山ちゃんの食べもの考

 

 

その99
 

 そして「肉を食べるほどガンにかかりやすい」
『ぼくが肉を食べないわけ』の中で、ピーター・コックスは、肉中心の食事でガンに罹りやすくなることについて、以下のように述べています
ガンは一つの異常な細胞からはじまり、コントロールできずに増殖して行く。ガン細胞は秩序を乱して増殖して行き、悪性のものは、最後は宿主を破壊する。発ガン物質はガン細胞の発生・常食を促す物質であり、癌抑制物質は逆に成長を抑える。
西洋社会におけるガンの60%は環境に関係があるといわれている。しかし、1981年、疫学者リチャード・ドルとリチャード・ピトーは「ガンを引き起こす原因がすべてわかったのではない。また、すべて避けられるものではない。が、我々自身で防げるものがある」と述べ、ガンによる死者全体に占める割合を示している。
食事35%、タバコ30%、感染10%、精行為7%、職業4%、アルコール3%、物理的原因3%、汚染2%、食品添加物1%、工業製品1%、医薬品1%。
自分で選んで摂る食事がガンで死亡する原因のトップになっている。従って、ガンになりたくなければ食事を変えていかなければならない。
研究者たちは、ガンによる死亡について調査していると、国によって大きな差があることに突き当たった。たとえば日本よりアメリカのほうがずっと高いのはなぜなのか。
その手がかりを探し求めた。国別に食肉タンパク質の摂取量とガン死亡率との関係を調べたのです。
それぞれの国の人が摂っている食事に含まれる食肉タンパク質と、あるガンの死亡率とは明らかに関連があるようだ。全く同じ関連が、総脂肪、食肉脂肪にもあるように見えた。
「肉を食べるほどガンにかかりやすい」という結果を得たのです。


しかし、何を食べようと遺伝的にガンに罹りやすい国があるのではないか?
その可能性を探るために移民について研究がされました。同じ民族的なら何処に住もうとガン発生率は同じ筈だからです。この調査に最適なのは日本人である。伝統的に大部分のガンの発生率が低いからです。そこで白人を対象にして、3種類の日本人が選ばれました。
第1グループは、日本で生まれ、日本に住んでいて、主に日本食をする日本人の人々。
第2グループは、アメリカ以外で生まれ、アメリカに住んでいる住んでいる日本人の人々。
第3グループは、アメリカで生まれ、アメリカに住んでいる日系の人々。
その結果は明らかでした。日本に住んでいる日本人は、アメリカに住んでいる白人に比べ、結腸ガンにかかる率は4分の1でした。しかし最も意味があるのは、日本人がアメリカに移住するとその率が3倍になり、白人と同じくらいになることでした。
生まれた場所は関係なさそうである。結腸ガンは遺伝ではなく、環境が大きく影響しているという証拠が得られました。


ガン予防にとって食事がそれほど重要なら、と科学的研究が始められた。タバコも酒ものまず、果物、野菜、穀物、ナッツ類を主食とした健康な生活を信条とする、アメリカのセブンス・ディ・アドベンティスト(以下SDA)のグループが選ばれました。一般のアメリカ人と彼等の食事に大きな違いがあったからです。SDAグループ3万5460人を7年間追跡調査し、一般人と比較研究が行なわれたのです。
SDAグループの原因別ガン死亡率を一般人と比較した場合、肺ガンが10%、膀胱ガン28%、食道ガン34%、胃ガン62%、白血病70%、生殖器ガン71%、リンパ腫87%、ガンすべて53%、という結果がでた。
SDAグループのガンによる死亡合計は、一般人の53%に過ぎなかったが、理由の一つは禁煙によるものであろう。呼吸器系のガンは一般人の10%である。しかし胃や生殖器系のガンは喫煙とは関係がない。
科学者たちはこう述べている。「牛肉、飽和脂肪、死亡全般が、結腸ガンに関係があるという仮説が裏づけられた。」


また、37カ国の食事を分析し、食事成分と腸ガンとの相関関係を調べる大規模な研究が行われました。その結果、肉に関係する要素は、すべて腸ガンと強い相関関係にあることがわかりました。総カロリー、総タンパク質、総脂肪も強く関係しているが、肉とつながっているのだから当然と言えよう。
ところが、植物由来のカロリー、タンパク質はガンに対しマイナスの相関関係にあり、言い換えれば、ガンに対し、保護・防禦の作用があるということです。そしてこの研究は「食肉由来食品は明らかにガンと関係がある。」と結論しました。
イスラエルにおける研究では、動物性、植物性ン脂肪とガンとの関係が調査されました。この調査では、飽和脂肪だけではなく、不飽和脂肪さえもガンによる死亡率の増加と関係があることが示されました。
この研究はユダヤの人口が117万人であった1949年から、350万人に増加した1975年まで続けられました。その間、肉の消費量は454%増加し、悪性ガンによる死亡率は2倍になったといいます。
食事中の食肉脂肪に比例してガン死亡率が上昇しているのです。


