山ちゃんの食べもの考

 

 

その31
 

 石川県で有機栽培を志す若いグループの長から、「T幼稚園で給食を始めるについて、無農薬野菜や無添加の食材を求めている。適切なところがあったら紹介してくれ」と依頼された。私は有機野菜や自然食などを扱っていた時、別の幼稚園に依頼されて納入していたことがあり、現在はKスーパーに継続してもらっている。まずどの程度のことをご希望なのかお目にかかって詳細を伺うことにした。園長と副園長がわざわざお見えになり、お話を聞き進んでいくに及んで大きな感動を覚え、できる限りのお手伝いをさせていただきたいと申し上げた。


 「完全有機、完全無農薬ではなかなか難しいでしょう。少々の化学肥料や農薬はやむをえないとして、減農薬減化学肥料でかなりのものは調達できるところはあります」。不審な顔をされて副園長から「そうですか。私たちの園では十何年も前から園の畑で子どもたちと野菜作りをやって来ているんですけど、化学肥料も農薬も使ったことがないんですよ」
 有機栽培や無農薬についてわかったような話をしていた私には二の句がなかった。私の兄も有機栽培に夢中だがなかなか難しい。先生と園児たちで無農薬野菜の栽培がされているということはどう考えてもわからない。考えてわかることではないようだ。私は園長始め先生方の意識の波動と、汚れなき園児たちの美しい心も波動の関係ではないかと思った。


 化学肥料や農薬さえ使わなかったら有機農産物ができるわけではない。農薬を使っても使っても病虫害を撲滅することはできない。医学がどんなに発達しても病気も病人も無くならないどころか、だんだん深刻な病魔が蔓延するのと同じだ。怨みは怨みを持って反撥する法則である。有機栽培で成功している人達や、無添加のよい食べもの作りをしている人達は、細菌も虫も作物も人間も皆自然の一部でありこの世は調和の世界だとという人生観・自然観を持った人間味豊かな人柄の方々である。
 「キュウリさんおはよう!ダイコンさん寒くない?ほうれん草さんお水あげるね!トマトさん元気になってね!イチゴさんだ〜いすき、あまくなって!」先生と園児たちの心が育てているのだ。いや毎日呼びかけられる優しい言葉や美しい心に反応し類は友を呼んで育つのに違いない。


 「きっとそうだ。幼稚園の園児たちに学ばなくてはいけない。これは波動の世界だ」。私は心の底に大きく落ちるものを感じた。産地を訪れ数多くの園地に案内されるが、全身が凝り固まり、疲れや目眩を感じる園と、心身が癒されストレスが解消される園とがある。不思議なのだが農薬散布の多い畑ほど虫にさされるのは間違いない。良い食べものを食べている人の腸内には多くの善玉細菌が働くというのも同じことだろう。
 そこで国際波動学会会長・江本勝勝著「水からの伝言」(波動教育社)水の結晶写真集を持ち出し、江本氏の撮影した愛や怨み、喜び、悲しみなどの心や感情、言葉や祈り、思いや人柄など、人間の意識波動が水に反応し、それぞれが水に伝播して表情ある結晶体を作り出している写真を見ながら、自然と共生する有機農業の成否は、携わる人の意識や人柄に負うところが極めて多いものであることをお話した。 

 これは水と言魂との話であるが、同書から引用してご紹介します。
 「群馬県水上町にある藤原ダムで行われた、大宮市寿宝院の加藤宝喜住職の“言霊による水の実験場”の結晶写真です。実験前の水の結晶写真は、なんともおぞましいかぎりで、もだえ苦しむ人の顔のようにも見えます。この日、加藤住職は、ダムのほとりで、約1時間にわたって、加持祈祷の業を行われました。業が終了して、しばらくたった後に、その場に立ち合った私たちが肉眼でもわかるほど、ダムの水がみるみるきれいになりました。これを目の当たりにして非常にびっくりし、たいへん感動しました。
 さらに結晶写真はどうだろうと、期待を込めて持ちかえって撮影したものが、表紙でもご紹介している結晶写真です。今までこれほど美しく、本当に光り輝くエネルギーを発している写真は見たことがありません。六角構造の中に、さらに小さな六角形があり、その周りを取りまく光のオブジェは、オーロラでもあり、中央の三日月形の部分は、まるで後光が差し込んでいるかのようでもあります。
 人の意識に基づく言霊のエネルギーの計り知れないパワーを感じさせる写真であり、人間の愛や感謝に基づくエネルギーと水が調和したとき、とてつもなく素晴らしいことが起こるのではないでしょうか」


