山ちゃんの食べもの考

 

 

その325
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【168】
 
安全な「食物」を安心して食べよう!
食べてはいけない
の基礎知識
食の危機・偽装表示を見抜く
石堂徹生 著  主婦の友社
より その4
■ マツタケ
 
● 中国産から不自然な残留農薬
いつも、おすまし顔なのに。
 
秋の味覚の王者・マツタケはどこか貴婦人に似て、いつもおすまし顔で目に前をすっと通り過ぎていく。
その香りをかぐチャンスもない。
マツタケは永遠の憧れの的なのに、なんと中国産から濃厚な残留農薬が見つかったというのだから、せっかくの夢がぶち壊しだ。
その”大事件”が起きたのは2002年8月29日。
関西国際空港に輸入された中国産から、食品衛生法で定める安全基準値の約28倍もの残留農薬・ジクロルボスが検出された。
マツタケから残留農薬が検出されたのは、これが始めて。
 
ジクロルボスはアメリカの環境保護長(EPA)が発がん性を問題にするなど、毒性が強い。
今回の中国産はすでに市場に出回っており、胃の中に収めた消費者もいる。
これについて厚生労働省は「健康への影響が出る恐れは低い」という。
基準の28倍でも問題はないのだろうか。
こんなの多くても問題がないとすれば、何のための基準なのか、逆に疑問がわく。
 
いや、「低い」といっているだけで、「全くない」といっていないのだから説明はつくが、ただ、食べた量の問題で、”配分量”が少なく、少ししか問題のマツタケを食べなかった人はいいのだろう。
つい、この際だとひとり占めしてたくさん食べた人は同なのか。
考えると、こわい。もともと縁遠い人には無関係な話だが。
 
もう一つ、不思議なことがある。
マツタケは松林の中で自然に生えてくるものなのに、なぜ残留農薬なのか。
どこに生えてくるかわからないのに、ふつうは農薬などまきはしない。
マツクイムシなどの害を防ぐためか。
ジクロルボスはよく殺虫目的で薫蒸、つまり煙をもうもうと立てて使われる。
 
何のためにマツタケを薫蒸したのか。
実はマツタケが地上に頭を出したとき、ハエ(ショウジョウバエ)の一種の害虫が卵を産む。
卵からかえった幼虫が、マツタケの中を食い、品質を低下させる。
しかも、収穫後もそれにやられてしまう。
国産と違い、中国産は消費者に売られるまでに時間がかかる。
そこで、収穫前後にしっかりとジクロルボスで燻蒸したのかもしれない。
 
 
● 北朝鮮からマツタケのテポドン
中国産の残留農薬に驚いていたら、その翌9月5日、今度は北朝鮮(朝鮮人民共和国)産から金属の棒が見つかって、またビックリだ。
 
広島市の百貨店・天満屋緑井店のテナント青果物店で、男性客が特売品のマツタケパックを買った。
翌日料理をしようとした際、4本のうちの1本から約5センチ(重さ約5グラム)の釘のような、錆びた金属が出てきた。
マツタケの茎の中に埋められていたという。
また、同店の従業員が同6日に購入した中にも同様な金属棒が入っていた。
野菜などに金属を入れて目方を重くし、取引を有利にするのは北朝鮮の常套手段だとの話もある。
マツタケのミサイル、テポドン攻撃と冗談をいう向きもあるが、いずれにせよ、残留農薬もいやだが、マツタケ・テポドンの洗礼を受けるのもゴメンだ。
 
同9月の日朝首脳会議のために北朝鮮を訪れた小泉順一郎首相は、金正日総書記から大量のマツタケを贈られたというが、その中に“マツタケ・テポドン”は入っていなかったのだろうか。
 
 
● 人工開発の香り成分入り炊き込みご飯が安全
こうなれば、やはりマツタケは国産ということになるが、国産は生産量がきわめて少ない。
生産地は長野、京都、兵庫、岡山、広島など中部から近畿、中国地方にかけてだが、いずれも昔のように赤松など松林の下草刈りや落ち葉がきをしなくなった。
そのため林の中に落ち葉が厚く積もり、山の土が肥えて他のキノコやカビなどが増え、まごまごしているマツタケが生えようとしても生えられなくなってしまった。
 
