山ちゃんの食べもの考

 

その7
 

友人から一冊の本が贈られてきた

 「三毒を断つ」。食物の毒を断つ、水の毒を断つ、血の毒を断つと言われ、健康食品の筆頭に掲げられ広く愛用されてきた「梅干し」。ことさら甘いとかうまいとかいえる代物ではなく、聞いただけでツバが出てくる酸っぱいものだが、先人の「智慧の食」がないがしろにされ姿を消してゆく中で健闘を続ける日本の伝統食品である。

 日の丸弁当を思い出すが、真夏の炎天下の野良仕事にもっていく弁当に一粒の梅干しを入れることで安心なのだ。梅干しの殺菌力、毒消し効力、防腐効果、 その他薬効に期待するもの大であるからでしょう。

 その梅干しもあやしいものが多くなってきているように思います。減塩、減塩といわれるから塩分が極端に少ないものが出てきています。また、あまりすっぱくないものや甘いもの、何個でも食べられる食べやすいもの、おどろくほど紅鮮やかなもの、それにいろんな味付け加工されたものなど、昔の梅干しのイメージとは変わったものが多く出ています。

 私がこれなら好しと考える梅干しは、残念ながら一般のお店で見かけることは数少ないといえます。本物と呼べるようなものが売れなくなってきているからです。だから、梅干しにもその本質を第二義として、見栄えよく、口当たりよく、食べやすいもの、売りやすいものにといろんな添加物を使ったものが出回っているのです。少なくとも表示をご覧になって添加物の使ってないものを選んでください。

 

「森は海の恋人」(北斗出版)の著者 畠山重篤さん

 家族の健康を考えての梅干しならぜひご家庭で作ってください、とお勧めしたい。少々の手間暇はかかりますが、それで一年以上安心して召し上がることができるんですから。出来れば無農薬無化学肥料栽培の梅もしくは減農薬栽培の梅を入手してください。といいますのは、梅をお求めの時、ほとんどの方が一つの傷やさびや黒い斑点のないピカピカのものを選びます。しかし、梅は虫のつきやすい植物ですからたくさんの消毒を必要とします。栽培方法を確認して、少々の斑点があっても安心なものを選ぶことが第一です。塩はミネラル豊富な自然塩を使ってください。塩梅(あんばい)といって、よい梅とよい塩を使うことが梅干しづくるに基本であり外せない要です。

 五十歩譲って、無農薬の梅や紫蘇が手に入らない場合でもご自分で漬けて下さい。少なくとも余分な添加物を使わずに梅干しのもつ多くの薬効と安心を家族全員が食べ続けることができるわけですから。

 

森林、川、海と続く生態系の中に、生物の生存がある。

 私が市販の梅干しに不信を抱くようになったには訳があります。本場といわれる和歌山田辺のある梅干しメーカーの工場を見学する機会がありその工程を拝見しました。大きなコンクリートの桶に大量の梅が塩漬けされています。必要に応じてそれを取り出し、塩抜きをします。目的に応じ、必要に応じて塩分濃度を調節し調味付けをします。

 いったん濃塩度で漬け込んだ梅を塩出しすると、その塩分と同時に肝心の梅のクエン酸などの成分や香りが抜け出してしまうではありませんか。消費者の求める安直な欲求におもねて人工的に添加された、食べやすい、売りやすいだけの味付け梅干しでは本末顛倒です。

 梅干しの味付けには砂糖類や化学調味料、甘味料、アミノ酸、アルコール、お酢、香辛料などが使われ、中には防腐剤や着色料まで使われるものさえあるそうです。

 よい梅を選び、よい塩を使う。余分なものを付け加えたりしない。

 自分で漬けられないなら良心的につくられた、よい梅干しを選ぶことです。

 私たち一人一人がより確かなものへと求める姿勢を続けない限り、食べ物はよくならないと思います。

 

フランスにも輸出される、世界に冠たる宮城の種牡蠣

 梅干しのあの酸っぱさがいいのです。梅干しの酸味はクエン酸などの有機酸です。疲労を回復し、カルシウムの吸収をよくする効果があるといわれます。また、血液がきれいになり、流れもスムーズになって細胞を活性化し若さを保つにも効果があるそうです。さらには腸内の善玉菌を増やし体調を整えるといいます。

 ちなみに日本国内で使用される梅干しの内およそ40%が輸入品で、主に中国などから塩蔵で輸入され、日本で梅干しとして加工され、販売されているようです。

 


それでは、ほんもの野菜の見分け方20 前回の続きをいたします。

森の豊かさが海の豊かさにつながってる

 健康に育ったほんものの野菜は、姿形がきれいなものです。表皮もキメ細かく光沢があり、すっきりとした健康美人です。極端に曲がったキュウリやダイコン、不自然な形状のニンジンや芋類など、また異様にサビや凸凹が多いなど形のイビツな野菜や果物は、栽培上にも栄養成分的にも問題がるからだと考えられます。それらが、たとえ有機無農薬と言っても栄養不良の不健康体だと言えます。

健全な土壌で無理なく育ったものは、細胞分裂も正常で作用の形も均衡がとれ、小柄ながら見るからに引き締まった美しさがあります。ほんものの美しさとつくられたニセモノの美しさをどう見分けることが出来るかは、かなりの経験が必要でしょうか。

 

わずか50年ほどで、山も川も海も、暮らし振りも変わってしまった

 黒っぽいくらいに緑の濃い葉野菜があり、それが栄養いっぱいのいい野菜だと思っていらっしゃる方が意外に多いのですが、とんでもない間違いであまりおすすめできません。ほんものの葉の色は、概してやや黄色みを帯びた薄い緑色です。葉野菜をはじめキュウリ、トマト、マメ類、ダイコン、ニンジンなど大方の野菜の葉色はそうです。くだもの関係の樹木の葉色も明るい色をしているものが健全なものと言えます。

有機栽培などでしっかりしたブロコリーやホウレンソウ、小松菜などは、やや黄味がかっているものですが、本物は茹でると見事に美しく鮮やかな緑色に上ります。あまり緑色の濃いものでなく、やや黄味がかった明るい緑色で光沢があり、葉の形は小型であるが葉肉の厚いものを選ぶのが良いでしょう。

 

[8] ほんものは、アクが少ない

 ほんものか否かは、生でカジッて見るのが早分かりです。ナスでもほんものは生で食べて芳しい甘味の感じるものですが、化学物質で栽培されたものはエグ味やニガ味が強くとても口の中に入れていることは出来ず直ぐに吐き出してしまいます。ホウレンソウ、コマツナ、シュンギク、チンゲンサイなども生でカジッて見ましょう。マメ野菜、アスパラガス、ニンジン、ダイコン、カボチャ、ピーマン、ジャガイモ、サトイモ、ゴボウ、タマネギ、なんでも少し生でカジッて見ることです。

 毎日のお料理の前には、まず生で味の違いを確かめることを続けてみてください。経験を重ねることでどなたにも正常に育ったいい野菜とそうでないもとの違いが識別することができるでしょう。 

 若し、畑にでもお邪魔する機会がありましたら、ちょっと失敬してその作物の葉を少し口に含んでみてください。正常に栽培されているものはエグ味やシブ味、ニガ味が少なく、案外さわやかな香りと甘味があり美味しいと感じられるのに驚かれることでしょう。化学物質による栽培ではとても口に出来るものではありません。その上いつまでも嫌な感触が口に残りますからご注意を。

 


ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 


生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

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池田 優

 

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