山ちゃんの食べもの考

 

その3
 

おいしい!これって昔の味

 JAS有機認証のジャガイモ、ニンジン、タマネギが届けられた。100%植物性の堆肥で作られた自然農法によるものである。さっそくジャガイモの試食である。皮付きのまま丸ゆでしてみる。パカッとふたつ割りにしてほおばる。全く煮崩れなく実が固く引き締まっている。口中いっぱいにこうばしい香りが広がり、特有の旨味がとろけていく。「うまい!」「「おいしい!」「これって昔の味じゃない!」」「肉じゃがにいいと思うわよ」「味噌汁もうまいと思うな」「サラダよ!」。異口同音に感動の声が上る。春採りのジャガイモでこれだけのものはざらにはない。じっくり完熟ならではの風味である。生産者の思いがジンと伝わってくる。

 家に持ち帰ったもの3品を煮物にしてもらう。実にうまい。「砂糖なんか使ったら味がわからなくなって駄目じゃないか」と言ったら、「そんなことわってる、みりんを少し入れただけ」だと家内に叱られた。これが本当のニンジンの味なんだ、これがタマネギの本当の甘味なのだとうんちくをたれながら盃を傾けた。

 自然農法では大粒にならないそうで、一般の物よりひと回り以上小粒になり、収穫量も2割は少ないという。比重が重くどっしりとしている。水太りしてないのである。銭金では買えない生命の結晶。こんなの食べて欲しいなァ。

 

ほんものの野菜の見分け方 20

そこで、ほんもの野菜の見分け方のいくつかをご紹介しましょう。果物類もだいたい共通します。(あくまでも一般論で、例外もあります)

[1] ほんものは、一般に大きさが小ぶりである
[2] ほんものは、見た目より重い
[3] ほんものは、腐りにくい
[4] ほんものは、皮が薄い
[5] ほんものは、果肉が厚い
[6] ほんものは、果肉が緻密である
[7] ほんものは、筋っぽさがない
[8] ほんものは、アクが少ない。
[9] ほんものは、切り口の色が変わりにくい
[10] ほんものは、短時間で火が通る
[11] ほんものは、煮ても量が減らない
[12] ほんものは、煮くずれしない
[13] ほんものは、香りがいい
[14] ほんものは、茹でると色が鮮やかになる
[15] ほんものは、甘味・旨味がある
[16] ほんものは、あと味がいい
[17] ほんものは、姿がきれいである
[18] ほんものは、葉は黄みを帯びた薄い緑色である
[19] ほんものは、生でかじっておいしい。
[20] ほんものは、赤ちゃんが食べ分ける

 

[1] ほんものは、一般に大きさが小ぶりである

 作物にはそれぞれ固有の大きさというものがある。私たちが日ごろ食べている野菜や果物は野性的に放置して成るに任せたものではなく、可食部分を可能な限りおいしく大きくするための栽培工夫がなされ、間引きをする、摘花、摘果するなどして、見事なものが作られているわけです。しかし大きければいいというものではなく、それぞれに固有の適切な大きさというものがあります。化学肥料や農薬ホルモン剤などの化学物質を使わず自然の力で育ったものは、細胞が緻密で水太りせず、やや小ぶりで見た目も自然な色つや、美しさがあります。

 果物などは特に不自然に美しく大きいものが高級品として重宝がられる傾向がありますが個人的にはお勧め出来ません。栽培方法を聞いて、まず出来るだけ化学肥料を使っていないもの、そして除草剤や農薬の使用を可能なかぎり減らしたものを選んでください。表皮にワックスなどかけたものは避けた方が良いでしょう。やや小ぶりの中に凝縮されたおいしさがあります。

 ことにお子さんや体の弱いご年配の方、ご病気の方などには、出来るだけ自然なものを食べて欲しいものです。

 

[2] ほんものは、見た目より重い

 自然な栄養、ミネラルなどをしっかり吸収して育った作物は、見た目よりずっしりと重いものです。図体ばかりでっかくて中身がないでは、何につけず困り ものです。果肉にしても葉肉にしても茎肉、また根肉にしても厚みがあり、細胞ががっちりと緻密で中身がつまっているから水っぽさなく比重が重いのです。  お店などで、手に持って重さなどを確かめているお客さんを見かけますが賢いやり方です。(もっともあまりアレコレやっているとお店の人に嫌がられるかもしれませんが)

 

[3] ほんものは、腐りにくい

 過剰な肥料やミネラル不足など土壌成分のアンバランスな圃場で栽培された農産物、化学物質で栽培された農産物には未同化の肥料分が多く、腐りやすく、カビが生えやすいものです。余分な水分を含まず必要な栄養分の充実したものは見た目にも健康体であり腐りにくく、古くなると表面がしなびてシワが出来ても、直ぐには腐らないものです。

 りんごやみかんその他いろんな果物を常温に置いて試してみて下さい。昔冷蔵庫のない時代にカボチャやジャガイモやキュウリなどいろんな野菜が土間などに置かれていていつまでも腐らなかったことをご記憶の方もおられると思います。現代の農産物は生命力が弱くなっていることがはっきりとわかります。 トマトやナスなどもすぐ腐ったりカビたりするものは駄目です。

 お店から買ってきた葉物野菜と道端から摘んできた野草などを比較してみるのも面白いです。私たちは単に口先だけのおいしさを食べているのではなく、食べものの生命力をいただいて健康を維持しているわけですから、可能な限り自然に育てられた健全な野菜や果物を食べるようにしたいものです。

 有機栽培だから、農薬を使ってないから痛みやすいのね、という人がいますがとんでもない間違いです。それは栄養バランスが悪いからで、栽培方法はどうあれ不健康体なのです。健康体は痛みにくく長持ちするという当り前のことを大事にしたいですね。


ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 


生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

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