 せっかくお越しいただいた園長さんや副園長さんに教えをいただくばかりで、ご納得いただけるお話は十分に出来なかったのですが、水の結晶写真集を見ながら私の食べものに対する考えを申し上げた。これまでいろんな産地や工場など見学してきた経験から、良い食べものを作り、商ってくださる方々には“人様の健康な命を思いやる心や祈り”がある。良い思いや願いは作物や土壌微生物、昆虫などにも通じるものであり、あらゆるものを大切に思い、生かしきっていく尊いお考えを持ったお人柄が、良い食べものとなって現われるのではないでしょうか。ご紹介するお店の経営者も立派なお方です、よく話し合ってご納得の上で進められてはということでKスーパーへご案内した。
 店長にお断りし、ゆっくり時間をかけて売場を回りながら私なりに商品説明をさせていただきましたが、園長さんも副園長さんもこの店の素晴らしい商品の品揃えには感動されたご様子で、園児のお母さん方にもぜひお知らせしたいとのことでした。


 こんな立派なお考えのT幼稚園でも、1クラス20人の園児のうち、健康的になんら問題のない元気な子は6〜7人だといいます。これまでは親の作った弁当を持参させるのが良いと考えてきたが、幼稚園で子供たちといっしょになってお昼ご飯を作り、いっしょに食べて子ども達の健康を考えていこうということです。しかも無農薬の農産物、無添加の食品、本物の食べものを通して生きる上でもっと基本的で大切な食育を進めることは、本当に素晴らしいことであり頭の下がる思いでした。
 厳しい見方をすれば、子ども達の味覚や嗜好が良いものに育てられるには、幼稚園児の間か小学校の低学年クラスまででしょう。その人が生涯どんなものを好んで食べるかはほぼ10歳頃までに決定付けられると言われています。自分で食べものを選択し決定することのないこの時期にこそ、母親はもちろん食べものや飲み物を与える立場にある人達には大きな責任があります。
 食べたり与えたりする方が悪いと言われればそれまでですが、それにしても小さい子供たちが欲しがり食べたがる食べものの何と“ひどい”ことでしょう。親や周りの大人が食べものへの正しい知識や考え方を持って守ってあげないと、テレビコマーシャルで見るように、悪徳メーカーや商人の魔の手が、甘い言葉きれいな表現で子供たちを直撃しているのです。
 T幼稚園ではお母さん方もいっしょになって、食べること、生きることの食育を進めていって欲しいものです。そしてその輪の広がっていくことを願うものです。


 食べものを食べる上においてもっとも言われることは「美味しい、美味しくない」という事です。「空腹は最大のご馳走である」という言葉がありますが、子供たちにとって元気であるための第一は、朝ごはんからはじまって3度の食事が「お母さん、おなか空いたよ〜」という状況であることがまず大事でしょう。お腹が空いていれば、子どものために食べさせなければならないものが、好き嫌いなく美味しく食べられるようになるのです。
基本は食事前に空腹であることです。食事リズムの狂いは偏食や精神的なもろさと、我がままを助長するもとで絶対に正すべきです。文句を言ったら一食くらい食べさせなくても死にはしません。
 過度に甘いものや間食、遅い夜食の与え過ぎは、刺激の強いものや濃い味つけのものを求めるようになり、自然のうまみや適切な普通の食事では物足りなくなります。お腹がいっぱいなのに甘いもの、味の濃いもの、刺激の強いものはベツバラとなって過食、偏食、飽食の栄養失調、いろいろな疾病の元となっていきます。そして成長するにつれ、その傾向が高じて自分で買い食いするようになると止まらなくなり、心身ともに病むようになり長く引きずっていくことになります。
幼少の食育は生涯の問題ですから決して疎かには出来ません。


 「美味しく楽しく」食事をいただくことは、栄養的にも精神的にもとても大事なことです。甘いものや好きなものを与えたり、好物を与えて甘やかすことでないことはもちろんですが、食べものとは何か、食べるとはどういうことなのかを感じ取らせることが基本とならなければなりません。飽食社会で好き放題食べ放題しながら健康不安に怯え、片方の手で健康補助食品や薬を飲むという、「食べること」と「生きること」が別々なことになってしまった大人の食べ方、生き方に問題があります。
 無添加の田舎風かきもちと甘いチョコレートケーキがあったら、どちらをお子さんに与えますか、お子さんはどちらを選びますか。どちらがいい悪いではなくお子さんの食べものをおやつや飲みものから三度の食事まで含め、1週間とか1ヶ月間のトータルで考えてください。日本型の食事や四季折々の自然の甘味や香りや風味が美味しく味わえないようになったら不幸です。
 そして食べものがスーパーやコンビニエンスストアの棚に並んでいるものではなく、肉も魚も野菜も、ビスケットもジュースも、味噌も醤油もすべての食べものが、自分たちと同じように生きている他の生き物の命をいただいて、それでみんな元気で生きているのだということ。
 さらに付け加えて教えなければならないことは、「だから食べものを大切にしていただくこと」「どんな食べものが体にいい食べもので、どんな食べ方をしなければならないのか」ということを素直な心に刷り込んでいかなければならないのです。



 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
mail :m.ikeda@ninus.ocn.ne.jp

池田 優

 

 

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