山ちゃんの食べもの考

 

その4
 

おいしい!これって昔の味

 長野県で電解水を使って無農薬栽培に取り組むという研修会があり行ってきました。「今年こそは完全無農薬栽培に挑戦するのだ」というりんご栽培農家グループからのお誘いがあっての参加です。

 栃木県小山市の中島さんによる無農薬栽培の特別講演があって感激した。そのお話しのあらましをお伝えしたい。

 中島さんは18ヘクタールの農地に、稲、麦、大豆、露地野菜などを栽培する大規模農家です。学卒後、稲作中心の農業に従事、大規模経営を目指して現代農法技術を駆使し、「農業ほど儲かるものはない」と猛烈に働き躍進してきました。39歳、健康面での異常を感じる。血圧が上昇する、鼻血が止まらない、体のあちこちに発疹ができてくる。体がだるい、疲れがひどく根気が続かない。やがて喉に不快感を覚え、ゴリゴリした塊が感じられ、だんだん大きくなる。悪い予感と恐怖に襲われ、本屋に足を運ぶ。自覚症状と家庭医学の本に書かれたことがピタリ一致する。病院に行ったのでは即入院、手術などと言われては仕事どころかすべてを放棄することになる。

 さて、困った。煩悶する中で、農作業をやりながらの自然療法の道を選んだのです。食生活を無農薬栽培の玄米と野菜、薬草に完全に切り換えたのです。

  「何故こんな間違った農業をしてしまったのだろう。自分のやってきた農業のやり方を悔やみ反省する辛く苦しい日々が続きました。」

  これが減農薬そして無農薬農産物作りへのスタートです。少なくとも自分の食べるものは無農薬に、そして大きい面積は減農薬へ。しかし売るものが減農薬では命を助けていただいた自分の心が痛む。強い罪悪感に悩む。

 平成9年1月、茨城県つくば市で開催された「電解水機能水のシンポジューム」で岩本睦夫先生の講演を聞く、また電解水でエソという病気が治っていくという、日本テレビの松本さんの信じられないようなビデオ映像を見てトリハダが立つ。化学物質が如何に恐いものであるか。食べものが自然であること安全であることが如何に大切なことなのかを思い知るのです。

  「すべてのイネを無農薬で始めよう!」夢いっぱい、希望いっぱいに胸躍らせて帰省。もちろん大きな失敗もご苦労も重ねてきましたが、現在は種もみ消毒、苗作りから始まり、すべてが無農薬栽培です。

 中島さんのお子さんが耕したばかりで水浸しの泥田の中で泥んこ遊びをしています。化学物質をまったく使っていない清浄な田んぼですから平気なのです。「ダイオキシンが怖いから裸足で田んぼや畑に入ってはいけない」というこの頃、これはすごいことです。

 米余りといわれる昨今ですが、7ヘクタールの米が口コミで買い求められ、要望に応じきれないそうです。

 中島さんはとてもお元気であり、お子さんたちも含めて家族全員が無農薬玄米食です。そろって病気知らずの幸せな毎日と感謝されていました。
 

  私たち人間だけが生きているのではない。虫や草や作物、あらゆる生命の循環の中で生かされています。生命は生命によって生かされているのであり、生命力の豊かな安心して食べられる作物づくりに、そして自然や環境にも配慮し、今日も精魂を傾けておられる方々のあることを思うとき、まことにありがたいことだと思います。そんな食べものの命と生産者に「いただきます。ごちそうさまでした」と合掌して、健やかな毎日を過ごしたいものです。


 さて、ほんもの野菜の見分け方20 前回の続きをお届けします。

 

ほんものの野菜の見分け方 20

 同じ条件で栽培した場合。化学物質や農薬をかけて栽培したものに比べ、自然な状態で健全に育ったものは皮が薄いものです。果物のナシやリンゴ、モモ、ブドウなどでよくわかります。野菜のジャガイモやゴボウ、ニンジン、ダイコン、カブ、レンコンなど土の中に育つもの、ナスやキューリ、ピーマン、カボチャなどの果菜類、セロリーやアスパラガスその他いろんなものを比較してみてください。

 皮にも沢山の栄養があると言いますし、「一物全体食」という考え方からも、丸ごと安心して食べられる安全で健康な野菜や果物であって欲しいものです。

  皮を厚めに剥いて農薬の心配を避けるという話もありますが、農薬をタップリ必要とする化学的栽培や過剰な多肥栽培、成分アンバランスな不健全な土壌による栽培に問題があるのです。その作物が生育途上において多量の薬剤に頼らざるを得なかったということには、作物自体の生命力や健康状態、その栄養バランスについて疑問を持たざるを得ません。

 昨日、白山下へ岩魚の塩焼きを食べに行き、山菜の天ぷらを食べてきました。

 細長いものをグルグル巻して揚げたものがあり、芳しい香りがとても旨いがそれが何だかよく解らないので聞くと、山ウドの皮だという。

 

[1] ほんものは、一般に大きさが小ぶりである

 果物でよくわかります。正常に育った果物は、種を取りまく芯の部分が小さくて、充実した果肉が厚く詰まっています。しかも芯部までおいしく食べられるものです。有機栽培のものと一般のものとを比較してみてください。

 中に空洞のあるピーマンやシシトウ、オクラ、カボチャなども健全に育ったものは果肉が厚くどっしり感があります。サヤを食べるマメ野菜のサヤ肉の厚さ、タマネギの片肉の厚さにも違いのあることに気付かれるでしょう。

 キャベツやレタスなどの結球野菜、ほうれん草や小松菜などの葉野菜でも葉肉が厚くしっかりしています。

 果肉の厚いほんもの野菜は、その作物が持つ本来の甘味・旨味が十分に味わえるものです。

 

[2] ほんものは、見た目より重い

 ほんものは果肉が厚いだけでなく緻密です。実が引き締まっていて重量感があります。外観にも光沢があり、シャキッとした張りがあります。

 化学物質で栽培されたもの、必要以上に太らせたもの、あるいは軟弱に育ったものは、一見きれいに見えても肉質が粗く、ひ弱で水っぽいものです。リンゴやナシ、モモ、メロンその他ほとんどの果物でその違いを見ることが出来ます。また柔らかそうでありながら繊維質です。ネギやニラ、ゴボウ、マメ野菜、葉物野菜などで顕著です。すぐしなびやすく腐りやすいと言えます。

 ほんものは、組織細胞が密で本来の味わいが楽しめます。水太りの肥満体ではなく、栄養バランスの取れた筋肉質、病気知らずの健康体ということでしょうか。

 

[3] ほんものは、腐りにくい

 繊維のかたまりのようなゴボウ。ほんもののおいしいゴボウは根肉が締まっていて張りがあり、柔らかくて香りがよく、甘味があって筋っぽくない。ネギ、アスパラガス、インゲン、セロリーなどでもよくわかります。

 食べて口に堅い繊維質の残るものは老化現象が進んでいる、若しくは生育上における栄養不良によるものと思われます。畑に生えている時、葉がだらりと垂れ下がっているものは不健康で繊維質です。天を向いてピンと立っている物は健康な証拠で、肉質がキメ細かく、食べて繊維質が残りません。葉の状態が果実やダイコンなど根を食べるものにも同じように現われます。


ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 


生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

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