マツタケは出世時にもガツガツせず、まさに高貴で、高価に損示威になってしまい、庶民からはるかに遠い世界へ行ってしまった。
そこで味や香りは劣るものの、輸入物が出回るようになった。
2001年の輸入量は2400トンで、うち中国産が一番多く、次いでカナダ産、北朝鮮産、米国産、韓国産の順。
国産はわずか80トンにすぎず、農水省の関係機関、独立政府法人の生物系特定産業技術研究推進機構がマツタケの人工栽培の研究を進めているが、実現するのはまだまだ先の話だ。
 
マツタケの香り成分は桂皮酸メチルエステルやマツタケオールなどだが、これら成分についてはすでに人工的に開発済みだ。
庶民としては人工開発の香り成分が入ったお吸い物や炊き込みごはんでガマンするか、安全第一を考えて・・・・・・
 
 
 
■ ゴボウ
 
● 中国産“木の根っこ”を農協販売
日本人のワル知恵。
 
戦時中、日本を爆撃したB289(爆撃機)の搭乗員が捕虜となり国内の捕虜収容所に収容されている際に、「”木の根っ子”を食べさせられた。これは捕虜虐待だ」と米兵が戦後、日本を訴えたこともあったという。
その”木の根っ子”こそ、実はゴボウだ。ゴボウなど食べたことはもちろん、見たことも、聞いたこともない米兵にとって、ゴボウはまさに“木の根っこ”に過ぎない。
 
あや、アメリカ人どころか、世界でゴボウを食べるのは日本人だけ。
もともとゴボウは中国から伝わったが、中国人はゴボウを薬用にするだけで、ふだんは食べない。
ゴボウに対する意識は、アメリカ人と同じ”木の根っ子”。
その中国産ゴボウを国産と誤解されるような形で販売していた事件が起きた。
しかも日本の農協だ。
 
2002年6月初め、埼玉県のいるま野農協(本店。川越市)は川越市の加工業者と、”協力”し、地元産と間違えるような包装で中国産ゴボウを出荷していたことがわかった。
もともと同農協は事業拡大のためにその加工業者に強力を求め、1985年頃から他地域さんのゴボウを扱うようになった。
それも当初は国産だったが、国産は高く、同農協が要求する値段では国産を集めることができない。
そこでこの業者と農協担当者が相談し、96年頃から中国産を扱うようになったという。
 
包装には「埼玉 川越市」や「日本人の知恵 医食同源野菜」など、いかにもまぎらわしい、あるいは意味不明の文字が印刷されていた。
 
この誤解を招く販売は2001年5月まで6年も続き、その間、年に100トン前後の中国産が売られた。
同6月以降は他県産に変更したというが、農協内部から「それでも産地偽装であることに変わりはない」という批判があったため、2002年3月に販売を中止したというのが、ややこしい事件のあらましだ。
 
産地偽装うんぬんはともかく、前面で中国産輸入反対を叫びつつ、後ろ手で中国産を扱うこの器用さ。
”あちらを立てれば、こちらが立たず”の二律背反の道理を、いとも簡単に“あちらも立て、こちらも立て”に変えてしまう、日本流農協版か。
 
 
● コオロギを殺し、性機能障害を起こす
その中国産と同じ産地のゴボウだったか否かはわからないが、中国産から発ガンの可能性がある残留農薬が見つかった。
 
農民運動全国連動会(農民連)食品分析センターは2000年10月、中国産ゴボウの中から残留基準値の3倍を超える殺虫剤BHCを検出した。
 
BHCはベンゼンヘキサクロライドの英語の略称で、有機塩素系の殺虫剤だ。
1949年、神奈川県下でイネのウンカという害虫を追い払うのにBHCが効果的だとされるや、たちまち全国に普及し、さらにさまざまな作物などに使われるようになった。
野菜のアブラムシ、コオロギ、果樹のコガネムシ、カミキリムシなどのほか、シロアリ駆除剤や家庭用殺虫剤としても重宝がられた。
 
ところが1966年、食品調査や人体の脂肪の分析の結果、高いBHCの蓄積、つまり、食品や人体への農薬残留がはっきりした。
これは大変と71年農薬取締法によって販売が禁止された。
 
未使用のBHC、は土の中に埋められたりしたが、その大半は海外へ輸出されたという。
BHCはめまい、吐き気、頭痛、けいれん、呼吸困難、性機能障害や肝臓。腎臓の障害を起こすほか、アメリカ環境保護腸はBHCを発ガン性のある農薬としてリスト・アップしている。
 
 
● 中国の“買い物籠プロジェクト”
なぜ、中国でゴボウ?
中国が資本主義的な様相を強める中で、農業政策も大きく転換した。
それまでは穀物生産を重視し、農家から一定数量を買い上げたあと、残りを農家が自由市場で売るという形だった。
 
