山ちゃんの食べもの考

 

 

その75
 
 
 新聞を開くと、連日スーパーのチラシ広告が飛び出してくる。厳しい世相を反映してか、私には考えられない低価格の目玉商品が並ぶ。価格競争のあおりをまともに受けるのが取引業者だ。大手スーパーに野菜を納入するある業者は「売れば売るほど赤字だ、スーパーの強引な要求にこのまま応じていては潰されるからもう取引を止めたいが、要求を飲まなければ飲まないで明日にも立ち行かなくなる」と嘆いていた。
 店頭での販売価格を決めてきて、7掛けで納入れろとか6半掛けで入れろという。価格を設定してきてさらにその上に特売協賛の名目で値引きが要求される。スーパーの配送センターに持ち込んでさらに5%〜10%のセンター費用が差し引かれる。新店がオープンされると目玉商品の協力値引きとともに、全納入品目について1ヶ月間から3ヶ月間のロングラン協賛値引きが要求される。新店オープンとともにそのチェーン店の新店オープン協賛セールについても協力が要求される。競合店が誕生すると対抗策としてのロングな価格競争が繰り広げられるためまた長期にわたる低価格の提示が要求される。他に店頭でよく見かける月間サービス品やエブリディサービス品として価格訴求される商品についての値引き協力。その他に催し物などへの人材派遣要請。試供品の提供。泣くに泣けないのが特売残の返品。ある業者はイチゴの特売で残った物をすべて引き取らされた。
 要求をのまなければ簡単に帳合は変更される。たとえ要求に応えていても将来に渡って取引継続が保証されるわけではない。何回かの見積もりなどが行われ、いつ帳合が取消しとなるかわからないという不安がつきまとう。
ビールのス−パードライは好きだが、まさにスーパー商法はドライだ。こちらのドライは歪すぎる。


 愛知県を中心に日本モンサント社との間で進められてきた遺伝子組み換え稲が、昨年、試験圃場で見学会なども開かれ、いよいよ一般圃場での本格的な栽培に入ろうとした矢先、消費者団体などの反対運動でしばらく見送られる事になった。
 遺伝子組み換え(GM)食品の安全性や生態系への影響等についていろいろ論じられているが、人口増加と食糧危機の観点からバイオテクノロジーの研究開発は急ピッチで進んでいると言う。
 大豆やトウモロコシ、ナタネなど、その大部分を海外からの輸入に依存している日本では、意識するとせざるとにかかわらず直接的にしろ間接的にしろ、私達はもう口にしているのだ、と考えてもいいかもしれない。
 遺伝子組み換え作物栽培のための除草剤で、雑草にはよく効き目はあるが、その雑草の種をエサにしているヒバリなどの小鳥が激減すると英国の大学チームが発表。これに対してモンサント社は「鳥の生息に影響が出るかどうかは、バイオテクノロジーとは別問題だ」と反論したと言う。
 遺伝子組み換えについて感情的に意見を述べてもいけないので書籍を通して勉強はしてみているが私の頭ではとても難解である。


 息子夫婦と暮らす友人がやってきて「肥えてきて体が重い、ジョギングをしているのだが一向に効き目がない」と言う。そして「食事を軽くしようと思って朝はパン食、昼は麺類にした」というのである。こんにち三世代が揃って一つの食卓を囲みに、同じメニューの食事を摂ることは大変に結構な事ではあるが、その中身が問題である。聞くと、料理は料理専門学校を出た嫁がやっており、それがなかなかの料理自慢の腕達者で、毎日おいしいものを作ってくれるらしい。働き盛りの若い人たちや育ち盛りの子どもたちが好む料理を食べていたのでは太るのも当然で。パン食ではなおさら一緒に食べる副食が軽く食べたつもりでも偏ってくる。
 昔、3世代4世代が同じ食事をしていたのと現代とはわけが違うのだ。ご年輩の方ならわかるであろうが完全に日本型の粗食だったのである。盆や正月、祭りといったハレの日のご馳走と言っても、やはり地元の取れた野菜や農産物の加工品に魚や海草などを中心とした煮物や和え物であった。
 ごはんを食べると肥るは大間違いで、茶碗に1杯や2杯のご飯で肥るわけはないのだ。ごはんの良さは死亡が少なくデンプンが豊富なエネルギー源であり、質のよいタンパク源である。分搗き米にするなり胚芽米あるいは麦を入れることで、カルシウムや鉄分など各種ミネラルやビタミン、それに食物繊維がしっかり取れる。「ご飯を残してもオカズを食べろ」は間違いで、おかずは残してもご飯を食べろと言いたい。
 そしてご飯食のもっともいいことは、副食の相性にある。具だくさんの味噌汁、漬物、納豆、和えものなどがぴったり。新鮮な季節の野菜や乾物の煮物、魚介類、海草類などヘルシーな伝統食材が相性の良い最高のおかずとなることだ。
 生活習慣病は子どもにも広がっているが。いま若い人たちや子どもたちの食べている多くの日常食そのものが習慣化されていき、やがて現代病と呼ばれる生活習慣病へと繋がっていくのである。
 本気で、若い人や子供の食生活こそ、ご飯を中心とした日本の伝統的な食生活に切り替えなければならないのだが、米の消費量が減り続けていることを見るにつけ、まだまだ食の乱れが改まろうとしていないように思う。


 米のご飯にあうのは国内で取れる季節の野菜や伝統的な保存食品を料理したものだ。ご飯好きになるといいのは、ご飯にはヘルシー食の代名詞とされる日本の伝統食こそ最も美味しく合うからだ。そして誰もが心配する食由来の生活習慣病の予防には、ご飯中心の日本型食生活にあることは、これまでにも述べてきたように内外の研究者たちによって明白に立証されているのである。
 日本は急激な食の欧米化にともなって恐ろしい合併症を引き起こす糖尿病患者が急増している。全国で糖尿病と疑われる人は約700万人、予備軍を含めると1700万人を超えるであろうと言われている。そして糖尿病の合併症による糖尿病性腎症で人工透析を受ける人が急増していると言う。
 生活習慣病の一つである糖尿病は動物性脂肪の摂り過ぎやカロリー摂取の過剰にあるといわれ、現代生活による運動不足などで余分な脂肪がたまり肥満に悩む人も多い。
 昨年は食関連の不祥事件が相次ぎ、食の安全・安心・健康が盛んに叫ばれるようになってきたが、心身ともに健全・健康なる日本人の生命を育み増進していくものは米のご飯を中心とした日本の伝統食に立ち返ることである事を重ねて強調したい。家庭における毎日の料理、普段の食事のあり方こそが大事なのである。





 

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生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

 

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