山ちゃんの食べもの考

 

 

その36
 


 朝早々と、長野から有機リンゴ農家の細田夫妻が千秋リンゴを積んで来られました。長野を夜中の2時に発ったという。夕べも遅くまでお仕事をなさっておられただろうに。今は収穫作業の真っ最中、小1時間ほど昆布茶を飲みながらお話をして、今から帰ってやらねばならない作業が残っているといってそそくさと帰っていかれた。お二人はいつも一緒である。良い食べものを作る篤農家の特徴であるが、とても夫婦仲がいい。
 奥さんは目を細めていつもニコニコ顔、毎日力仕事をする農家の方とはとても思えない物静かで色白の美人である。大変な料理名人でお宅にお邪魔した時の美味しさは忘れられない。
 奥さんから「ウチで出来た栗を煮たものなんで、美味しいかどうか食べてみてください」と栗の渋皮煮をお土産にいただいた。この美味しさはどうだ、口の中にパーッと広がる自然の香りと旨味。一粒の中に秋の恵みと奥さんの思いが凝縮されている。まさに甘露、甘露。家内によると「この渋皮煮は大変な手間ひまのかかるもので、割れたりつぶれたりして簡単にできない貴重なものよ」と、食べながら満足げに言う。
 自然は美味しい、人間の知恵は素晴らしい。山の幸と人の深い思いがかもし出すハーモニー。こんな賢い伝統的な知恵の食べものがあったのだ。今作れる人はどれだけいるだろうか。味覚の秋真っ盛りであるが、自然とは程遠い添加物漬けのおやつばかり食べている子どもたちに、こんな素晴らしい自然の美味しさを味わわせることができたらと思う。


 この春、リンゴの花が5分咲きの頃に細田さんをお訪ねした。山のように卓上に並ぶ奥さんの手造り料理にびっくり仰天。一滴もたしなまない細田さんが、酒屋のご主人と相談したという地元の美酒が用意されていた。瓶ごと手元に預かりマイペースで遠慮なくいただいた。酒の話ではない。豪華な夕食といい翌日の朝食といい、一流の料理屋でも味わえない癖のない美味しさはどうだ。後で細田さんの友人に聞いたところ、細田夫人はたいへんな料理の達人であるという。さもあらんと納得した。
 美味しさにはもう一つ秘訣があった。とろろ芋をはじめ漬物、和え物、お味噌汁、どの野菜もすこぶる美味しいのである。「自家消費する農産物のほとんどは自家栽培でまず買うことはない」というのだ。キャベツ、ネギ、トマト、ナス、キュウリ、ピーマン、ジャガイモ、タマネギ、サトイモ、ナガイモ、ダイコン、ニンジン、ヤマガタナ、アオジソ、ムラサキジソ……。採ってきたばかりの無農薬栽培の新鮮な季節野菜に愛情いっぱい込めて料理する。美味しくないわけがない。体に良くないわけがない。
 「身土不二」「地産地消」「旬産旬消」「自給自足」を地で行く食生活である。ここに細田さん一家の健康と共に、「人間も自然の一部、自然を汚し食べものを汚すことは自分を汚すこと」という細田さんの人生観、農業観の現れがある。農業を取りまく厳しい環境について一言の愚痴もなく、信念を持って良い食べものを作ることへの情熱を語り、食のありかたを語り通し、深夜まで話し込んでしまった。
 

 帰りを急ぐ細田さんに「食べものと波動」について考え方を聞きました。「私は農薬を使うことの怖さを知っていますから、家で食べる野菜はほとんど作っていますが農薬は使いません。農薬はいらないのです。虫も少し食べるが安心な美味しい野菜が元気に育ちます」。「売り物の商品となるとそうはいきません。小さい虫食いの穴が一つあっても通用しない。市場で評価される大きいもの、きれいなもの、粒のそろったものを作り収量をあげる努力をしなければならないのが現実」。「サビがあったり枝ズレの傷があったり、虫食いの後があったり不揃いであったりするのが自然なのです。しかし。それが通らない。市場流通や間違った商品評価が、大量販売されているピカピカの不自然な作物を作り出しているのです」。「幼稚園で無農薬栽培が出来てプロにできないのは、大人の欲心、邪心が有機農業を阻害しているのでしょう」。
 細田さんも奥さんも、農業で一番大事なのは思いだと言い切る。食べていただく人への思い、作物への思いはもちろん、堆肥を作るにも肥料を施すにも、草にも虫にも微生物にも心を馳せ祈るのだという。「自然は一様ではありません。毎年自然条件が違い、毎年が一年生です。有機栽培を続けるにはいろんな知識や技術も必要ですが、毎年違う自然条件とどのように調和するかということが大事で、経験や勘を生かしながら手当てをします。あとは祈るような気持ちで愛情を注ぎ言葉をかけてお願いします」という。
 先日行ったうどん屋さんで柿の木が活けてあった。葉の何枚かは虫に食われ柿の実はサビや斑点だらけであった。自然の、本物の美しさである。柿は虫に弱い、ある程度の防除はやむを得ないとしても、私たちがピカピカで斑点一つない美しい柿を求めるかぎり、つまり私たちの思いや考え方を自然と調和の取れたものに改めないかぎり、大量の農薬使用からは免れないのです。労苦を惜しまず良い食べものづくりに励まれる方々の作物がもっともっと評価され支持されるようにならなければならないと思います。