カナダのアルバータ州では、乳ガンの女性とそうでない女性との食事の比較が行なわれました。この研究は、乳ガンと特別な食品、特に食肉由来食品との関係に重点がおかれました。その結果、牛肉、豚肉の増加とともに乳ガンになる危険度が高まることが分かった。と述べています。豚肉について言えば、週一回以上食べる人は、月一回以下の人に比べて危険度は2倍になる。
「乳ガンと牛、豚肉摂取とは深い関係がある。世界中で乳ガンの多いところほど牛、豚の利用頭数も多いという事実と一致している。」と研究結果を述べています。
 ハワイでの研究でも同様の結果であったと述べています。ハワイでは全住民を代表する、白人、日本人、中国人フィリピン人、ハワイ人を対象に行なわれましたが、食習慣がそれぞれ違い、意味深いものとなった。
同研究によれば、乳ガンと食肉タンパク・総脂肪が相関関係にある。
子宮ガンと食肉タンパク・総脂肪が相関関係にある。
前立腺ガンと食肉タンパク・総脂肪が相関関係にあるというものでした。
そして、このうちただ一つ逆の関係になるのが複合炭水化物であり、植物性食品に含まれる複合炭水化物が、子宮ガンにに対して防禦・抑制に働くことも明らかになったと述べています


1981年には、アメリカとイギリスを含む41カ国にわたる大規模な統計学的調査が行なわれました。ある種のガンと肉食とに相関関係が確実となり、植物性食品が防禦機能をもつことが示されたとしています。そして食肉が乳ガンに対し危険度を持ち、豆や大豆、米が抑制効果を示す。また食肉は結腸ガンに影響し、豆やコーン、米は防禦効果を持つことが例示されています。
また、1990年には、肉とガンとの関係について大がかりな研究発表がされた、と次のように述べています。
この研究のために34歳から59歳までの女性8万8000人を越える女性が募集され、彼女の健康について6年間の追跡調査が行なわれました。毎日メインディッシュに肉を食べる人は、月にせいぜい一回しか食べない人に比べて結腸ガンにかかる率が2.5倍であることがわかりました。
この研究が理屈ぬきに明らかに示したことは、肉自体が主要な危険因子である、ということでした。肉を食べる人たちに他の栄養素、たとえば食物繊維が不足していたということではなかった。彼女らが、肉を食べるほど危険性は増した。
この研究チームのリーダーは、「肉の消費の減少は危険性を減少させる。締切日はない。少ないほどよい。」と述べている。


● 炭火焼ステーキ1kgには、600本の煙草に含まれているのと同量のベンゾピレン(強力な発ガン物質)が含まれる。
● ローレンス・リブモア国立研究所は5年にわたり何千ポンドものハンバーガーを焼き、加熱しすぎの肉からどんな毒物ができるかを研究した。そして、染色体に損傷を与え、ガンに関係する物質が少なくとも8個あることを確認した。これらの物質は豆腐やチーズからはできてこない、と同研究員は述べている。
● 亜硝酸塩は肉製品に存在する。それは人体内で他の物質と化合し、ニトロソアミン(強力な発ガン物質)を形成する。
● 肉の多い食事は性的成熟年齢を引き下げる。それは乳ガンの危険性を増大させる。


続いてピ−ター・コックスは、ベジタリアンのガンを抑える仕組みについて、次のように述べている。
● ベジタリアンは肉食の人と異なった組成の胆汁酸をもつことが知られている。これはガン細胞の発達抑制に深く影響をしている。
● ベジタリアンの免疫システムは肉食の人よりも強い。ある研究で、ガン細胞を芽の内に摘み取る細胞が、肉食の人の2倍の強さをもつことが示された。
● ベジタリアンの生活をすると、環境汚染による影響も肉食の人より少ない。また母乳に含まれるPCBの含有率は肉食の方がはるかに高かった。肉、魚、酪農製品や経済的に作られた果物は有機塩素(PCB、DDT、ダイオキシンなど)の主要な源であるから、肉製品を全くやめたり、無農農薬の果物のみを購入することは道理にあう。
● ベジタリアンは大量のビタミンAをベーターカロチンの形で植物性食品から摂る。ベーターカロチンは、肺ガン・膀胱ガン・喉頭ガン・結腸ガンから人を守ると考えられる。
● ベジタリアンの食事は、活性酸素による損傷、疾病から身を守る。



 

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生命の農と食を考える
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池田 優

 

 

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