の糖化物を原料にし、酵母によってアルコール発酵させたものである。
日本酒、ビール、ワインなどの発酵させたものを絞っただけの醸造酒とウイスキー、ブランデー、ウオッカ、焼酎など、醸造酒を蒸留して造った蒸留酒がある。
醸造酒はアルコール分が低くエキス分が高い。
これに対して、蒸留酒はアルコール分が高くエキス分が低い。
 
東洋医学的には、ウイスキーの原料は冷性の大麦であるので、ウイスキーは陰性食品。
日本酒やブランデーは、その原料が陽性と陰性の中間の性質を持つコメやブドウなので、間性~陽性食品ということになる。
デンマークでの調査で、ワインを週14杯以上飲む人の肺ガンりかんりつは、飲まない人に比べ約50%も低いのに対して、蒸留酒を飲む人は逆に50%も高いということがわかっている。
日本でも、秋田大学医学部の滝沢名誉教授が「日本酒には、ガン細胞の増殖を抑える働きがあるが、ウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒には、その作用がない。
日本酒に含まれるアミノ酸や糖類などのエキス分にガンを抑える効果があるらしい」と発表している。
したがって、エキス分を多く含む醸造酒のほうが、健康効果が多胎という結論になりそうだ。
 
ただし、焼酎は血栓を防ぐウロキナーゼの産生を高める作用がある。
 
 
◆ ビール  効能:動脈硬化、ストレス解消
 
ビールは大麦の麦芽とホップと水が原料の醸造酒。
ビールの主成分はアルコールと3~4%のエキスで、エキスの大半は炭水化物で、少量のタンパク質も含まれる。
このタンパク質はビールの泡立ちや味覚に大いに関係している。
ビールは赤ワインなどと同様に、適度(1日大瓶2本以内)に飲むと、動脈硬化を予防してくらる善玉のHDLコレステロールを増やす作用がある。
フィンランドのピエネント博士がフィランド人男性の食生活を分析した結果、毎日ビールを1~2杯飲む人は、まったく飲まない人に比べ、胆石のできる危険性が40%下がることがわかったという。
その理由として、ビールの利尿作用と、原料のホップが胆石の構成成分であるカルシウムの排泄を促すことを上げている。
 
ただし、ビールには尿酸のもとになるプリン体を含むので、飲みすぎると高尿酸血症、通風になる危険性が高まる。
また、体を冷す「陰性食品」でもあるから、冷え症の人は、陽性食品のつまみを一緒に食べると良いだろう。
おすすめなのがピーナッツである。
ピーナッツは高栄養食品であり、動脈硬化を予防する作用やアルコール代謝を促進する作用、抗ストレス作用もある。
また、冬にビールを飲むときは、体を冷さない黒ビールを選ぶようにするとよい。
 
 

 

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池田 優

 

 

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