それを農家の現金収入拡大のため、穀物以外の野菜や果物など換金作物の栽培を奨励するようになった。
これを中国語で“菜藍冠子工程”、つまり、“買い物かごプロジェクト”という。
 
そのため特に野菜生産が増え、1990年代になると保・加温が可能なビニールハウスによる促成栽培も普及し始めた。
 
また、それまで香港や東南アジアなどに野菜、果物を輸出していたが、1990年代には日本向けに比重を移し、今や輸出先は日本中心だ。
その日本向けに転換する際、お膳立てしたのが日本の商社や食品企業、スーパーなどだ。
いわゆる開発輸入といわれるもので、日本企業が優良品種や栽培技術などを提供して、中国の野菜・果物の生産基盤作りに荷担した。
 
その最初に手をつけた野菜の1つがごぼうだった。
中国人はごぼうを食べないから、当然、いい品種もないし栽培方法も知らない。
日本企業の関係者が現地の農家に手取り足取り教えた。
中国人は自分たちが食べないから、安全性などについては関心が低い。
日本では販売が禁止されている農薬をたっぷりかけて、ゴボウを日本向けに送り出した。
それが中国産ゴボウの正体だ。
 
中国産は危ないし、かといって国産は偽装されている可能性もあるのか。
どうすればいいんだ。
きんぴらゴボウは食べたいし、正月にはたたきゴボウが欠かせない。
柳川のどじょうにもゴボウがつきものだ。
 
信頼できる生協や友人・知人などを介し、信頼できる農協や農家を探すのが一つの手か。
安全な野菜を手に入れるには、各自それなりの努力が必要な時代になったようだ・・・・・・
 
 
 
■ ヤマトイモ
 
● 縄文人の長寿食、現代人の短命食!?
ルーツへの思い。
 
ヤマと民族というのは、どうもぴんとこないが、ヤマトイモというのならいい。
言葉には何か日本の”正しいイモ”という響きが感じられ、ずっとずっと遠い昔にあって、今の自分がどこかでつながっている存在のような気がしてならない。
それもそのはず、ヤマトイモは栽培作物の中で最も古いグループに入り、その栽培は縄文後期(紀元前2500~前1000年)の焼き畑利用の陸稲の栽培以前に始まったという。
まさに日本の歴史と伝統を誇る由緒正しきイモらしい。
 
その“正しいイモ”が、現代の農家の手で農薬まみれにされて栽培されていたというから、大ショックだ。
 
2002年8月末、ヤマトイモの主産地・群馬県尾島町や伊勢崎市、太田市、堤町のほか、埼玉県深谷市、妻沼町、本庄市の農家合計224戸が、発ガン性が指摘されている無登録農薬のダニ駆除剤・プリクトランを購入していたことがわかった。
 
なかでも群馬県尾島町は高級なヤマトイモの産地として全国的に評価が高い。
しかし、地元新田郡農協尾島支所などを通して、町内のヤマトイモ生産農家330戸のうち4割(131戸)が2000年から2年間、プリクラトンを買っていたというから、開いた口がふさがらない。
 
これはもう、ちょっとした出来心で試しに買って使ってみたなどという”可愛らしい”段階をすぎ、農協ぐるみ、地域ぐるみ、半ば公然と行なわれた農薬汚染事件ではないか。
 
高級品の産地がこれでは、あとは押して知るべしか。
埼玉県深谷市の場合、市内のヤマトイモ生産農家69戸のうち59戸が買っていた。
買わないほうが少数派、農家にとっては無登録農薬を買って当たりまえの状況にあったというわけだ。
 
 
● 過失致死障害や傷害罪で訴えられるか
プリクラトンは1972年、農薬として登録され、主にリンゴやナシ、ミカン、茶、カーネーションなどのダニ類の効果的な殺虫剤として使われてきた。
しかし、劇物指定の強い毒性があり、その13年後(1985年)には無登録となり、農薬として製造・販売できなくなった。
 
さらに1994年、当時の厚生省・食品衛生調査会がプリクトンを再評価した結果、危険性が強く、残留農薬として作物に検出されてはならない物質とされた。
 
そのとき、特に「催奇形性に関して無毒性量が評価できなかった」、つまり農薬に汚染された母親から生まれてくる子どもが形態異常児である可能性について、どの程度の量ならその可能性がゼロなのかわからない。
そのため、「ADIを取り消すことが適当である」とした。
 
