山ちゃんの食べもの考

 

 

その82
 
 
 西岡一氏は「食品添加物には、100%の安全評価というものが、本質的には成り立ちません。仮に弱い毒性であろうと、それを人間が長年にわたって摂り続けた結果を予測できないのが、食品添加物というものなのです。ですから、危険は常に大きく見積もっておく必要があります」。と述べています。
 食品添加物にはどのような心配点が指摘されているのだろう。渡辺雄二氏は以下のように述べています。
 食品添加物の毒性として、「慢性毒性」と「発ガン性」、「催奇形性」があげられます。毎日毎日の食べものから微量に摂取することにより、肝臓や腎臓の働きが悪くなるのが「慢性毒性」です。遺伝子に傷をつけて突然変異を起させ、細胞をガン化させるのが「発ガン性」、お腹の赤ちゃんに障害をもたらすような毒性が「催奇形性」です。
 食品添加物の毒性は、ラットやマウスに添加物を微量ず一生涯(約2年間)与え続け、それで、毒性があるかどうかを調べます。それで毒性などによる障害が現れなければ使用が認められます。
 毒性が現れたものについても、添加物の使用量を少なくすればいいという考えもあり、毒性の確認されたものでも認められることがあります。それで、各添加物には使用基準が定められていて、その使用基準に基づいて食品添加物は使用されなければならないことになっています。


 化学物質は体内で分解されないものが多く、微量でも毎日長期間摂り続けることにより、臓器や組織の細胞に影響し、その結果として臓器や組織の機能が低下することがあり、これが慢性毒性です。体重増加の抑制、各臓器の肥大や未発達、血液や各組織・臓器に現れた異常、あるいは行動の異常などが、慢性毒性の主な症状です。
 急性毒性の強い食品添加物ですが、使用基準によって添加量が規制されており、食品添加物を含む食品を食べて、急性毒性が現れるということはまずありません。
 慢性毒性実験によって、動物に一生涯投与しても、なんら害が現れない1日当たりの投与量が求められます。それに10分の1から500分の1の安全係数をかけたものを、人間に対するADA(1日摂取量)としています。これ以下なら、人間がその食品添加物を一生涯摂取しても、なんら障害が現れないとする量です。
 FOA(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同委員会(コーデェックス委員会)の諮問機関であるFOA/WHO合同食品添加物専門家委員会は、毒性が懸念される食品添加物について、ADIを設定しています。これに基づいて、厚生労働省は、各食品添加物の使用限度と使用対象食品を決めています。


 動物に投与すると発ガン性を現わす化学物質があります。現在、発ガン性があることわかった物質は約400種類あるといわれています。その中にチクロやAF―2なども含まれています。
 ガン研究者によると、ガンの原因の35%は食べもの、次いで煙草が30%といいます。ワラビやフキノトウ、魚や肉の焼き焦げなど、食べものの中にもガンを引き起こす原因となることもわかってきています。
 食べものの中に含まれる食品添加物や農薬、抗生物質、ダイオキシンなどのさまざまな化学物質も、ガンを引き起こすと考えられます。中でも食品添加物は、農薬や抗生物質と違って人為的・意図的に食品に加えられるものであり、また明らかに食品中に含まれるもの、という点で注目されているわけです。
 発ガン性には大きな差があり、すべてを一律に禁止するのはおかしいという考え方があり、発ガン性が弱いものである場合、その添加物がもたらすメリットを考慮した上で、使用禁止にするかどうかを決めるのが合理的だという考えです。
 日本でもこの考え方が広まってきて、動物実験で発ガン性が証明されても、直ぐに禁止になるということではなくなってきました。そのために過酸化水素やBHAの使用が今でも認められています。


 動物や人間の胎児に作用して、先天性障害をもたらすような毒性を催奇形性といいます。放射性物質やある種の化学物質に催奇形性のあることがわかっています。輸入柑橘類などに使われている防カビ剤のTBZは、日本や海外での動物実験によって、催奇形性型が確かめられています。
 催奇形性の物質は、分化(脳や心臓など各種の臓器や組織が出来ていくこと)が進んでいる細胞やその遺伝子に作用して、その働きを狂わせて正常な分化を妨げ、その結果として奇形が発生すると考えられています。
 化学物質が催奇形性を持つかどうかは、それが胎盤を通過するかどうかが大きな鍵となります。母親の栄養や酸素は、この胎盤を経て胎児に送られるわけですが、胎盤には関門の働きがあって、有毒物質などがここでシャットアウトされます。ところが、ここを通過してしまう有毒物質もあり、胎児に障害を起させてしまいます。一概には言えないが、食品添加物もその一因になっている可能性もあると考えられています。