 食べものと波動についていくつかの事例を挙げながら述べてきましたが、波動の問題は食べものに限るものではなく、私たちの根源的な生き方や考え方、人間の意識の問題であることについてご同意いただけることでしょう。
 「水や食品、そして身の回りにあるすべての人や物、時には事柄(事件)すら波動をもっています。そして過去に存在した人や物や、事柄の波動も同時に存在していて、私たちの生き方や生活にさまざまな影響を与えているのです。こういったことを知ることは途方もなく大切なことです」。このように述べている
波動学の権威者であるI.H.M国際波動友の会・江本勝氏と食生態学研究家・菅原明子氏共著による『波動の食品学』(高輪出版社)より私たちの思いや意識の波動と食べ物の関係についてもう少し学んでみましょう。
 江本氏は「波動は人間の意識によって作られている。すべての現象は人間の意識によって形作られている」と断言しています。私たちの「思い」「想念」が先にあって、そのとおりに形が現われてくるのです。あらゆる物体には波動があり、MRA(共鳴地場分析器)を使って波動を測定しています。そして数々の調査研究から「人間が波動修正することによって自然界も速やかに蘇生する可能性を秘めている」と述べています。
食品を食べることは、実は波動の情報を食べているということになります。農作物は太陽の恵みだとか、人の愛とか製法技術、それに水や土、微生物までかかわってはじめて出来上がるものです。波動的に見た時にも良い作られ方と悪い作り方に差が出てくる。生産される方法が本来のあるべき姿でなければ、あるべき本来の野菜はできないということです。


 以下『波動の食品学』より一部抜粋してご紹介します。 
植物が土の中に根を張っていくには物質的な栄養素と波動的な栄養を取り込むという目的がある。そこに微生物が介在している。微生物も完全な波動だと思っています。究極的には、意識という問題が関わってくる。そこに農家の意識がとても人間的で良いものであれば、必ず良い作物につながっていきますが、これで大儲けしようなどと思った時には逆の方向に働いてしまってとんでもないことになる。だから、基本的には作る人の気持ちというものが一番大事であって、二番目の問題として、農薬とか気象条件などというものが絡んできます。人間が微生物に対して「一緒に良いものを作ろうよ、ありがとう、がんばってね」と命あるものに対する気持ちで接する、愛情をもった働きかけとか、良い思いを言葉なり、感謝なりで届けることで、良い農業につながると思います。 
 微生物に対する共鳴、言葉の愛情がなかったら良い農業にはなりません。愛情を注いだ農作物をMRA(共鳴地場分析器)で測定すると、それ以外の農作物と比較して、明らかに波動的に栄養化が違ってきています。


 食品に良い音楽を聞かせると波動的に良い影響を受ける、植物の側にいる人間が怒ったり嫌なことがあったりすると、植物はそっぽを向く、そして植物の寿命にも関係してきます。食品にお経を聞かせると良いと言う話もあり、「良い言葉の響き」が食べものに良い影響を与えます。
 アトピー患者には、アトピーの主役である活性酸素を除去できるような抗酸化力の強い有機農法食品や、真心を込めて作られた有機農産物は波動的にも良い食品です。そういう意味では肉を食べない方がより治りやすいのも、肉そのモノにマイナスの波動(飼育されている際のストレスや死際のマイナス波動など)が入っている可能性があるからです。
 特に感謝して食べるということがとても大事です。感謝の心は、すべての人の心の中にあるマイナス波動を中和する最高の波動で、「食べられることに感謝する」という原点が大事です。


