山ちゃんの食べもの考

 

 

その52
 

最初に2月6日の『日本農業新聞』羅針盤の欄に掲載されていた、ベストフーズ社長・本間惇氏の文章をご紹介します。
「真っ白な雪のイメージで親しまれてきた雪印ブランドだが、企業モラル以前の腹黒い詐欺行為で業界から消え去ろうとしている。これは自業自得であり自明の理である。雪印食品は、牛海綿状脳症(BSE)問題で低迷する肉業界や産地に打撃を与えただけでなく、食品全体の信用を失墜させた。このことは、『信用』の重みこそ、人の生きる道でもっとも大切であることを教えている。
事の発端を水際で防がなかった農水省の責任は大きいし、改正JAS(日本農林規格)法で原産地表示を義務化させた一昨年の7月以来、表示違反で行政指導したケースが4件しかないことにも疑問を感じる。すべての生鮮食品に原産地表示を義務付けてあるのだから、氷山の一角とならないように、“他山の石”として、この際、身の周りにあるすべての食品を見直す必要がある。
あれだけ一般セーフガード(緊急輸入制限措置)で騒がれた中国産ネギを、“やわらかネギ”と日本語で大きく書きながら肝心の産地中国名を記さない箱で輸入する業者や、中国産キヌサヤを、全く無表示のかごに入れたまま取り扱う業者はなんと考えているのだろうか。
信じ難いが、中国産のサトイモやゴボウに日本の土をまぶすことで、国産に化かしてしまうという話も聞く。一部の不心得者が横行することで、一生懸命に生産し、高い代償を払って認証を受けたものも売れなくなる。
より安全・安心な農産物を生産し、明確な表示をつけてこそ消費拡大の第一歩がはじまる。箱には産地・生産方法を堂々と大書きし、顔と心意気をアピールしよう。行政に任せるのではなく、国民全員がチェックし、真面目に生産されたものが正しく信頼され生き残れる社会にしたい」


 ご存知の方も多いと思いますが、新しいJAS法では「すべての生鮮食品に原産地名の表示」が平成12年7月1日より法律で義務付けられています。皆さんの普段ご利用になるお店では徹底されていますか。野菜・果物、魚介類、畜肉類など生鮮食品について、産地を偽りなく判りやすく明確に表示しなければなりません。ところが実際には手間ひまがかかり煩雑であるとかの理由で、完全に表示が徹底されていないところもかなりあるといいます。
漬物なども従来は製造加工した所在地の表示でよかったのですが、梅干しとラッキョウについては平成13年の10月1日から、またその他の農産物の漬物については平成14年の4月から、使用する主原材料の産地名を表示しなければならないことになっています。
 海産物では、タコでもイカでもカニでも、あるいはアジやサバ、ニシン、ウナギ、ドジョウ、ハマグリ、シジミに至るまで、あなたの食べているものはどこで獲れたものや作られたものか意識したことありますか。農産物では枝豆、アスパラ、キャベツ、にんじん、はくさい、玉ネギ、ブロッコリー、ニンニク、ショウガ、ギンナン……などきりがありませんが、誰がどこで何を使い、どのように作られたものなのでしょう。畜産物に至ってはもっと複雑でしょう。
 

なぜこのようなことが法制化されるのでしょう。主旨は昨今の国民の安全・安心・健康志向の高まりから、消費者が買い物時点における選択の目安として、つまりは消費者保護のための法制化ということになっています。これは大いに結構なことですが、実は国内の生産者保護政策の色彩の濃いものなのです。それもポストハーベスト(収穫後に農産物に殺虫剤や防腐剤などを使用――国産では認められていない)の薬剤使用したものは嫌だという人の目安となることですから大いに意味のあるところです。
しかし大半を占める加工食品に使用される原材料の産地表示の義務はありません。どうしてでしょう。それは多くの食品メーカーにとって大変な不都合が生じるからではないでしょうか。きな臭いものにフタをしていると、取り返しのつかないことにつながることが危惧されます。
私はすべての食料品について必要な表示が義務付けられるべきだと考えます。消費者にとってもっとも必要とする情報が開示されること、食べものについて正しい表示がされることは、人に良い食べものを増やしていくことにつながります。そしてそのことが良い食べものを作る良い生産者を増やしていくことにつながり、更には安心安全な日本の食糧自給率の向上につながっていくことだと思います。


 ご存知のように日本の食糧自給率は40%で、食糧安保という観点からも自給率の向上が叫ばれていますが一向にその兆しはありません。それどころか日本人の胃袋と財布を狙って、日本向けの食料品生産が増強され輸出攻勢をかけています。そして日本の業者もまた外国の安い人件費を含めた低コストに魅力を感じ、生産と輸入開発に力を注いでいます。
 笑い話ではないが、ある和食党の人が茅ブキの古びた田舎風作りの蕎麦屋で天ぷらそばを食べたら水と割箸だけが日本製だった。聞くと割箸も中国産だったという。私たちは自分の食べているもののほとんどについてその正体を知らないでいるのです。知らされていないのです。
私たちは自分の食べているものにもっと関心を寄せなければいけない。食べもの原産地のみならず、栽培方法、加工方法、添加物などきちんと確認できるものであるべきです。自分のことだけでなく、子どもたちや孫たちの時代の食べものがどのようであらねばならないのか。

 
 今日(2月14日)の『日本農業新聞』を開いて驚いた。厚生労働省は13日、1月に輸入された中国産野菜の残留農薬検査で、ブロッコリーから日本で禁止されている猛毒の有機リン系殺虫剤メタミドホスが1.26ppm(基準値1.0ppm)検出されたことを明らかにした。この他大葉やニラ、ケールなど6品目9件で基準値を超す残留農薬が確認された。
 ブロッコリーから検出されたメタミドホスは、国際的にも使用禁止や制限がされており、中国ではこのメタミドホスなどによって中毒などの健康被害が出ているという。青汁原料に使われるケールから殺虫剤クロルピリホスが基準値の4倍も、ニラやパクチョイからも検出された。
 中国からの農産物輸入はアメリカを超えて、全輸入量の50%を超えました。
私たちはスーパーなどの店頭で輸入野菜などに気をつけているだけでは、これらの汚染野菜から逃れることは出来ないのです。安価な輸入野菜の多くは外食産業や加工食品の原料として使われることが多いからです。
 11月に届けられた中国産の生椎茸が2ヶ月を経た現在でも全く傷むことなく収穫直後のようにピンピンしています。不思議でなりません。いつまで品持ちするのか見てみようと保存しています。






 

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生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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