ADIは農薬の1日摂取許容量をさす英語の頭文字だ。
これは毒性についての動物実験をもとにして決められるもので、人間が生涯ずっと食べ続けても悪影響を受けない量の意味で、1日・体重1キロあたりの量で示される。
「ADIを取り消す」とは、悪影響を受けない量を決めることができない。
つまり、たとえ量がきわめて少なくても、悪影響を与える危険性があるから、厳重に注意せよという意味だ。
プリクラトンはそのように、きわめて危険な農薬だ。
それを何の注意も払わずに、農協が販売し、農家が買って使う。
そう考えれば、ぞっとする。
 
確かに現在の農薬取締法では、無登録農薬の製造・販売は禁止されているが、使用するのは禁止されていない。
だからといって、そんな農薬を使うなんて、あんまりだ。
今後、そのヤマトイモを食べた消費者になんらかのアク影響が出た場合、その農協や農家は例えザル法の農薬取締法では罰せられなくても、過失致死罪や傷害罪で訴えられるかもしれない。
農協や農家は、無登録農薬の販売・使用は刑事事件になりかねない行為だということを、しっかり認識すべきではないのか
 
 
● “風が吹けば桶屋”ならぬ“販売業者を責めれば、
生産者がエリを正す”
ヤマトイモには仲間が多い。
もともと日本で栽培されているのが「ヤマノイモ属」(山芋)で、これがヤマノイモ、ジネンジョ(自然薯)、ダイジョ(大薯)の3つに分かれる。
さらにヤマノイモにはヤマトイモとナガイモ(長芋)、イチョウイモの3つがある。
 
ナガイモは芋が長く、1メートル以上のものもある。
ヤマトイモとイチョウイモは平たい形をしていて、イチョウイモをヤマトイモと呼ぶことも多く、先の尾島町のヤマトイモはイチョウイモが多い。
 
ナガイモは主に北海道や青森、長野で生産され、ヤマトイモやイチョウイモは千葉、埼玉、群馬が主産地だ。
 
ヤマトイモを含めた「ヤマノイモ属」は、昔から消化促進や精がつくとして人気があった。
消化酵素のジアスターゼは大根の3倍もあり、他のイモと違ってナマで食べられるのはこの酵素が多いためだ。
 
すりおろしたときに出る、とろろのあのヌルヌルとした特有の粘りはムチンやマンナンによるもので、精力をつけるのに役立つそうだ。
昔から、山ウナギと呼ばれたこともあった。
麦トロや千切りにする「やまかけ」など、まさに庶民の味。
これが無登録農薬にまみれているなんて、想像もしたくない。
しかし、食べずに済ますわけにもいかない。
最低限、埼玉、群馬を除き、千葉や茨城のヤマトイモ、あるいは北海道や青森、長野などのナガイモにするか。
 
埼玉、群馬のヤマトイモを買う場合、販売業者に無登録農薬を使って栽培されたか否かを確かめてから買おう。
そのときの販売業者の名前や住所、電話番号などのほか、どこで栽培されたのか、その値段、芋の大きさや形などメモをしておく。
そして、何かあればその販売業者を訴えよう。
 
販売業者は訴えられてはたまらないと、卸売業者や農家・農協など生産者に確認するようになり、結果的に登録農薬栽培の歯止めをかけるきっかけになるのではないか。
そうでなければ、安心して食べられない。
 
 
 
 
■ セロリ
 
● 硬い繊維と強い臭い
悲しきセロリ。
 
30年ほど前、地方都市で一人住まいを始めたが、ある日、金欠病もあったし、自分で料理を作ろうと考えた。
しかし、それまで料理などしたことがない。
たまたま近くの八百屋の店先に、緑と白のコントラストが鮮やかなセロリがあった。
食べたことがない。
でも葉緑素がありそうでいいじゃないか。
軽い気持ちで買った。
帰りにパンの耳と、調味料として砂糖としょうゆ少々、買った。
アパートの自分の部屋で小さな鍋に水を入れ、さらにその4点をすべて入れ、小さなコンロでぐつぐつと煮た。
やがて部屋中、独特な臭いで満ちて来た。
セロリが発する何かイオウ系の臭いだった。
 