 従来は、慢性毒性、発ガン性、催奇形性などの試験によって添加物の安全性を判断していたのですが、新たに出てきた問題がホルモン撹乱です。環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)としての作用です。
 これまでは食品添加物にある程度の毒性があっても、量を減らして使えば安全であるということで認められてきました。しかし、ホルモン撹乱は、作用のメカニズムが全然違いますので、慢性毒性・発ガン性・催奇形性が現れないような少ない量でも現れるのです。ホルモン撹乱は、細胞に対するダメージではなく、ホルモンの働きを乱すのです。
 ホルモンは体の中で作られる天然物質ですが、環境ホルモンはDDTやPCB、ダイオキシンなどで知られる化学物質です。ホルモンと環境ホルモンとは全く違うものなのですが、偶然形が似ていて、環境ホルモンがレセプターに結合してしまいます。しかし本当のホルモンではないので、その結合体は遺伝子に働くことができず、一方レセプターが取られてしまった本当のホルモンは作用することができず撹乱が起こるのです。
 また、性ホルモンは、必要なときに作られて作用してからなくなるのですが、環境ホルモンは化学物質ですから、いつでも体の中にあり、必要のない時に性ホルモンとして作用し、撹乱が起きてしまいます。
 ホルモン自体はppb(10億分の1)とかppt(1兆分の1)という非常に少ない量で作用するものであり、そのホルモンを撹乱する環境ホルモンも超微量であっても撹乱を引き起こしてしまうことになります。
 合成食品添加物の使用基準が、慢性毒性・発ガン性・催奇形正などの毒性が現れないように微量に抑えられてきたといっても、それはppm(100万分の1)のレベルです。食品添加物に環境ホルモンの心配ありということになれば大変なことになります。
 環境ホルモンとして一番疑わしいのはOPPで、化学構造がPCBに似ています。また酸化防止剤のBHAも、環境ホルモンの疑いがあります。さまざまな化学物質について環境ホルモンかどうかが調べられているので、その結果待ちということになっています。


 食品添加物の中にも、アレルギーを引き起こすことがはっきりわかっているものがいくつかあります。タール色素の類の黄色4号・5号、赤色102号、安息香酸ナトリウムは、じん麻疹を起します。タール色素は全部で12品目認められていますが、化学構造がみんな似ているので、全てじん麻疹を起す可能性が高いと見ていいとおもいます。
 食品添加物によるアレルギーは、化学物質過敏症に似た過敏症反応が多く、アレルギー性鼻炎やぜんそくも含まれます。純度の高いものが一度にたくさん体に入ってくると、拒否反応のような状態になり、一種の警告としての症状です。
 添加物などの化学物質が、体の免疫システムを乱し、アトピー性皮膚炎や花粉症、ダニアレルギーなどを誘発していると考えられます。花粉やダニは直接には体に害をおよぼさないのですが、そのようなものにまで反応してしまうということは、体の免疫が撹乱されていると考えられます。
 たとえば、花粉症は花粉だけで起こらないのです。ネズミにスギ花粉を注射してもアレルギー反応はないのですが、ディーゼル車の排気ガスを混ぜて注射すると反応します。杉の多い農村よりも、車の多い都会の人の方が、3倍もの人が花粉症に苦しんでいます。排気ガスの濃度が高いのです。
 要するに、化学物質が体を撹乱して、反応しなくてもいいものにまで反応してしまう。添加物の他に農薬や住宅建材から出る化学物質もアレルギーを悪化します。化学物質が体の免疫システムを撹乱して、その結果、花粉症やダニアレルギーが急増していると考えられるのです。


 子供たちに、落ち着きがなくなり、学級崩壊の一因ともなっているといわれる、ADHD「注意欠陥多動性障害」が非常に問題になっています。この病気の特徴は、@しきりに動き回る(多動性)、A注意力が散漫、B非常に攻撃心が強い、という3点です。
 ADHDの原因としては、出生時に微小の脳損傷があるとなりやすいといわれていて、専門家の間でコンセンサスが得られています。
 また、アメリカのアレルギー専門医であるベンジャミン博士は、「子どもの過激な行動は、サルチル酸や着色料・香料など食品添加物が原因で、スナック菓子などの甘いお菓子やファストフードなどが影響して発症すると指摘しています。そして、それらを含まない自然な食品を食べさせることのよって治療した話は有名です。
 環境ホルモンが影響しているという説もありますが、精神科医の米沢医師は「それらのことがトータルで負荷としてかかり、発症するのではないか」と述べている。
 現在、アメリカではADHDの診断基準があって、病気として扱われて、治療が行われています。常に落ち着きがなく、暴力をふるうようなADHDの子供たちは、ジャンクフードを多食し、多くの添加物を摂取していたのです。特に着色料のタール色素を多く摂っていて、そうした子供たちの食事療法として、食べものから添加物を除去していくことで回復して来ます。
 また、ADHDの子供たちは、かゆみ・じんましん・しっしん・ぜんそくなどのアレルギー症状を持っていました。






 

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生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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