山ちゃんの食べもの考

 

 

その81
 
  
それじゃあ、天然の添加物だったら安心じゃないかと思われる方も多いことでしょう。「天然添加物というと、何か自然の中に存在する体にとってもいいもの、というイメージを抱いた受け取りかたをしますが、天然だからといってすべてが安全であるわけではありません。
最近は安全・安心の高まりから、化学合成添加物の代わりに、天然由来の食品添加物使用を強調する食品メーカーが増えてきました。そしていろんな天然由来の添加物が使われるようになってきました。そこで厚生労働省も、1991年から、天然添加物についても、合成添加物同様に、使用した添加物の表示をすることを義務付けることになりました。
 「天然添加物とは、自然界に存在する植物、海藻、昆虫、細菌、鉱物などから抽出したもの、とされています。しかし、この天然添加物についても多くの疑問が投げかけられています。」と渡辺氏は述べています。


 食品添加物が、現在の工業化された食品の大量生産、大量流通、大量消費を支えて来たと同時に、食品をだんだん自然から遠ざけ、歪んだ危険なものとしてきたと述べてきましたが、では一体添加物とはどのようなものなのか、合成添加物とは何なのか、天然添加物とはどのようなものなのかを、もう少し詳しく、渡辺雄二氏の著書を中心に学んでみましょう。
 先ず、合成添加物とは何でしょう。これは主に石油製品を主体とした原料に化学合成したものです。それらは本来自然界には存在しない化学物質であって、自然界に存在している物質を真似て合成した化学物質であるとされています。
いろいろな食品の着色料として使われているタール色素などは、自然界には存在しないものであって、当初は、コールタールから合成されていたので、タール色素と名づけられたものです。
前に述べた輸入のレモンやオレンジやグレープフルーツなどの防カビ剤として使われている、OPPやTBZも自然界には存在しない物質から合成されています。
 砂糖の代替品として使われるアスパルテームやサッカリン。着色料の黄色4号・5号、青色1号・2号、赤色2号・3号・102号・104号、105号、106号、緑色3号。保存料のソルビン酸、安息香酸。酸化防止剤のBHAやBHT。発色剤の亜硝酸ナトリウム。これらも危険度の高い合成添加物の一部です。


合成食品添加物である化学物質は、人間の体に吸収され、分解・消化されにくく、体内に蓄積されるものもあって、細胞や遺伝子に影響を与え、発ガン性や催奇形性、慢性毒性、繁殖への影響などの害をもたらすものが多く、また、内分泌撹乱物質といわれる環境ホルモンの疑いも多いといいます。
 防カビ剤や保存料、殺菌料などの多くは、自然界に存在しない合成化学物質が多く、危険性が高いといわれます。
 そもそも、合成添加物は、自然界に存在する成分に似せて作られた化学物質であり、例えば合成添加物のビタミンA、B、C、Eなどと言うと、いかにも自然そのもののようなイメージでとらえられます。それらは本来自然な食品に含まれるものでありますが、添加物であるそれらは、自然にある成分をまねて、化学的に合成されたものなのです。
 果物に含まれるクエン酸やリンゴ酸も、化学的に合成して食品添加物として使われています。さらに酸味料や調味料、栄養強化剤、pH調整剤も合成化学品が多いのです。
 人間にはダイオキシンが分解されずに体内に蓄積していき、いろいろな障害をもたらすと同様に、化学物質を分解する酵素を持っていないので、それらは主に脂肪に蓄積されていく危険性があるのです。