 動物には心というものが植物よりもより明確にあらわれるので、動物のストレスが大きなテーマとなる。狭い囲いに密飼いされるブロイラーにはすごいストレスがある。広い敷地で放し飼いされた地鶏とは大きな差があります。卵にもストレスがあり、化学物質など使わず自然に有機的に育てられた鶏の卵とか、せめて心を込めて水や餌を与えた鶏の卵にしていただきたい。
 現代人は、肉を食べる量が19世紀に比べて100倍くらいに増えています。ヨーロッパ人も一部の人を除いて、18世紀まで肉なんてあまり食べていません。そういう意味で現代は、世界中で怨みだ、恐怖だ、パニックだ、ストレスだという波動をもった人間が多いように見えます。動物食は波動の真理から言っても気性を荒くし怒りやすくします。


 植物性の食品にはよほど農薬漬けのひどいのは別にして、プラス波動の高い低いはあってもマイナス波動のものはありません。山芋、にんにく、大根、にんじん、ごぼう、れんこん等の根菜類、ほうれん草、小松菜、チンゲンサイなども良い波動測定値が出ています。マイタケ、マッシュルーム、松茸などキノコ類にも高い数値が出ています。
 魚介類の波動数値は平均的に高い。海はミネラルの宝庫であり、そういうものを多く含んだ食品ということです。海産物は形の小さい物であれば全体食となり、生命を養うのに必要な栄養素を過不足なく且つバランスよく含んでいますから、植物性食物からは取りにくいミネラル類を摂取する点から見ても健康維持に不可欠な食品といえます。


 食品は、料理をするときのお母さんの気持ち、そして食べる人の気持ちが必ず介在してきて、それによって加工していく段階で食品の波動も変わってくるはずです。素材自体の波動、作り手の気持ち、作った場所の磁場、そして食べ手の気持ちによって波動的に食べものの善し悪しに差が出てきます。料理に過度の電子レンジ使用は波動を悪くしているようです。古い油も良くありません。
 加工食品などについては、特に子どもたちが好んで食べるスナック菓子とか炭酸飲料、ジュースなどは、波動的にすごく悪い物が多い。微量栄養素や長期の醸造の結果である黒砂糖、黒酢、黒味噌などは、普通の加工食品に比べるとかなり数値が高くなっています。加工食品を選択する場合には、できるだけ漂白処理などをしていない本物を使っていく方がいいでしょう。
 スーパーなどで買ったレトルトハンバーグや怒りの言葉を聞かせたハンバーグはマイナス波動を示すのに対して、手作りハンバーグ、しかも愛情の言葉を聞かせたハンバーグは高いプラス波動値を示します。言葉にはマジカルパワーがあります。食べものに良い言葉を聞かせ、真心込めた料理を丁寧に作ることの重要性を忘れないでいただきたいと思います。
 使用する調理器具によっても波動が違ってきます。土鍋で作ったお粥はアルミ鍋で作ったお粥に比べてはるかに波動値が高くなっています。


 人間の体は、いろいろなものが共存している宇宙のようなものです。自分が脳のコントロールセンターで、愛深い生き方をしているのなら、変な食べものには波長が合いませんから食べられません。末端の細胞にまで深い愛情あったら、夜更かししたり、タバコなど吸えないはずです。なぜならそれらは体が苦しむことだからです。寝なければ腎臓が萎縮して七転八倒の苦しみをするわけです。一つひとつの臓器に対して、一つひとつの細胞に深い愛情があるのなら早寝早起きしかないのです。自分の体は、一つひとつの寿命がある細胞の集まりなのです。
 私たち自身は長く生きているけれど、その時々にある細胞たちは短いサイクルで生まれ変わっています。赤血球も白血球もそれぞれの寿命の中で、それぞれの役割を一生懸命果たして、私たちの大きな固体を成り立たせるために、短い寿命で生まれ変わりを繰り返しているわけです。死滅する時も騒がないで、さよならも言わないで、ただ黙って死んでいくわけです。たくさんのそういう命が、私たちの中を通り過ぎていく。生命は短い期間で10日のものもあれば、20日のものもあれば、3ヶ月のものもあります。だから体の細胞の一つひとつに愛情を持ってやれば、体にいいことしか出来なくなるはずです。
 結局、ほどほどに食べて、感謝して暮らし、夜はゆっくり休んで朝は早く起き、働き、適度な運動する。そして細胞の一つひとつにまで「私を生かしてくれてありがとうございます」と、感謝の念を持って生きることです。
 現実は、意識が言葉を通して物を実在させている世界です。正しく生きるとは正しい意識、正しい波動を持つことです。愛は最高の波動です。愛深く生きることによって、唯一、その波動が自分に帰ってきます。





 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 


生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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