ころあいを見て、火を止め、食べた。
あの時、この世に、どうしても他を寄せつけない存在があることを知った。
パンの耳は荷崩れしかかった状態で砂糖の甘さとしょゆのしょっぱさが同居し合い、うまいもまずいもない。
ところがセロリはどうだ。
砂糖にもしょうゆにも、無関係という顔をしていた。
熱で多少、しんなりとはしていたが、動じない風だった。
ひと口かじると、硬い繊維の抵抗にあい、強烈な臭いが鼻をおおった。
腹がすき、食べるしかない。
カット目を見開き、荷崩れしたパンの耳と生煮えのセロリを交互に口に放り込んだ。
無念無想。
しかし食べ終わって少しすると、下腹部周辺に、少しずつ湧き上がってくる熱い力を感じた。
あの日、セロリで生き延びた。
後日、本で見たら、ヨーロッパでセロリは昔から強請剤として用いられることを知った。
また知人からセロリは煮るものではないと笑われたが、後に西洋、中華料理を問わず、セロリも煮て使われることを知った。
 
そんなあの日の思い出は、「中国産セロリ、基準超す残留農薬」のニュースでかき消された。
 
 
● 中国の現地でも残留農薬
2002年5月10日、厚生労働省は中国産冷凍セロリから残留基準地(0.05ppm)を超える0.06ppmのクロルピリホスを検出したと発表した。
 
また同7月5日には成田空港の検疫所が都内の業者が輸入した生鮮セロリから、これまた基準値を超える0.09ppmのクロルピリホスを検出した。
 
食品衛生法に違反した5月10日のセロリは3640キロ、7月5日分は36キロあった。
それぞれサンプルをとって調べて違反がわかったもので、2回分とも全量が廃棄、あるいは中国へ積み戻しする指示が出され、市場には一切流通していないという。
 
ただし、2001年1月から2002年7月までの間に、中国産セロリの輸入が生鮮・冷凍、またゆでた後に冷凍したものなどを含めて約656トンあり、クロルピリホスに“汚染”されていたとしても、すでに多くの消費者の体内に、“侵入”している。
 
クロルピリホスは2002年6月、日本の有機JAS(日本農林規格)マーク表示がある中国産冷凍「有機ホウレンソウ」の中からも見つかって大騒ぎになった農薬だ。
 
主にリンゴやナシ、カキ、ブドウ、ミカンなどの害虫駆除に使われる毒性の強い有機リン系の殺虫剤で、即効性と残効性、つまり早く効き、しかも効き目が長く残るのが特徴だ。
人間の健康に対する影響として、まず急性毒性。
つまり農薬を口から吸ったり、皮膚につくなど体内に吸収した直後に現れる危険な性質が急性毒性で、クロルピリホスの場合、神経系に影響を与え、けいれんやめまい、吐き気、意識喪失のほか呼吸機能がおかしくなるなどの症状が出る。
 
長い期間を経て危険を与える慢性毒性は、視力低下や視野狭窄といって目の見える範囲が狭くなったり、頭痛や吐き気が長く続き、免疫力も落ちて、細菌などに感染しやすくなる。
 
農薬の種類は不明だが、過去に日本が輸入したアメリカ産や台湾産からも残留農薬が見つかっている。
残留農薬の点で、外国産は危ないようだ。
 
実はクロルピリホスかどうかは不明だが、当の中国の発表によれば、2001年に調査した結果、セロリを初め、キャベツ、ニラ、インゲンマメ、キュウリなどで残留農薬の検出率が40%に近かったという。
 
 
● 古くは清正ニンジンとも
セロリは地中海沿岸原産で、栽培された作物としてはもっとも古く、オランダミツバともいわれている。
その種がピラミッドの中で発見され、古代エジプト人がすでに利用していたことがわかったという。
 
東洋にも古くに渡ってきて、朝鮮半島を経て日本にも伝えられ、「清正ニンジン」と呼ばれたらしい。
清正は加藤清正からきたのか。
 
ただ昔は薬用で、食用に栽培されたのは16世紀末のフランスだ。
日本に欧州の改良主が入ったのは明治以降だが、特に太平洋戦争後、欧米人の日本滞在者が増える中で需要が増し、少しずつ栽培に力が入るようになった。
セロリはビタミンAとビタミンCが多く、食物繊維はコレステロール低下にいいとか。
香りの成分はイノシトールなどで、精神安定などにいいらしい。
セロリはうどん粉病やアブラムシに弱く、国産でも農薬を使う。
しかし、外国産よりはましのようだ。
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
mail :m.ikeda@ninus.ocn.ne.jp

池田 優

 

 

◎ ご意見、ご教示はこちらまで    掲示板も御座います。是非ご利用下さい。→ 掲示板

最新号へ戻る