では、天然添加物はどうなのでしょう。天然添加物は、天然に存在する植物や海藻、昆虫、細菌、鉱物などから特定の成分を抽出して作られたもので、厚生労働省によって、489品目が指定されています。
天然添加物は大きく2つに分類できます。1つは、食品として利用されているものから抽出された成分です。もう1つは食品以外の天然物から抽出されたものです。
1つ目の、食品から抽出されたものとしては、カカオ色素、エビ色素、トウガラシ色素、ビートレッドなどがあり、いずれも野菜や果物、海藻、魚介類から抽出されます。これらの物質は、一度に大量摂取しないかぎり、先ず問題はないだろうといわれます。
しかし問題は、2つ目の食品以外の天然物から抽出した添加物です。いかに自然界に存在するものとはいえ、人間が食品として利用してきた歴史のないものから抽出された成分です。
コテュール酸(カルミン酸)、クチナシ色素、アナトー色素、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、各種酵素があります。その多くは花や樹木、昆虫、細菌、鉱物から抽出されたもので、害を及ぼす危険性がある。と、渡辺氏は述べています。
合成着色料赤色2号の代替品として、天然系のコチニール色素が使われる。このコチニールは、メキシコ原産のエンジ虫のメスを乾燥したものから、温水やアルコールを使って抽出し粉末にした色素である。米粒くらいのエンジ虫が蟻に食べられないように体内に持っている忌避剤が、このコチニール色素だというのである。
このコチニールが使われている食品には、ラクトイチゴ、イチゴドリンク、イチゴヨーグルト、イチゴアイス、イチゴソフトクリーム、イチゴゼリー、イチゴチョコレートなどイチゴ色のいろいろな菓子に使われているそうです。


 西岡一氏は、「平均的な日本人は、1日に平均70〜80品目の食品添加物を、11g程度摂取していると思われる。この量は1年で約4kgとなり、これを50年続けると約200kgになる、昔の食べものと現代の食品との最大の違いがここにある」と述べています。
食品添加物が、私たちの健康に果たしてどの程度に危険なものであるのか、それともそんなに気にするほどではないのか、国が認可したものであるから心配することもないものなのか。私たちにはあまりにも複雑で理解の困難な問題です。
小若順一氏は、「合成品は、食べ物ではないから食べないほうがいい、という原則がある」と述べ、食品添加物の安全性を考える場合、実験データ―とは別に、食品にどの程度近いかというフィルターで安全性のランク分けをしておくことも重要である。食べものは、人類が長い歴史の中で安全性の検証を行ってきた結果の集大成である。食べものは、人体実験のデータが結集されたものである。として食品添加物の安全性について次ぎのように分類している。

合成食品添加物については

@ 天然にはない「人工創造化学合成品」に最も注意が必用である。慨して優先して避けた方がいい食品添加物である。
A 天然には存在するが食品の成分ではなかったものを化学合成した物質。
B 食品の成分を化学合成した物質。

天然系食品添加物については

@ 石油や石油分解物のような有機物および無機物。
A 食品以外の生物から中質して濃縮した状態で食べるものは最も注意する必要がある。
B 食品以外の生物から抽出するが濃縮しないもの。
C 食品から抽出しても濃縮して食べるものは要注意。
D 食品から抽出して食べるときに同じ濃度か希釈されているものは最も安全性が高い。汚染物質が混入していたり、用途が広がって多量摂取することがなければ、安全性にはとくに注意する理由がない。

バイオ食品添加物については

@ これまで生物が作り出したことがなかったものに最も注意する。
A 食品成分ではないもの。
B 食品成分と同じもの。


 私たち日本人の食生活に占める加工食品の比率は、すでに1900年時点で平均的に60%をはるかに超えてしまっているのです。しばらく前までは、当然のこととして家庭内で調理されていたものが、総菜や調理済み食品などとして急増している現在においては、食の80%〜90%以上をも、加工食品や外食などに依存する人も少なくないことが推測されます。そして、それらの多くが、作られ方においても内容においても、過去の日本人の生命を培ってきた食にはなかったものが多いということです。
 そして、もっとも考えなければならないことは、その加工食品や調理済み食品の増加(食の外部化)の増加にともない、これまでの人間には経験のない、食品添加物の摂取量も急増しているということです。私たちの先祖も、ご年輩の方々が幼少のころには無縁であった、この食の外部化と化学物質である多量の添加物摂取が、私たちの生命にとってどのように危険な結果をもたらすものであるかは、まだ未知数です。
 料理研究家の大森一慧さんは「食べものは愛でありいのちそのものです」と述べています。工場などで大量に加工生産される、簡便で豊かな加工食品などは売り物であって、利益の追求が優先される食品であります。安全・安心・栄養はもちろんのこと、愛が優先され生命が第一義とされてこそ、食べものと呼ばれて然るべきでしょう。




 

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生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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